見出し画像

【詩】たまたま

たまたま君がいた
たまたまわたしがいた

君じゃなくてもよかったし
わたしじゃなくてもよかった

君じゃない可能性もあったし
わたしじゃない可能性もあった

人と人との出会いに運命や必然なんてなくて
そんなものはまやかしで
そんなものは言葉の綾で
そんなものはどこにも実在しないから
運命だなんて恥ずかしげもなく口にするのは
小学生で終わりにしたほうがいい

わたしたちを取り巻くどれかひとつでも
何かが少しでも違っていたら
こうなってはいなかった

何かが大きく違っていても、きっとこうだったはず
なんて、そんな嘘はつかないで
白けてしまうから

たまたま君がいて、たまたまわたしがいて
君じゃなきゃだめだなんて、ただの錯覚で

ただの錯覚で
ただの錯覚で

ただの錯覚だと分かっているから
運命に導かれたんじゃなく
わたしが血迷って決めたんだって、大きな声で叫ぶ

たまたま君がいて
たまたまわたしがいて
たまたま差し出された手を
たまたま掴んで

いまもその手を握り締めている

運命ではないけど
運命ではないから
その手を握り締めている

作品を気に入って下さったかたは、よろしければサポートをお願いします。創作の励みになります。