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【詩】花のベッドは、いらない

「強いね」と言った人は
強くなければ生きてこられなかったことを知らない

「強くならなきゃね」と言った人は
強くなければ生きていけないことのおかしさを疑わない

プラグを引き抜くように感情を切ることを覚え
いつか死ねることは恐怖ではなく救いだと悟り
希望の場にいてもなお続く孤独こそ絶望と知り
容易には生を終えられぬことこそ恐怖だと感じ

その前も
そのあいだも
そのあとも

適応して
適応して
適応して

とうとう、適応に使えるエネルギーは枯渇してしまった

きっと
適応に使えるエネルギーは人それぞれで
適応に必要なエネルギーも人それぞれで

なのに
平均寿命は87歳ですと言われても困ります

それなら
87歳になるまでどこか世界のほんの片隅で
眠らせておいてくれればいいのに
花のベッドも羽毛布もいらないから

同じ教室にいたのに
「障害があっても生活していくのに何の問題もないと思った」
と言った人は、いったい何を見ていたのか

「同じ教室にいたのに」と思う私と
「同じ教室にいたから」と言うあの人

適応して
適応して
適応して
そうして同じ教室にいて
そう思わせてしまった私のせいなんだろう
そうなんでしょう、ね

花のベッドはいらないから
どこか隅っこに、うっちゃってくれればいいから
87歳まで眠らせて
87歳になったら、ペントバルビタールを打ってくれればいいから

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