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こころのプリズム

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極めてプライベートであり、密度の濃いことばを連ねています。
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思い出の交差点

思い出の交差点

この涙は
どこのなんの涙だろう
分からぬ間に
ポロポロと零れ落ちるその涙に
忘れかけていた思い出の欠片を
拾い集める

夏のにおい
街を彩る秋色
凍てつく冬空
さよなら春の日

めくるめく断片を
追いかけては

どこかで
それぞれの想いは
交差したのだろうか

していたとしても
していなかったとしても
変わることのない日々を
それぞれの場所で送り続けて

それでも
溢れ出る涙はあたたかく
希望を抱

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Pin

Pin

いつも通りだと思っても
いつもより少しだけ無理をして

いつも通りが少し
いつも通りじゃなくなるのも
いつも通りになって

自分の中心点だったものが
ずれ始めていく

忘れないように
ピンで留めておいたはずなのに
ピンは心を留めておかないと
いつしか取れてしまうから

わたしが
わたしの「いつも通り」を
忘れずいられるように
中心点のピンを押し直す

あの思い出の場所を散歩することだったり
こころ

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first name

first name

君の名前を何度呼んだことだろう

はじめて呼んだ日のこと
どんなふうだったか思い出せないけれど

寝てる君にそっと呼んでみたり
怒ったり励ましたり
いっしょに喜んだり泣いたり

何度呼んだことだろう

君はわたしの想像よりずっとはやく
わたしの手を必要としなくなり
わたしの背丈を追い越す日がくるんだろう

ふとすると
ついこぼれていってしまいそうになる
当たり前のようで当たり前じゃない
君との日々

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弱りかけたこころへ

自分の気持ちを大切にしよう
認めてあげよう
許してあげよう

こんなこと 思ったらダメかも
そう思うこと
無意識に蓋をしてしまうことも
大切にしてあげよう

自分だけは自分の味方であり続けよう

間違いでも 正しいでもなく
ただこの気持ちをあるがままに
受け止めて大切にしてあげよう

望み

望み

小さな小さな種は
目に見えないほど小さくて
見過ごしてしまいそう

その小さな種の名は
望み

ゆっくりゆっくりと
土の中で根を張り栄養を養う
誰にも見えないところで

芽吹いた望みは
ほのかな希望となり
育っていく

雨や風をものともせず
まっすぐに伸びていく
まばゆい光を求めて

大きくなった希望は
自分を輝かせ
周りを照らし

やがて人びとの心に
望みという名の
種を蒔くだろう

目を瞑れば

目を瞑れば

ひとたび
目を瞑ってみれば
見えなかったものが
見えてくるかもしれないよ

目を瞑って
ごはんをひと口噛み締める

広大な空の下 稲穂が揺れている
たくさんの人の手がそこにある
一粒に乗せる想いが見えてくる

目を瞑って
体温のあたたかさに浸る

身体の隅々まで血液が行き渡る
足の先から頭のてっぺんまで
鼓動の力強さが見えてくる

目を瞑って
あなたの言葉に耳を傾ける

聞き慣れた わたしの名前が

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手の平に

手の平に

何も掴めなかった この手の平に

未来の行く末を 問うてみても

答えは 見つからないまま

何も掴めなかった?

果たして 本当にそうなのだろうか

夜のかげに 消える君に

さよならと 振った手

初めて触れた ピアノに

音を重ねて メロディを 作った手

まっさらなノートに

伝えたい想いを 綴った手

何かを求めて

何かを変えたくて

何かを掴もうとして

どの瞬間も この手の平ととも

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窓

心を守るため
閉めた窓

パタンと音もなく
静かに閉ざす

吹き荒れる風からも
冷たく降る雨からも
守ってくれる窓

安心すると同時に
心がしんとなる

こころの奥にあった
柔らかで温かな
何かが一つ

ポキンと音もなく
静かに壊れる

それは大切なものだったような
そんな気がするけれど

どんな味だったか
どんな匂いだったか
どんな肌触りだったか

もう思い出せない

気づけば窓の外に
日差しが

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Flow of river

Flow of river

相手に伝わるように
それも大事かもしれないけれど

自分の気持ちを濁すことなく
そのままの言葉で響く相手こそ
自分にとっては大事な存在だから

なるべく 濁さず 流されず

濁れたら 澄み渡る気持ちになれるまで

流されたら 元の自分を思い出すまで

ゆっくり じっくり
濁れ 流されながらも
生きていこうじゃないか
#詩

A moment of shine

A moment of shine

鼓動が先走っていく
走れ走れと追いつくように
この気持ちの訳を
思考は解明を始める

解明できない気持ちがひとつ
更けていく夜の中に
星屑のように瞬いて
一番星か流れ星か

美しい輝きならば
そのまま解けないままでいい

目を瞑れば
その光も一瞬にして消え去っていった
夜の闇に溶けていった

解けないままに
#詩

一心同体

一心同体

彼は大きくなったり小さくなったりする

小さいときはほとんど見えないけれど

でも確かに存在しているようだ

大きくなるときは存在を確認した瞬間

もっともっと大きくなっていく

あいつから逃げようとしても

どうやらダメらしい

あいつには包み込んであげる

やさしさが必要らしい

それでも

ぼくがいるからあいつがいるし

あいつがいてこそぼくになれる

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Unconditional love

Unconditional love

大好きなひとに望むことは

愛されたいとか
こっち向いてほしいとか
気づいてほしいとか

想い続けていたら
そんなものもなくなって

今はただひとつだけ

どうかあなたのままで

あなたがあなたの道でしあわせであれ
#詩

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ちなみに、「無償の愛」というのが、わたしの人生のテーマの一つでありますが、無条

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Real

Real

本物はどこにある

加工されたものばかり
目にして口にして耳にして
なんとなく生きるぼくらだけど

自分の内側は
からっぽになっていないだろうか

フィルターを通して
真実を見通せる目があるだろうか

成分表からはわからない
生命のつながりを味わう口があるだろうか

マスタリングの先の
込められた思いを感じる耳はあるだろうか

こころはどこにある

そこに愛はあるのか

せめて子どもたちには

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calm in the morning

calm in the morning

夜の底に落ち着いたのはいつごろか

目が覚めたら

こころがうんともすんとも

声を出さないでいた

夜の闇に声を置き忘れてしまったのか

漣ひとつ立てずに

おとなしくじっとしている

そのこころの奥に

朝の生まれたての光に溶けていく

まぶしさに目を細めるも

受ける光の心地よさ

こころは凪

やさしさが広がっていった

あたたかさとともに

広がっていった
#詩
#詩