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ストレッチのススメ

先日ストレッチ運動やコア(体幹)トレーニングに関するワークショップを受けた。以下はそこから得た気づきについて。

ストレッチ運動=身体のエンジン始動

皆さんは「ストレッチ運動」というと何を思い浮かべるだろうか?
運動前の準備運動?あるいは運動後のクールダウン?どちらにも使えるのだが、私は正直、今まで、あまり「ストレッチ」を意識したことはなく、省いてしまうことが多かった。

そんな私がこのワークショップを受けたきっかけは、前回息子が同じところで空手の先生から動きをレクチャーしてもらったご縁から。このクリニックは理学療法全般を扱っており、アスリート関係の顧客も多いことから、その運動療法も取り入れた内容として、「ストレッチ運動」や「コアトレーニング」にフォーカスした内容だった。

今回習ったのは「動的(ダイナミック)ストレッチ運動」。私がこれまで「ストレッチ運動」と認識していたのは「静的(スタティック)ストレッチ」の方で、反動をつけずに筋肉をゆっくり伸ばすストレッチだった。実はこれは関節を伸び切ったゴムのような状態にするようなもので、運動前に柔軟性を向上するには適していないそうだ。

一方、「動的(ダイナミック)ストレッチ」とは反動を利用して、リズミカルに間接の曲げ伸ばしや回旋などを行う柔軟トレーニング。自分の筋肉の収縮力を用いて、その筋肉とは反対側にある筋肉を伸ばす目的だ。これらをやることにより体を温めて身体の可動域が広がるので、運動前にはこちらが適している。以前、「運動前にストレッチをやることはあまり意味がない」という話を聞いたことがあったが、「なるほど、必要とする運動の種類が違ったのだ。」とようやく合点がいった。

逆に運動後には筋肉の緊張を緩和して短縮した筋肉をトレーニング前の状態に戻すクールダウンとしての「静的ストレッチ」をすると良いらしい。静的ストレッチは身体のクールダウンと共に、副交感神経を優位にし、心身共にリラックスすることも目的の一つだという。

可動域が広がる

実際にワークショップで「動的ストレッチ」をやってみた。まず軽くランニングをしてからエアロビクス的な動き(簡単なステップやその場で何種類かのジャンプをする)をして、最後に股関節を柔らかくする運動をした。この股関節を柔らかくし、可動域を広げるにはには「ランジ」や「スクワット」が有効だ。要した時間は10-15分程度だが、これにより汗ばむくらい身体がポカポカと温まった。動的ストレッチのイメージとしてはこんな感じか。

その後も各関節の可動域を広げるヨガ的なストレッチをしたり、「マッサージボール」と言われるボールで膝や足の裏の凝りを取った。これは「筋膜リリース」という手法だが、動きが鈍くなってきた筋膜を解放し、正常な状態に戻す効果があるという。この「筋膜リリース」をすると、①筋肉が正しく動き運動パフォーマンスが向上する。②関節の可動域が広がり、柔軟性が上がる。③リンパの流れが良くなり、筋肉の凝りがほぐれる。などの効果があるという。マッサージボールを使った筋膜リリースのイメージはこんな感じ

これらを実際にやってみた感想としては、身体が温まると共に股関節が柔らかくなり、可動域が広がると、足を踏み出すのが楽になる。さらには歩いたり走ったりする歩幅が大きくなり、動きやすい。ゴルフやテニスなど、捻る動作をするスポーツの場合、もっと効果を実感するかもしれないと思った。また、筋膜リリースは特に足の裏に即効性を感じた。足の裏や指の付け根など、数か所を各1分ずつくらいボールを転がしたり、押し当てる動作をした後に歩いたり走ったりすると、足が大地をしっかり捉えることができている感じがした。逆に今までは足の裏「全体」では踏みしめていなかったということが分かる。それだけでなく、筋膜リリースは足の裏でボールを転がすだけでただただ気持ちがいいのでお勧めだ。

キックは骨盤の動きによる「反動」

次に身体のコア(体幹)を意識するトレーニングをした。プランク(数種類)やランジ運動をした後、骨盤を前後左右に動かす(この時頭の位置はあまり変えない)動作をして、空手のキックに繋がる一連の動きをした。前半の動的ストレッチで体の可動域が広がっているので、動きやすかった。

今回「なるほど」と思ったのが、足を前や横に蹴り出す動作をする時、「足を出す」のではなく、骨盤を動かす(前だったら後傾、横だったら収縮させる)ことにより手や足が反動で出て、それがそのままキックになる、ということだ。私は空手はおろか、武道全般未経験だし、キックなんて以前やったエアロビクスで真似事をするくらいだったが、この骨盤の動きを習うことで「足が自然に出てくる」ことが体感できた。空手の「ものすごく早く見える」蹴りの動きはこれまで「完全に自分には縁のない世界」だったが、こうしたムーブメントの連続にすぎない、ということを聞くと、急に親しみが湧いた。

それから、実は大切なのがキックを支えている逆の足(軸足)だということ。片方がキックなどの動作をしている時、実はその逆の足の筋肉でそれを支えてバランスを取る、という貴重な働きをしている。キックをする時にこの「軸足を意識」する(地面にネジで打ち込まれているようなイメージ)ことで、身体の土台が安定して、よりバランスがとりやすくなる効果があるという。つまり、キック・エクササイズの目的は、この軸足のトレーニングでもある。

アメリカのPhysical Therapy(理学療法)とは

ここでアメリカのPhysical Therapy(理学療法)について簡単に説明したい。Physical Therapist(PT、理学療法士) は日本にもアメリカにもいるが、スポーツマンやリハビリが必要な人、高齢者など、ニーズに合わせて、動作の分析と怪我の予測、姿勢や身体のバランス調整、健康の改善などの指導を行っている。ここアメリカではPTは大学を卒業後3年間の理学療法士養成大学院に入学・卒業する必要があり、資格取得後は自ら開業することができる。こうしたクリニックはイメージでいうと、日本の整形外科とマッサージ院の中間のような感じか(あくまでも私の印象)。

アメリカの医療制度は「「主治医(Primary Physician)」の役割が大きく、日本のように最初から各診療科へコンタクトすることが少ない(できないわけではないが、主治医からの紹介、という形が一般的)。このように専門医へのコンタクトが日本に比べると限られることもあり、こうしたPhysical Therapyのような中間的な位置づけのクリニックも多い。


まとめ

ストレッチ運動はいつでも気軽にできるが、上述のように、運動前にするストレッチは「動的(ダイナミック)ストレッチ」が良い。これにより、運動前の身体を温め、関節の可動域を広げ、その後の運動で高いパフォーマンスを発揮したり、怪我の予防ができる。逆に運動後は「静的(スタティック)ストレッチ」をすると運動後のクールダウンができる。

ストレッチも良いが、普段から関節をよく動かしたり、足の裏、指周辺をほぐしておくことで(マッサージボールがお勧め)、身体が動かしやすくなる。また、デスクワークで終日室内にいるような場合でも、30分に1回程度は席を立ち、身体を動かし、筋肉が凝り固まるのを防ぐべき。そうすることで肩こりや腰痛も防げる!


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