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    「資本論を nyun とちゃんと読む」の二大メインコンテンツの片側にしてライフワーク?

  • MMT「税が貨幣を動かす」ビューの論理、を読む

    マガジン「資本論-ヘーゲル-MMTを三位一体で語る」の、サブマガジンとして、 レイ『現代貨幣を理解する:完全雇用と物価安定への鍵』(Understanding Modern Money: The Key to Full Employment and Price Stability)2006年版における、第七章「税が貨幣を動かす」ビューの論理(The Logic of Taxes-Drive-Money View )を翻訳、解題します。

  • 人びとのためのMMT、第0部:ロマンティックMMT

記事一覧

「貨幣」を捉えなおす(ジンメルやカッシーラー風味)

 さあ「新しいMMT裏入門」本編の始まりです。(序論はこちら)  同時に「マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に」の第四回も兼ねましょう。  序論での分…

にゅん
1か月前
5

「新しい裏MMT入門」序論:MMTを貨幣論から攻略すると?

 思うところがありまして、「新しいMMT入門」と並行して「新しいMMT裏入門」というのをやってみようと思います!  なぜなら「新しいMMT入門」は意図があって、「貨幣(…

にゅん
1か月前
6

宗教としてのマネタリーベース・マネーストック

「新しいMMT入門」の第15回。  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第49回。  前回は諸星たおさんの文章の一部分析しました。  その後ご本人と短いやり取り…

にゅん
1か月前
11

MMTの論理構造をテクスト分析によって明らかにしてみる

「新しいMMT入門」の第14回。  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第48回ということで。  流れに任せて書きなぐっていたら、前回はキリスト教神学の話になっ…

にゅん
1か月前
5

エンゲルスに学ぶ「異端の学」とMMT

今回は「新しいMMT入門」の第13回、  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第47回ということで。  ぼくが熱力学とMMTおよびマルクスの類似を真剣に考えるよう…

にゅん
1か月前
6

松尾匡さん理論を完全解剖する

今回は「新しいMMT入門」の第12回、  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第46回という感覚でお送りします。  実は松尾匡さんの『「はだかの王様」の経済学』…

にゅん
1か月前
6

MMT=マルクス理論(大石予想)を論証する

「新しいMMT入門」の第11回!  思い付きで始めたこの「入門」でしたが、方向性がなんとなく定まってきました。  実は youtube でも語ったのですが、そもそものぼくの…

にゅん
1か月前
4

ジョブギャランティの意味を物理の方法で考える

「新しいMMT入門」の第10回!  この入門の戦略は、MMTの見通しをよくするために「貨幣」に注目するのではなく、操作、オペレーションに注目することを方針を採っていた…

にゅん
1か月前
2

MMTにおける「税が貨幣を動かす」ビューの論理(レイ本の第7章)VII

レイ『現代貨幣を理解する:完全雇用と物価安定への鍵』(Understanding Modern Money: The Key to Full Employment and Price Stability)2006年版における、第七章「税が…

にゅん
1か月前
2

「モズラーの名刺」のまともな解釈

「新しいMMT入門」の第9回!  ここまでいろいろ書きながら自分の思考をまとめてきた感じでしたが、ようやく理論的な最終形のイメージができてきました。  もったいぶ…

にゅん
1か月前
12

モズラーの「逆リヴァイアサン」、もしくはMMTの全貌的イメージ

 「新しいMMT入門」の第8回!  さっそくですが、こんな動画が出ました!  ここ note とはアプローチが違うのですが、今後も動画と連動していろいろできたらいいなと思…

にゅん
1か月前
3

交換と「王の支出」を考える

 「新しいMMT入門」の第七回!  前回は下の「本質的な7種のオペレーション」を提示しました。  ところで科学とは、少ない原理と事実によって多くの事実や事象を説明…

にゅん
2か月前
9

ここから始める!MMT

「新しいMMT入門」の第六回!  「入門」と言いながらも前回はかなりマニアックな話になってしまったかもしれません。  今回は一転、MMTの最低限の知識を厳選してみまし…

にゅん
2か月前
11

貨幣、エントロピー、MMT

 「新しいMMT入門」の第五回!  そろそろ本編に入りつつある感じです。  この「新しいMMT入門」におけるぼくの戦略の柱の一つは、なるべく「貨幣(マネー)」という言…

にゅん
2か月前
13

MMTが「不明瞭」で「政治的」な理由

 「新しいMMT入門」の第四回。 「経済学者は悪でなく凡庸」と見るビュー 前回ぼくは、犬キャラを徹底させて「経済学者たちがMMTをわざわざ捻じ曲げて広告することに余念…

にゅん
2か月前
6

「それをやる?」、ぼくは憎めない間抜けの側に居る

 こんにちワン。「新しいMMT入門」の第三回。  そういえば「入門」を教えるとかいう偉そうな nyunって誰?ってなりますよね。  申し遅れました。 「日本におけるMMTウ…

にゅん
2か月前
12
「貨幣」を捉えなおす(ジンメルやカッシーラー風味)

「貨幣」を捉えなおす(ジンメルやカッシーラー風味)

 さあ「新しいMMT裏入門」本編の始まりです。(序論はこちら)

 同時に「マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に」の第四回も兼ねましょう。

 序論での分析で明らかになったのは、ドイツ人がヤップ島でしたことは「モズラーの名刺」と同型と見做せるということですね。

 ドイツ人がフェイに「✖印を付ける」ことが課税であり、住民たちはそれによって失われた「何か」を「道路を整備する仕事」に

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「新しい裏MMT入門」序論:MMTを貨幣論から攻略すると?

「新しい裏MMT入門」序論:MMTを貨幣論から攻略すると?

 思うところがありまして、「新しいMMT入門」と並行して「新しいMMT裏入門」というのをやってみようと思います!

 なぜなら「新しいMMT入門」は意図があって、「貨幣(マネー)」概念に頼らずにMMTを記述するっていう方針を打ち出していたのでした。

 一方で、「マネーストック」「マネタリーベース」などの貨幣論は関心が高いのだということを感じずにもいられませんし、知りたい人の圧を感じもします(笑

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宗教としてのマネタリーベース・マネーストック

宗教としてのマネタリーベース・マネーストック

「新しいMMT入門」の第15回。
 兼
資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第49回。

 前回は諸星たおさんの文章の一部分析しました。
 その後ご本人と短いやり取りがあったのでリンクしておきます。

 金ぴかの発売は 2019/8/30で、コロナ上陸が 2020年の一月、このムックの発売は 2020/5/15 という時系列ですか。

 日本MMTウオッチャーの第一人者としてぼくが2019年

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MMTの論理構造をテクスト分析によって明らかにしてみる

MMTの論理構造をテクスト分析によって明らかにしてみる

「新しいMMT入門」の第14回。
 兼
資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第48回ということで。

 流れに任せて書きなぐっていたら、前回はキリスト教神学の話になっていました。

 そういえばマイケル・ハドソンがどうして聖書研究を一生懸命やっているのかが最初ピンとこなかったのですが、今はよくわかります。

 初回に書いたことですが、もともとは「日本でMMTを考えるにあたってはアメリカを無視

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エンゲルスに学ぶ「異端の学」とMMT

エンゲルスに学ぶ「異端の学」とMMT

今回は「新しいMMT入門」の第13回、
 兼
資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第47回ということで。

 ぼくが熱力学とMMTおよびマルクスの類似を真剣に考えるようになったのはごく最近のこと。

 そのあとで、熱力学の巨星であったクラペイロン(1799-1864)やクラウジウス(1822-1888)やマクスウエル(1831-1879)らは、マルクス(1818-1883)と同時代の人である

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松尾匡さん理論を完全解剖する

松尾匡さん理論を完全解剖する

今回は「新しいMMT入門」の第12回、
 兼
資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第46回という感覚でお送りします。

 実は松尾匡さんの『「はだかの王様」の経済学』という本をごく最近(というか今日)手に取ったのです。(Amazon)

 おまえ松尾さん研究したんじゃないのか?という声が聞こえますが、ええ、まあ、ぼくはついつい論文や学術書を優先してしまい、彼が間違えていることを理解するために

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MMT=マルクス理論(大石予想)を論証する

MMT=マルクス理論(大石予想)を論証する

「新しいMMT入門」の第11回!

 思い付きで始めたこの「入門」でしたが、方向性がなんとなく定まってきました。

 実は youtube でも語ったのですが、そもそものぼくの関心はこんな感じ。


 ここ数回(第8回以降)は、たまたまモズラーの呟きを見たことに端を発して「 Drag による仕事の取り出し」というイメージでまとめてきたわけですが、それはこのうちの「物理学的」「熱力学的」な面白さの

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ジョブギャランティの意味を物理の方法で考える

ジョブギャランティの意味を物理の方法で考える

「新しいMMT入門」の第10回!

 この入門の戦略は、MMTの見通しをよくするために「貨幣」に注目するのではなく、操作、オペレーションに注目することを方針を採っていたのでした。

 直近の二回(第8回、第9回)は「王(統治者)が人々から仕事を取り出す」というオペレーションを、モズラーによる二つの比喩を使って図解することを試みました。

 まず第8回ではモズラーの a runner の比喩を採用し

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MMTにおける「税が貨幣を動かす」ビューの論理(レイ本の第7章)VII

MMTにおける「税が貨幣を動かす」ビューの論理(レイ本の第7章)VII

レイ『現代貨幣を理解する:完全雇用と物価安定への鍵』(Understanding Modern Money: The Key to Full Employment and Price Stability)2006年版における、第七章「税が貨幣を動かす」ビューの論理(The Logic of Taxes-Drive-Money View )の個所のゲリラ訳と解題、その七回目。

 この話だけのマガジ

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「モズラーの名刺」のまともな解釈

「モズラーの名刺」のまともな解釈

「新しいMMT入門」の第9回!

 ここまでいろいろ書きながら自分の思考をまとめてきた感じでしたが、ようやく理論的な最終形のイメージができてきました。

 もったいぶらずに、それを先に示しておきましょう。

 それはマクロ的(巨視的)な描像とミクロ的(描像)の二つから成り、この二つは相似の関係にあります。

 経済学者または経済学アタマの人たちは、よく「マクロではミクロの常識と反対になる」といいま

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モズラーの「逆リヴァイアサン」、もしくはMMTの全貌的イメージ

モズラーの「逆リヴァイアサン」、もしくはMMTの全貌的イメージ

 「新しいMMT入門」の第8回!

 さっそくですが、こんな動画が出ました!
 ここ note とはアプローチが違うのですが、今後も動画と連動していろいろできたらいいなと思っています。

 ぼくが退出した後の一コマ。
 

 初めての経験でしたが、どうやら楽しんでいただけたようでうれしさいっぱいです\(^o^)/

 上の動画でもすこししゃべっているのですが、2019年、日本にMMTが本格的に流入

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交換と「王の支出」を考える

交換と「王の支出」を考える

 「新しいMMT入門」の第七回!

 前回は下の「本質的な7種のオペレーション」を提示しました。

 ところで科学とは、少ない原理と事実によって多くの事実や事象を説明する営みなのでした。

 そこで今回は、これらのオペレーションに先立つ原理を深く考えていくことにします。

 王は通貨で民衆に支出して、通貨を徴税する。

 そのことは王は通貨が流通することを知っていることを意味します。

通貨が流通

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ここから始める!MMT

ここから始める!MMT

「新しいMMT入門」の第六回!

 「入門」と言いながらも前回はかなりマニアックな話になってしまったかもしれません。

 今回は一転、MMTの最低限の知識を厳選してみましょう。
 これが基礎になります。

 科学とは何か?という問いにはいろいろな言い方がありますが、ここでは次のように考えています。

 それは、いくつかの事実と原理を前提にして知識を論理的に積み上げることにより、多くの事実を体系的に

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貨幣、エントロピー、MMT

貨幣、エントロピー、MMT

 「新しいMMT入門」の第五回!

 そろそろ本編に入りつつある感じです。

 この「新しいMMT入門」におけるぼくの戦略の柱の一つは、なるべく「貨幣(マネー)」という言葉あるいは概念を使わずにMMTを語ることにあります。

 そのあたりの話をしておこうと思います。

「貨幣(マネー)」概念に頼らずにMMTを記述する 「何言っているんだ?、MMTは現代カヘイ理論」でしょう?と思う方がほとんどだと思

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MMTが「不明瞭」で「政治的」な理由

MMTが「不明瞭」で「政治的」な理由

 「新しいMMT入門」の第四回。

「経済学者は悪でなく凡庸」と見るビュー 前回ぼくは、犬キャラを徹底させて「経済学者たちがMMTをわざわざ捻じ曲げて広告することに余念がないのは政治的な理由、出世欲(猟官活動など)、あるいは何かの陰謀では?」という説を採り、具体例としては現日銀審議委員の野口旭の論考「MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(1)─政府と中央銀行の役割」を取り上げて検討しました。

 こ

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「それをやる?」、ぼくは憎めない間抜けの側に居る

「それをやる?」、ぼくは憎めない間抜けの側に居る

 こんにちワン。「新しいMMT入門」の第三回。

 そういえば「入門」を教えるとかいう偉そうな nyunって誰?ってなりますよね。

 申し遅れました。
「日本におけるMMTウォッチャーの第一人者」をしている犬です。
 ときどき語尾がワンになってしまいます。

 さて、この「新しいMMT入門」をやりたくなったのは、ここでアメリカの1951年アコードのこと書きながら(このエントリ)「日本においてMM

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