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【倫理の指導案】分析哲学(ウィトゲンシュタイン)×コーヒーを、コーヒーのように、コーヒーして。

本授業のターゲット生徒
当たり前を当然のように享受している生徒

目の前を横切ったその生き物
「ニャー」とかいってたそいつ
てっきり「ネコじゃね?」とか思いましたか?


その生き物、イヌでもいいんですよ。


|授業の概要|

分野:分析哲学(ウィトゲンシュタイン)
テーマ:コーヒーを、コーヒーのように、コーヒーして。
目標:ことばが何かわからなくなる

|筆者の紹介|

この記事を書いている人:
ゆとりんり(現役倫理教員)
新卒で倍率100倍の民間企業に就職後、教員に転職
教員採用試験の採用枠1枠に1発合格
教採の勉強は働きながらの完全独学
ブログで「ちょっと変わった授業アイデア」まとめてます。

|このページの見かた|

ゆとりんり流、PPTの授業での使い方はこちらで紹介しています。


\導入(東大入試)/

まずは東大入試で導入です。
授業の最初なので考える意欲を生徒に与えます。
「東大!?」やってみようかな!とか思えたら理想ですね。

早速ですがみなさん、東大の入試を見たことはありますか?
2020年にこんな問題が出題されました。グループで自身の考えを共有してみましょう。

スライド2枚目

〈2020年東大入試〉
私たちは言葉を操っているのか。
それとも、言葉に操られているのか。
あなたの意見を60~80 語の英語で述べよ。


例えば先哲たちの考え方を用いて答えるならば、次のような答え方もできます。(日本語ですが…。)
ソシュールの構造言語学のような答え方もできるわけです。

スライド3枚目



\展開(ウィトゲンシュタイン前期)/

今回の授業では前者の「言葉を操る」方に注目してみます。と展開します。イメージが難しい方にチャレンジです。

では、言葉を操ると言われてピンときますか?操っている自覚がありますか?試しにやってみましょう。世界とは何か説明してください。
(グループ活動)

スライド4枚目

ウィトゲンシュタインは「ん?これはっきりと説明できないな」というものに答えをくれます。というのも、この人は哲学を2度終わらせたと言われています。その一回がこの理論です。

グループの中で完璧に定義して説明できた人はいますか?
大半の人が難しかったのではないでしょうか。
そんなあなたにウィトゲンシュタイン。

スライド5枚

「語りえぬものについては、沈黙せねばならない。」


ウィトゲンシュタインは言葉を使って考えることができるもの、そうでないものを分けました。わかりやすくスライドも作成しましたのでご利用ください。

ウィトゲンシュタインは、語ることができるものは考え、そうでないものはそもそも考えない。しました。つまりこの理論で哲学は終わらせることができるのです。

スライド6枚目


このスライドも自信作です。ウィトゲンシュタインの考え方を一枚に集約できたと思っております。

もう少し噛み砕いて説明するとすると、「語りえぬものに〜」というのは、言語の限界が、世界の限界であるということです。思考されうるものは全て言語で表現できるというのです。
だから、世界は我々が世界と呼ぶものだし、神も私たちが神と呼ぶものなのです。

スライド7枚目



\展開(ウィトゲンシュタイン後期)/

後期ウィトゲンシュタインは思想が少し違います。学校の先生だった彼は、教えている生徒の解答をみて思ったそうです。私の考えは違っていたのかもしれないと…。生徒にもそれを体験させましょう。

ここからはウィトゲンシュタイン後期の思想に注目します。前期は「形式としての言葉」に注目してきましたが、後期は「話し言葉」に注目します。

スライド8枚目


ウィトゲンシュタインは2度哲学を終わらせた人です。彼は気づいたのです。「言葉って、それぞれ文脈ごとに意味が変わるくない?」と。これを言語ゲームと表現します。
私たちは相手が使った言葉、例えば「やばい」をどう意味かあてるゲームをしているのですね。

スライド9枚目


こういうのは体験してみた方が早い(百聞は一見に如かず)ので、生徒にも体験させます(アクティブラーニング?笑)

実際に言葉の意味を私たちは当てるゲームをしているのか、そもそもそんなことはできるのか、極端な例ですが、やってみましょう。

スライド10枚目

「コーヒー」という言葉だけで会話をしてみます。注文から手元に届くまでの一連の活動の中で、みなさんは「コーヒー」という単語しか使ってはいけません(笑)。さあ、役割分担してください。一人は見学役になるかもですね。

スライド11枚目


ゲシュタルト崩壊を起こしそうな会話が繰り広げられます。みている教員としては面白いですよ。私はお腹を抱えて笑ってしまいました。

意外と通じたんじゃないですか?単語は1つですけど、意味の違いを発音方法など工夫して伝わるようにできたはずなんです。
で、疑問なんですが、前期ウィトゲンシュタインは「語れるものは考える」としました。おそらくコーヒーも語れるものなはずです。

スライド12枚目

で、意味が変わるとわかった今、コーヒーってなんでしょうか?

スライド12枚目



\まとめ/

ウィトゲンシュタインの前期・後期思想を1枚にまとめます。
これも最高の出来です。

ウィトゲンシュタイン前期は「語りえぬものについては、沈黙せねばならない。」としました。ですが後期は「言葉は、文脈の中で意味を持つ」と言います。理解できましたか?

スライド13枚目


で、大事なことを忘れています。そもそも言葉ってなんですか?

スライド14枚目


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以下の有料記事では、記事中にもある「Googleスライド」を丸々全部ダウンロードすることができます。(記事中で紹介しているスライドは一部です。

ダウンロードできるスライド
・形式:Googleスライド
・ページ数:全14ページ
・設定:1時間分

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