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【国を持たない最大の民族 クルド人③[トルコによる越境軍事作戦]】

こんにちは。

パソコンの故障により、前回の投稿から時間をおいてしまいました。復旧の目処は立っておらず、慣れない携帯での編集ということで今後も更新が滞るかもしれません。

前回の投稿はこちらからお願い致します。

トルコ、イラク、シリア、イランなど複数の国にまたがって居住しているクルド人は、それぞれの国で迫害や差別を受けるなど、不遇の歴史を辿ってきました。これは今もなお続いています。

そして先日、衝撃的な事件が起きました。

【トルコの越境軍事作戦】
https://www.afpbb.com/articles/-/3248768

https://www.afpbb.com/articles/-/3248984

https://www.afpbb.com/articles/-/3249160

10月9日、トルコ軍がシリア北部にあるクルド人居住地域に向けて軍事作戦を開始したというニュースが飛び込んできました。
この日は海外主要メディアのニュースアプリから、この事件に関する通知がひっきりなしに鳴り続けていました。

報道によると、この攻撃によって既に10万人もの避難民が出ていると言われています。また、戦闘による民間人の死傷者も日を追う毎に増えていっています。

シリア北部のクルド人部隊であるシリア民主軍(SDF)は、ISとの戦闘においてアメリカの主要な同盟勢力として活動していましたが、トルコからは敵視されています。
トルコは、アメリカと連携するクルド人部隊をこの地域から撤退させ、そこにシリア難民200万人を移住させる考えだといわれています。

(クルド人居住地域の分布図。ikeuchisatoshi.comより引用)

【クルド人への強権的な対応】

なぜトルコが今回のような作戦を実行するに至ったのでしょうか。

トルコでは、クルド人に対してとりわけ強権的な対応をとっています。

伝統的に国内のクルド人の存在を否定し、あくまでも「トルコにはトルコ民族しかいない」との態度を貫いてきました。そして中央政府は、山岳トルコ人と見なしているクルド人にトルコ語を教え込むなど、民族同化政策を推し進めてきました。

しかし、国内におけるクルド人の人口は全体の4分の1以上をも占めています。にも関わらず文化的な抑圧として役所や学校、病院などではクルド語が使えず、クルド人というだけでいじめを受けたり『反体制派、テロリスト』であるとして逮捕され拷問を加えられたりするなど、不当な扱いを受けています。

また、トルコ政府は自国内だけではなくシリアやイラクといった周辺国のクルド人組織が自治政府の設立を認めることなどあってはならない、という立場も明確に示しています。

周辺国のクルド地域の独立によって、自国内でのクルド人分離独立運動の促進を懸念するトルコは、これまでにもシリア北部(クルド人居住地域)に越境軍事干渉を行うなど、他国のクルド民族運動に対しても強権的な対応をとってきました。

こうした経緯もあり、トルコは自国内のクルド人のみならず、他国のクルド人地域にも干渉しています。実は今回の越境攻撃が初めてではありませんでした。


欧州諸国は今回の攻撃に非難の声を挙げていますが、エルドアン大統領はそういった声に対して「今回のシリア北東部の攻撃を「占領」と意図付けるのであれば、難民360万人をあなた方のもとへ送りつける」という過激な発言をしています。

独裁化が叫ばれるエルドアン大統領は、いったいどこへ向かっていくのでしょうか。

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