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うちのごちそうはラムだっちゃ。

 祖父の命日が近いので昨日はお墓参りに行ってきた。

 お供えの花と生前に好んで飲んでいた銘柄の日本酒を携えてブラブラと墓地に。

 前回参ったのがお盆だったので約四か月ぶりだった。

 ひっそりとした山の中にあるので私のほかには誰もおらずしんとしていた。

 到着してお墓の掃除をしようと思ったのだが誰かが先に来ていたらしく綺麗な状態だった。
 
 なので花を活けて、お酒を備えてから線香をあげてむにゃむにゃと会話を楽しんだ。

 じっくりと話し込んだので足がしびれてしまった。

 イテテと思いながらお墓から帰る途中に実家に立ち寄った。

 連絡をせずに行ったのだが日曜だったので両親とも家にいた。

 訪れてまずは仏壇に手を合わせる。

 実家に行くと必ずやる行事だが気が引き締まってなかなか好きである。

 父にお供え物のお酒を渡すと、おっ気が利くなじゃあ今晩飲もうか、飯を食っていけというのでお言葉に甘えることにした。

 母はあらそれだったらお買い物に行かなきゃとどこか嬉しそうである。

 そうと決まれば話は早い。
 
 さっそく母と一緒に買い物に出かけることになった。

 私が運転する車で母が馴染みのスーパーに足を運んだ。

 日曜日なので鮮魚の品ぞろえはいまいちだったので精肉コーナーを覗いてみた。

 ラム肉が半額になっており大量に売れ残っていたのでこれにしようかという事になった。

 メインがラム肉となればこれはもうジンギスカンで決まりである。

 となると野菜も大量に食べるので青果コーナーであれこれと買い込んだ。

 それからちゃっかりビールもかごに滑り込ませたのが昨日のファインプレイ。

 母はセルフレジを上手に操作できないので長蛇の列の有人のレジに根気強く並んで会計をして帰宅。

 時計を見るとまだ晩御飯まで時間があったのでジンギスカンのタレを作ることにした。

 醤油、味噌、お酒、みりん、摺り下ろした玉ねぎ、にんにく、しょうが、りんごをよく混ぜてそこに買ってきたラム肉を漬けておく。

 それから野菜の下拵えをして副菜を作る。

 カボチャがゴロリと転がっていたので薄切りにして揚げ焼きにする。

 その上に摺り下ろした大根おろしと醤油を回しかけたらカボチャのおろし揚げの出来上がり。

 ここまでやったら後は母にバトンタッチ。
 
 レタスとパプリカのサラダや茶わん蒸しとかパタパタと台所を忙しなく動きながらおかずが増えていく。

 私は普段おかず二品、汁物という品数で済ますことが多いが母は放っておくと四品も五品も作るので盛大に食べ残すことがある。

 実家も高齢化が進んでおり私たちが実家に住んでいた頃よりは確実に胃袋の許容量が落ちている。

 実家に住んでいる兄は仕事が不規則なので晩御飯時に家にいないことがよくあるので実質父と母の二人きりの晩御飯の事が多い。

 なのでたまに私のような胃袋若手が訪れると張り切って料理をする。

 まあ私もまだまだ食べられる方なので一生懸命食べる事にしている。

 そんなことを考えていたら晩御飯の時間になったので食卓につく。

 何はともあれ父とビールで乾杯。

 父のグラスにビールを注いで私は手酌で好みの泡加減でトクンと注ぐ。

 はい、かんぱーいと言いながらグラスを傾ける。

 うふん、程よく冷えていて美味い。

 やっぱりビールは口開けに最適だと思ってうっとりする。

 あっという間に一缶飲み干して二本目を取りに冷蔵庫に行く。

 それからジンギスカンを作っていく。

 ホットプレートを熱して温まったら油を敷く。

 そこに先ほど漬け込んだラム肉を加える。

 ジュワーッと心地いい音がしたら軽くほぐしてしばらく放置。

 七割がた火が通ったらそこにもやしとキャベツを側面に配置して漬け汁を絡めながら焼いていく。

 ラム肉に火が通って野菜がしんなりとしたらお手軽ジンギスカンの出来上がり。

 ではではと味見をしてみる。

 アツアツのお肉を頬張り野菜で追いかける。

 タレを自作したので添加物のしつこい甘さがなくてさっぱりとしている。

 それでいてラム肉のほんの少し癖のある味にはよく馴染んでいて美味いと声が漏れる。

 さぁ出来たよーと父と母に勧めながら私はビールをグビッ。

 うんうん、ジンギスカンはビールに合うわいと思いながらお酒が進む。

 父も美味い美味いと言ってモリモリ食べている。

 それからこれにはお酒だろうと言って私が持って行った日本酒のふたをポンと開けてぬる燗にしてチビチビ飲み始めた。

 お前も飲めというので私も日本酒に切りかえて父のお相伴に預かった。

 母は野菜が気に入ったみたいでもやしとご飯を一緒に食べていた。

 メインのジンギスカンの存在感がありすぎて他のおかずまで手が回らなかった。

 結構食べ残してしまったので母が明日食べなさいとタッパーにおかずを満杯に詰めてくれたのはありがたかった。

 父とは久しぶりにお酒を酌み交わしたので少し深い話もして有意義な時間を過ごした。

 お墓参りも年内にできたし、内容の濃い休日だった。

 今日の晩御飯は母の味である。

 おかあさん、ごちそうになります。

 さぁて明日は何を食べようかな。

 

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