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【今でしょ!note#179】ニーズは探すものではなく、作るもの

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

今日は、これまで本業で何度か新規事業立ち上げの取り組みや、実際にプロジェクトを創ってきた経験を踏まえて、新しい仕事を生み出していく時のヒントについてまとめておきます。

新しい仕事を作る時には、当然ながらその「買い手=サービスの内容を良いと感じて、実際に対価を払ってくれる人」が必要です。
私たちは、市場調査などの手法を通じて、あたかも「ニーズ」が自分の外に存在していて、それを「見つける」ものである、というように捉えがちですが、私の感覚としては、これは間違っています。

「ニーズ」というのは、基本的には誰かの頭の中ではぼんやり浮かんだことがあったり、薄々とこうなればいいな、と考えていてはいるものの、明確に言語化されていなかったり、サービスの形として見えないものであると捉えています。

だから、「ニーズ」をマーケットの中から探してきて「見つけ出す」というよりも、あらゆる人との会話ややり取りを通じて、作り上げていくものが「ニーズ」である、という方が、私は近い感覚を持っています。

では、具体的にどのような手段を取り、言語化されていないニーズを具体化して、実際のプロジェクトまで引き上げていったのか。
具体的なプロセスに踏み込んでいきたいと思います。


仮説を言語化してぶつけていく

明確なターゲットを想像し仮説を言語化

まずは、この分野においては、こういうものが必要ではないのか?という仮説を立てて、それを端的に伝える文章なり絵なりを作るところが出発点です。
対象分野は何でもいいのですが、できれば勤める企業や、個人であれば自分自身の得意技や実績が活かせる分野の方が次に繋げやすい面はあります。

とにかく大事なのは、ターゲットを明確にして、こういう分野のこういう人であれば、こういうことが必要ではないのか?という具体的な仮説を立てた上で、それを言語化するところが出発点というところです。
ターゲティングを明確にしておかないと、誰かが必要としそうだけど、別にお金を払ってまで欲しいものではない、という中途半端なところで終わってしまいます。

お金というのはツールであり、ターゲットとした人が「お金を払った方が面倒臭いことを解消できる」とか「お金を払ったほうが自分でやるよりも実現の時間を短くできる」と判断した時に対価として支払われるものです。

だから、明確にこの人が必要だろうという具体的な人の顔が浮かぶレベルまで想像できないと誰からも必要とされない事業となってしまうのですが、机上のリサーチで抽出された課題とソリューションというのは、意外に「誰が」対価を支払ってくれるのか?の視点が抜けがちになります。

はじめから正解は作れない

仮説が具体化できたら、その課題を感じていて実際に対価を払ってでも選択してくれる人にアイデアを説明してぶつけていきます。
必要なマインドセットとしては、はじめから正解の仮説など作れないということです。むしろ、はじめに自分の頭の中でどれだけ時間をかけてまとめ上げても100点にはならないので、アイデアを他人からも理解してもらえるレベルまで具体化したら、さっさと関係者の壁打ちに持っていくことが大切です。

アイデアの構想段階では、自分が直接的なステークホルダーでない場合、「そのアイデアは必要ないよ」と真正面から言ってくる人の方が少なく「確かにそういうのがあったら良さそうだね」とか、基本的にはポジティブなフィードバックが返ってくることが多いです。

だから、私は直接サービスやプロダクトを購入してもらえる可能性が低い人の意見を聞いても仕方ないと考えています。支払いのための一定の予算があり、「自分たちの事業を進める上で対価を支払った方が良い」と考えている人に対して意見をぶつけて、フィードバックを得ていく方が大事だと思っています。

最近では、これまでの事業だけで将来的な成長を見込むことが難しいため、新規事業に取り組む企業が多くなっています。しかし、下図の通り「顧客ニーズの把握」「アイデア出しや企画」という企画段階で行き詰まってしまうところが3〜4割強で、その「能力を有する人材不足」を課題視している企業が、中規模企業では55.4%と過半数を占めています。

2023年12月13日 「中小企業の経営課題に関するアンケート」東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1201791

このあたりのノウハウがない事業者が多いため、新規事業を支援する側の事業者も随分と増えてきた印象を持っていますが、最終的には事業者自身が自分の頭で仮説を立てて、実際に困っていると思われる人にぶつけていくことが王道ですね。
ぶつけていく中で、はじめは思いつきもしなかったよりリアルな課題に辿り着くことがほとんどです。

とにかく会話の量を増やす

そのように考えていくと、「ニーズ」というものがその辺に転がっていて、それを見つけて拾ってくるのではなく、「具体的な仮説」を立てて、様々な人との会話していく中で「作られていくもの」という方がしっくり来ます。

そして、アイデアは一人の頭の中で考えていてもすぐに行き詰まってしまいますし、社内の会議室で何度議論を重ねても「本当に顧客が求めているもの」に辿り着くことは出来ないですから、外の人との会話量を圧倒的に増やしていくことが重要です。

外の人と話していく中で、本当にその企画を応援してくれる人に出会ったりもします。こういう方は本当に有り難い存在で、話しているだけで面白いですし、とても
勉強になります。私はここが新規ビジネス検討における最も面白いところだと感じていて、そういう出会いを呼び込んでくるためにも、普段自分とは違った分野にいる人と話をする機会を積極的に持つことが重要と考えます。

もちろん、「自分の話を聞いてください!」だけでわざわざ時間を取って聞いてくれる人はいません。
ビジネスの基本は相手を勝たせることですから、相手にとってその話を聞くことでどのような価値があるかを、自分から明確に打ち出すことが重要です。

画期的なアイデアでなくて良い

多くの人が思い込みがちなのは、「新規事業=斬新で画期的なものであること」ということです。
もちろん、新規性や斬新性が求められる事業もありますが、多くの場合、アイデアそのものは別に目新しくないものがほとんどです。

また、複雑なビジネスモデルを描く人もいますが、ビジネスモデルはできるだけシンプルで分かりやすい方が良いと思います。
理解するのに時間がかかるアイデアや、複雑で難解なプロジェクトは、よほどその内容が精巧に考え込まれたものでない限り、ただ理解されないだけで終わってしまいます。

画期的なアイデアであることよりも、地道に営業を続けながら企画を磨き上げていくこと。いろんな人に反対されたり意見を言われながらも、粘り強く継続すること、課題を解決したいという信念を貫くことの方がよほど重要です。

自身の経験から、「新規事業創造」プロセスは、社内でもスポットライトが当たることが少なく、長くやっていると心が折れそうになることばかりですが、本記事がどなたかの勇気になれば幸いです。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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