ユウスキン

🍥煙 は 調 味 料🍥

ユウスキン

🍥煙 は 調 味 料🍥

最近の記事

🍥燻製蛍烏賊のラグーパスタ🍥

持つべきものは市場の友で、富山のホタルイカが大量に届いた。 ホタルイカを見かけると、燻したくて燻したくて白目を剥いて震えだす、蛍烏賊燻製偏執狂の私は、届いたそれを心ゆくまでスモークし、そして例のごとくオイルで封をしたのである。 ホタルイカの燻製レシピについては以前記事でご覧あれ。 大量に作ったはいいものの、レパートリーに乏しい私の使いみちといえば、オイルパスタにするか、アヒージョにするか、はたまたそのまま酒のあてにするのがせいぜいだ。オイルに沈み犇めき合う燻製ホタルイカ

    • 🍥燻製勘八のカルパッチョ🍥

      スーパーの店内を回遊していると、私の目は鮮魚コーナーの勘八に引き寄せられた。 回遊魚である勘八に、スーパーの回遊男である私が邂逅したことは、当然の帰結かもしれない。 こういった邂逅いは、煙を燻らせ祝福するに限る。なぜなら、私は燻製家だ。 燻製をせずにはいられない。 地球を観たガガーリンが「青かった」と言わずにはいられなかったようにだ。 早速、勘八を拡げたピチットシートに置き、満遍なく塩と三温糖、黒胡椒を振る。分量は…その…アレだ…行雲流水だ。 そのまま勘八をピチットシ

      • 🍥桜刺し🍥

        結婚の承認を得に、妻の実家である熊本へ行ってから十余年。 その折に食べた熊本の桜刺しに感動し、いまでは季節の変わり目には膝の痛みとともに、額に「馬」という文字が薄らと浮かびあがり、スニーカーのNのロゴがHに変わるほどの好物になってしまった。 それって…ニューバランスの偽物なのでは… などと思ったあなたは修行が足りない。鼻人参の刑に処す。 キャロットノーズはさて置いて、ありがたいことに誕生日に義母から馬肉がたくさん届いた。 「おれんちの冷凍庫には桜肉がたくさんあるんだ

        • 🍥燻製牡蠣のおぺぺ🍥

          鮮魚コーナーで、ぷっくりぷりぷりとした加熱用の牡蠣を見つめていると、 「加熱だけで済むと思うなよ…」 などといった嗜虐的な心持ちになって、矢も盾もたまらずに連れて帰ってしまった。 牡蠣を見かけると煙責めの刑に処したくなる。それが燻製家という生き物の宿痾なのだ。 早速、刑を執行していこう。 牡蠣に塩少々と片栗粉をまぶし、優しく揉み洗いする。汚れが濁りとなって出てくるので、水に泳がせてざるに上げる。 この揉み洗いを3〜5ターンほど繰り返して汚れを落とすのだが、生の牡蠣

        🍥燻製蛍烏賊のラグーパスタ🍥

          🍥ベーコン🍥 〜燻製編〜

          前回のベーコン作り下準備編では、勢いあまって話が避妊具に帰結してしまった。 生きていれば不可解な出来事のひとつやふたつはあるものだ。立ち止まらずに先へ進もう。 さて、ここからは、ベーコン作りで最も重要な温熱乾燥の工程に入っていく。 燻製の大敵は、結露による水分である。いくら食材の表面を乾かしても、肝心の内部が冷えたまま燻煙にかけると、その温度差により「結露」が発生し、その燻された水分は木酢液となって、エグい酸味が乗った最悪な仕上がりとなる。 燻製で失敗する原因の9割は、

          🍥ベーコン🍥 〜燻製編〜

          🍥ベーコン🍥 〜下準備編〜

          イギリスの哲学者フランシス・ベーコンの金言だ。 なるほど。 賢者はベーコンを見つけるよりも 自らベーコンを創りだす ということか。 思い立ったが吉肉。早速ベーコンを作っていこう。 豚バラ肉の重量に対して、 ・岩塩4%  ・きび糖2%(または三温糖) ・セージ ローズマリー オレガノ 少々(乾燥) ・乾燥ローリエ 1kgに3〜4枚程度  ・黒胡椒 0.5%(挽きたて◎) ・ナツメグ クミン コリアンダー カルダモン等少々(挽きたて◎) 以上の材料をよく混ぜ合わ

          🍥ベーコン🍥 〜下準備編〜

          🍥燻製キャロットケーキ🍥

          「だって…果物じゃないじゃん…」 などといった偏狭な理由で避けていたキャロットケーキだ。 妻の好物であること。素人でも簡単に調理できること。そして、ナッツとクリームチーズが夜な夜な私の枕元に立って「燻せ燻せ」と訴えかけること。 以上が、私が重い腰を上げキャロットケーキを作るに至った理由である。 早速、クリームチーズとナッツを煙で改造していこう。 溶けやすいクリームチーズは、冷燻にかけていく。チップは、ミズナラとリンゴに、栗を少々混ぜたものだ。 具体的なチップの分量

          🍥燻製キャロットケーキ🍥

          🍥ホタルイカの燻製🍥

          スーパーにて、今期はじめて私の目がホタルイカを捕捉した。 私の凄まじい喜びが空気中に伝播し、周囲の商品や乳幼児などが宙に浮き、ゴゴゴ、と大地が唸りをあげた。 私は慌てて四股を踏み大地を鎮め、塩を撒いてその場を清めたのである。 嘘をついてしまった。 百歩譲って、突然の四股は許されるとしても、店内での塩撒きは威力業務妨害に該当するだろう。お縄を頂戴する可能性がきわめて高い。 塩撒き連行はさて置こう。スーパーに並ぶボイル済みのホタルイカは、酢味噌につけて食べるのが王道で至

          🍥ホタルイカの燻製🍥

          🍥参鶏湯🍥

          こうも気温が乱高下する日が続くと、いくらチャック・ノリス譲りのタフガイを自認する私といえども、ゲホゴホウッホと風邪を引かざるを得ない。 こじらせては事だ。仕方がないのでここは寝て治すかと、大好きな稲川淳二の怪談を子守唄代わりに聴いて横になっていたら、風邪の悪寒と怪談の怖気でぞわわと身震いし、たちまちザザーっと鳥肌が立った。 ザザー、ザザー、と立ちに立った鳥肌を鎮めるには、トリを煮込むに限る。中国の薬膳でいうところの、不調を来した身体の部位と同じところを食べる、同物同治と同

          🍥参鶏湯🍥

          🍥スモークチーズ🍥

          風呂上がり、私と妻はビールのあてに、娘はジュースのお供にと、我が家には欠かすことのできない常備食だ。 なかでも娘は、スモークチーズの「茶色い」ところ、つまり、煙と熱で出来た表皮が好物という筋金入りの5歳児だ。嬉々としてスモーキーな表皮を齧りながらジュースをガブガブと飲む姿を眺めていると、親として彼女の将来を危…嘱望せざるを得ない。 煙娘はさて置いて、雪印のファミリアチーズや6Pチーズ等のプロセスチーズが、温度管理や味わいの観点から、初心者にもとっつき易い食材と言えるだろう

          🍥スモークチーズ🍥

          🍥燻製ピスタチオバスチー🍥

          行き場を失ったピスタチオの怨念がキッチンに渦巻いている。 燻製レモンケーキのトッピングに使ったはいいものの、使用量を艦がみずに買い物をする悪癖が顔を出し、たくさん余らせてしまった。 酒と一緒に流し込むには何だか勿体ないし、節分に鬼は外と撒くにはあまりにも無作法な気がする。 紀元前6500年から人類に食べられているというピスタチオが、窮屈な容器に閉じ込められ、棚のはしっこから私をじ、と睨みつけている気がしてならない。 ピスタチオの怨念を察したときには、すみやかに燻製をし

          🍥燻製ピスタチオバスチー🍥

          🍥芽キャベツのおぺぺ🍥

          芽キャベツが出回りはじめ、店頭にコロコロと並ぶのを眺めていると、そろそろ春だねェ…などといった、枯れた喜びが全身を包み込む。 私は、思わずその場に膝をつき頭を垂れ、芽キャベツを育んだ大地へと感謝の歌を捧げた。 嘘である。 いくら何でも、家族連れで賑わうスーパーの床に突如として跪き、慈愛に満ちた眼で歌いはじめるほど私の頭はイッちゃってはいない。何よりも、頭が春爛漫になった父の姿は、娘の人格形成に大きく、そして悪いほうの影響を与えるにちがいない。喉元まで湧いてきた喜びの曲は

          🍥芽キャベツのおぺぺ🍥

          🍥豚バラ軟骨煮込み🍥

          じっくりと煮込んだ豚バラ軟骨のうまさは異常だ。 どれほどの異常さかというと、四人の子供を育ててくれた父の正体が「ひょうすべ」だったほどの異常さだ。 たとえひょうすべであろうと父は父だ。そっとしておいてくれ。 さて、家族のセンシティブな事情は置いておこう。 豚バラ軟骨とは、肋骨と胸骨の間部分の肋軟骨のことで、一頭の豚から500〜1,000gほどの僅かにしか取れない希少部位である。 希少と言うと聞こえはいいが、いわゆる「トリミングされる」方の、場合によっては破棄されてい

          🍥豚バラ軟骨煮込み🍥

          🍥燻製ナッツタルト🍥

          ドイツ語で、トルテ。 イタリア語では、トルタ。 そして、フランス語で、タルト。 ついつい並べたてては繰り返し言いたくなる。 トルテトルタタルトトルテトルタタルトトルテトルタタルトトルテトルタタルトトルテトルタタルトトルテトル ドラムの反復練習にうってつけだ。 もしくは丑の刻、鏡に向かって唱え何かに憑かれるのにもちょうど良い。 タルト憑きはさて置いて、とりわけイタリアの語感が好きな私は、 Torta di noci トルタ・ディ・ノーチェ と、口に出してはニタニタと

          🍥燻製ナッツタルト🍥

          🍥燻製麻婆豆腐🍥

          摂取することによって顔中から汗が噴きだし、口の周りがわなわなと痺れ、体調によっては胃腸にも禍を齎し、Exitを通過するその時まで凶暴さを失わない。 食事でありながら劇物としての側面を持ち、恐ろしいまでの依存性まで孕んでいる蠱惑の液体。 それが、麻婆豆腐だ。 こんな反社会的なお汁には、灸を据えてやりたくなるのが人情というものである。 しかし、実際に灸をして麻婆豆腐の血行が促進しベキバキと活力が漲り、人類に更なる暴虐をふるう可能性もあった。 ここは灸を焚かずに、ミズナラ

          🍥燻製麻婆豆腐🍥

          🍥和風ローストビーフ🍥

          我が家では、滅多にお目にかかれない和牛である。 ただでさえ相談もなく燻製用の肉塊を買って帰り、妻から白い目、しかも三白眼の超白目で見られることが常態化しているのだ。 この緊張関係で、毎週のように買って帰る肉塊が和牛になったとしたら、私の返り血で妻の白目と和牛のサシが紅に染まる可能性すらある。 血みどろの刃傷沙汰とはいえ紅白が揃った。和牛を持ち帰るタイミングは年の瀬が相応しいだろう。 娘を連れ、プリキュアのイベントへ出かける妻の背中に、 「ついでだから、年末年始の食材

          🍥和風ローストビーフ🍥