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アラサー男子が語る、懐かしドラマレビュー①「花より男子」(2005)

恋愛モノ少女漫画の実写化というカテゴリーに限ればこの作品がドラマでは最高傑作かもしれない。

https://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/m1078/


実は、本作は当初企画されていた上野樹里、岡田准一(当時V6)主演で実写ドラマ化される予定だった『のだめカンタービレ』がポシャったことで代替として生まれたドラマだそうで。
そういった経緯もあり、当初はヒットを期待されていなかったみたいですね。

実際、主役の牧野つくしを演じた井上真央はゴールデンタイムの連続ドラマ初主演。
松本潤・小栗旬・松田翔太もこの作品を
きっかけに大ブレイクを果たしたんですが、放送開始時は若手俳優の中で突出した
存在だったわけでもなく。
松田翔太に至ってはこの作品が連続ドラマ初レギュラーだったというね。

思えば、この作品が大ヒットするまで学校を舞台にしたベタベタな恋愛ドラマってほとんどなかった気がする。

学園もので大ヒットといえば
「GTO」「ごくせん」のような教師モノや「ウォーターボーイズ」のようなスポーツもの、もしくは「白線流し」のようなしんみりしたトーンの作品が多かった。



その中で、この作品はあえてベタベタラブストーリーを描き、徐々にドラマから離れ始めていたT層やF1層を狙い撃ち。連続ドラマに新たな可能性を見出した。

実際、この作品以降は「花ざかりの君たちへ」「メイちゃんの執事」が続き、学園×イケメン×ラブストーリーというジャンルが一躍脚光を浴びることになる訳ですが。本作は、その先駆け的存在です。

結果的に初回から18.3%という高い視聴率を記録し、回を追うごとに更に数字は上昇。
最終回は視聴率22.4%、平均視聴率19.8%という大ヒット作品となりました。

ドラマに興味がある人なら本放送・再放送を通じほとんどの人が観ていると思うので
今更言うまでもないんですが、とにかくキャストのハマり方が尋常じゃない。
特に井上真央の牧野つくし、道明寺司の松本潤、花沢類の小栗旬は
これ以上ないハマり具合。
この3名をメインに据えたことが成功の要因と言っても過言ではないでしょう。

登場する人物の中でも最も漫画的な
人物が上記の3名なのだが、それぞれが見事に役を体現。
つくしの芯の強さや時折見せる涙、道明寺の不安定さと不器用な優しさ、そして花沢類の独特の空気感。すべてこの3人でしか表現でき得ないものだ。

特に、道明寺の情緒不安定さや凶暴性は一歩間違うと視聴者から総スカンを食らいかねないキャラ。
そこに天然さや尖ったファッションをミックスし、魅力的に落とし込んだ松潤の功績は大きい。

ちょっと話が逸れますが、嵐が歌う主題歌「WISH」もドラマにぴったり。クリスマスらしいキラキラ感が良いです。
この曲が嵐の再ブレイクのきっかけになったと言っても良いでしょう。

脇を固めるキャストでは牧野一家や
道明寺の母を演じた加賀まりこが
実にいい味を出している。やっぱ、ラブコメはコメディリリーフや悪役のキャラが立っている作品が締まる。

どこにそんな製作費があったのかわからないんですが、特別出演として召喚された
松嶋菜々子もドラマに豪華さを付与しています。出番は少なめだけど。

ストーリーの方も
原作の空気感を活かしつつ、ドラマにうまく落とし込むことに成功。
要所要所を見ると原作とかなり違うが、設定やキャラの本質がブレていないため、原作ファンからうまく支持を獲得している。
原作とかなり相違点がありながらもファンから評判が良い、ということについては反町隆史版の「GTO」とも
通じる部分がある。
まあ、結果面白けりゃなんでも良いんでしょうね。

ただ、舞台が英徳学園から離れ
F4の出番が減少する後半、TOJ絡みのエピソードからは
ややパワーダウン感が否めない。
まあ面白いんだけど、ここだけ違うドラマを
観ている気分になるというか…

最終回のつくしと道明寺の別れのシーンでは勢いが戻ることを考えると、
やっぱりこの作品は英徳学園という特殊な箱庭でつくし・道明寺・花沢類がくっつくかどうか
あーだこーだ言っているのを他のキャラが見守る、
という構図が一番いいんだなと感じる。
まあ、実際英徳学園がほぼ登場しない劇場版は面白くないし…
というか、なんで劇場版のフィナーレには楓がいないの?公開から15年経ってもまだスッキリしないぞ。

既に15年前のドラマとなってしまい、作中に登場するファッションや空気感には若干時代を感じるものの、
くっつきそうでうまくいかないラブストーリーは普遍的かつ今観ても十分楽しめるクオリティ。
学園ラブコメの中では最高レベルの傑作と言っても過言ではないんじゃないでしょうか。

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