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あの春の日の煌めき

あの春の日の煌めき

中学一年生の春、毎日見ている黒目川という浅い川の中で「人が死んでいる」という話で持ちきりになった。

ちなみに東京のあの目黒川とは別物。黒目川(くろめがわ)である。

八人の仲良しグループのなかの誰かが言い出して、わたしたちはその話題の虜となっていた。
第一発見者があまりに神妙な顔つきで話すので、そんなわけないと思いながら本当に人が死んでいるのではないかと怖くなり始めていた。

怖がるのはダサいと

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2021年観てよかった映画6選

2021年観てよかった映画6選

もう2021年が終わる。20歳超えると一年が早いと聞いていたが、25歳を超えた今年は本当に早かった。

今年は実家を出たことで時間が増え、さらにいいテレビをいただいたことが後押しとなり、人生で最もたくさんの映画を観た一年でした。

あ、あと近所に映画館があって1人映画にも繰り出したりもした。

たくさんある作品の中で恐れ多いのだけど、完全に個人的な感想と偏見で特によかったものをピックアップして記録

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人は愛された記憶で強く生きられる【『そして、バトンは渡された』映画感想文】

人は愛された記憶で強く生きられる【『そして、バトンは渡された』映画感想文】

絶賛反抗期のころ、日々お母さんに心配をかけ泣かせていたわたしは、特に理由もなく学校をサボったことがある。
よく覚えていないが、学校に行くふりをして友達とカラオケに行ったと思う。

完璧に隠し抜いたと思っていたが、14歳のクソガキが考えることなんて手に取るようにわかるのだろう。担任の先生にすぐにバレた。

わたしの父はすごく優しい。娘のわたしや妹にはほとんど怒ったことがない。しかし、この時ばかりは流

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恋愛はひとりに一個ずつ【『花束みたいな恋をした』映画感想文】

恋愛はひとりに一個ずつ【『花束みたいな恋をした』映画感想文】

映画『花束みたいな恋をした』を観たのだけど、「エモい」「切ない」などという一言では片付けられなかった。

言うなれば、これは切ないラブストーリーのフリをした社会風刺映画だ。

真理を突きまくっていてグロかった。(大いに誤解表現)

ちなみにこの映画はずっと興味がなかったのだけど、観る人によって感想がまっったく違ったので観てみることにした。

この感想文も私の見た世界でしかない、ということは念頭に置

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ヒーローになることを諦めたくない【『フリー・ガイ』映画感想文】

ヒーローになることを諦めたくない【『フリー・ガイ』映画感想文】

わたしの勝負弱さは幼稚園の頃から始まっている。人生初めてのおゆうぎ会、演目は「浦島太郎」

役を決めるとき、希望者多数の役はジャンケンになるのだけど、ここでわたしは敗北を喫したのだ。

仲の良かった友達3人は織姫様の手下みたいな役に決まり可愛い衣装で舞っていた。同じマンションの友達はミニモニの衣装で超可愛く踊っていた。
双子の弟は浜崎あゆみ『evolution』のダンスで、振り付けをアレンジして観

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