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【国を持たない最大の民族 クルド人④[トルコによる越境軍事作戦 続]】

こんにちは。

前回の投稿はこちらからお願い致します。


前回の投稿では、10月9日にトルコがシリア北東部のクルド人居住区に越境攻撃したという報道を受けて、それらをまとめました。

今回はその後、どのような動きがあったのかをまとめていきます。

【10月9日、トルコ軍による軍事作戦】

10月9日、トルコ軍がシリア北東部のクルド人勢力に向けて軍事作戦を開始しました。

シリア北東部の国境地帯では、クルド人側を中心に民間人を含む500人以上の死者が出ており、国内避難民の数に至っては約30万人にも上っていると報じられています。

米軍はISとの戦いでシリアのクルド人民兵組織「シリア民主軍(SDF)」と実質上同盟関係にありました。
しかし米軍は、トルコがシリアに侵攻する前週に軍をシリア北東部から撤退させていました。
この撤退に乗じてトルコの軍事作戦が始まったことから、米国とトルコが共に謀ったのではないかという見方をされていますが、トランプ大統領はそれを否定し続けています。

【トルコの狙い】

今回の作戦における、トルコ側の狙いは何でしょうか。

国境からシリア側に30kmの緩衝地帯を設け、トルコ側がテロ集団と位置付けているシリア北東部のクルド人部隊をその地区から追い出し、その空いたエリアにトルコ国内のシリア難民360万人を移住させることです。

これによって、不満分子と見なしている国境付近のクルド人を排除し、シリア内戦によって流入してきたシリア難民も国外に出すことができます。

しかし、この行為は人道上許されるはずもなく「民族浄化」にあたるとして、国際社会からは非難を浴びていますが、エルドアン大統領は作戦の中止を拒否しています。


【10月17日、停戦合意】

同月17日、ペンス米副大統領がトルコを訪問し、仲介の元で5日間の停戦合意がなされました。
この停戦には条件が付けられています。それは、シリア北東部のクルド人部隊が国境から離れ、撤退することです。

これにより、トルコは一時的に戦闘を停止することになりました。

エルドアン大統領は「この条件が達成されれば、今回の作戦は終了する」と述べていますが、「クルド人部隊が両国の国境付近にある安全地帯から撤退しなければ、軍事作戦の再開も辞さない」と警告しています。

しかし、報道によるとシリア北東部では依然として散発的に戦闘は続けられており、被害は拡大していると言われています。



今後も進展があり次第、更新していきます。

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