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「世の中には理由もない悪意が山のようにある」と言ってカントを読む主人公の出口

それは実体のない夢で、だからこそ僕を呼ぶ。倦怠感を孕むデジャヴ。反芻する毎に悪化。

負のスパイラルに直ぐ沼る僕は、友人(鼠)と夢中になった1970年夏のスペースシップという名のピンボールマシーンに突如、取り憑かれる。

無機物(の彼女)と邂逅を果たし束の間交わす謎のコミットメント。無機質なモノに関与し僕の物憂げな態度が真剣へと変容する様がクソ可愛い。双子にすり変わり温めてあげたくなる。

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整合性を欠き夢のような物語が、ままならぬ現実の暗がりを照らし明日を繋ぎもした。

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