結婚準備は、居酒屋のキャッチと似ている。

結婚式会場と日取りが決まり、本格的にプランナーとのやり取りが始まった。本当なら今週末にも別の会場を見に行く予定だったけど、先週見学した式場が非常によくて、「もう決めちゃえ！！」と思い切って申し込んでしまった。もっと慎重になるべきだけど、「ここしかない」という強い気持ちに動かされた。それくらい魅力的で理想的な場所だった。

ただ話を進めていくと、「あれ？」と思う瞬間がときどき発生し始めた。会場のお花が30種類あると思っていたら、30種類なのはブーケだけで装花は3種類だけだった。お花の持ち込みOKと書かれていたけど、卓花は衛生上持ち込みNGだったり……。きっと私が話を聞いていなかったり、下調べが足らなかったりするだけで、会場自体は素晴らしい。もちろん申し込んだのを後悔している気持ちは全くない。それでも自分の思うように、自由にやろうとすると、「あれ？」と感じる壁にぶち当たってしまうのだ。

ふと、居酒屋のキャッチに抱く感情と似ていると感じた。居酒屋のキャッチは愛想のいい笑顔で「今なら席空いてます」「●●円引きします」と魅力的な言葉を投げかけてくる。その言葉を信じて居酒屋に行ってみると、キレイとは言えない店内だったり、ドリンクだけ割引でフードは対象外だったり、「あれ？？」と思わざるを得ない予想と違う実態なのはよくあることだった。

結婚式場やキャッチに「あれ？？」と思うのは、自分の理想がお得に手に入ると勘違いしていたからだ。よっぽど運がいい人は別として、基本的に理想や自由はそう簡単に実現しない。覚悟やお金、手間や時間など、身を削る何かを用意しなければ、本当に欲しいと思うものには近づけないのかもしれない。

どうやら、結婚式で自由になるには、お金を用意しないといけないらしい。きっと見積もり金額を超える退勤を使うようになるだろう。わたしの口座は、申込金を振り込んだ影響でガクッと残高が落ちている。でもこれからもっと減るのか……。自由や理想を手に入れるのって本当に大変だな、、、と改めて思った日だった。