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詩「立ち込める不信」   2018 6 6

豆散らばりし杜若
腹水溜まりて水芭蕉
浸潤恥ずかし沈丁花
蝋燭消えゆる彼岸花

飾る顔色花海棠
親身な真味福寿草
苦味旨味白木蓮
所詮他人事蓮華草

解けぬ知恵の輪富貴草
約束の日割り松葉菊
しゃぶる足元花蘇芳
むせる戯論甘野老

豚肥ゆる秋鳳仙花
名無しの案山子蓮華草
無菌の精霊君子蘭
痩せる血液春紫苑

逝ってしまうのですね
私には本当の意味で寄り添うことは叶わないのです
あなたの孤独が本当の意味で共感できないのです
あなたと同じ境遇になったときに初めてあなたの本当を感じます
嘘をついたのかも知れません
私は煙草を一本だけ吸おうと思います
あなたが愛した煙草を一本だけ
私はあなたを本当に愛していました
あなたがいなくなるなんて信じられません
あなたは突き抜けて菩薩の心境でいると信じたいのです
運命を受け入れ突然よりも華々しく受け入れていると信じたいのです
背信ではないと全身で語りたいのです
しかし私はあなたに寄り添いつつあなたの全裸におぼつかない子どもなのです
あなたのそばにいつつあなたから離れた場所に佇んでいるのです
どうしても重ならない影
あなたと私の影は重ならないのです
信実
あなたにはあなたしかわからないあなたがいるのですが私は私の亡霊なのです
私もいつかなんらかの形であなたのそばに行くでしょう
それは突然なのかも知れません
できるならば
できるならばあなたが残された日々をあなたなりに噛み締めて
できるならば良き昔を胸に旅立つことを切に願うのです
不信
不信
私を疑うことなくいてくれる間にあなたに逝ってほしいと
これが本心
これが本心の拙い私信なのです
木鳴らす風もつれづれに
風を私も感じながら私の順番を待つのです
花を贈りたいのですがどの花を選べばいいのか
それを教えてくれるのはあなたではなく季節
あなたよりも季節の機嫌を伺うのです
あなたよりも季節の機嫌を伺うのです

昇華は飄々として私の手には収まらないのです



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最後まで読んでいただいてありがとうございます。

あなたに会えて幸せです。

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