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人を愛すること

今までの人生ですごく愛された経験もあったし、愛した経験もあります。

元夫に対しては何があったかを脇に置いても、私が愛した方だと思います。

長らく不倫問題で悩んだ時に、かつて熱烈に想い続けてくれた人と一緒になってたら、絶対に味わうことの無かった感情だった...と思いました。

でも私は自分が愛したかった。

自分が愛せる人を選んだのです。
それは私自身が決意して行動した結果でした。
そう思って結婚して、元夫との関係の終焉を見た時に愕然としたことを覚えています。
自分の選択の結果がこうなのだな...と。
ショックでもあり、また何処か厳粛な思いにもなりました。
私は、この結果をちゃんと受け止めなければならない、と。

そして、
ふと気がつくと疲弊して心も弱くなっていたのかも知れません。数ヶ月前に、ブルーハーツの「歩く花」を聴いていて思うことがありました。

知ってるかい 忘れては いけないことが
何億年も昔 星になった
どんな時代の どんな場所でも
おんなじように 見えるように

覚えたり 教えられたり
勉強したり するんじゃなくて
ある日突然 ピンときて だんだん わかることがある

ガードレールを 飛び越えて センターラインを渡る風
その時 その瞬間 僕は一人で決めたんだ
僕は一人で決めたんだ

今日からは 歩く花 根っこが消えて 足が生えて
野に咲かず 山に咲かず 愛する人の庭に咲く

普通の星の下に生まれ 普通の星の下を歩き
普通の町で 君と出会って 特別な恋をする

ガードレールを 飛び越えて センターラインを渡る風
その時 その瞬間 僕は一人で決めたんだ
僕は一人で決めたんだ

今日からは 歩く花 根っこが消えて 足が生えて
野に咲かず 山に咲かず 愛する人の庭に咲く
愛する人の庭に咲く 愛する人の庭に咲く
THE BLUE HEARTS:歩く花(1995年)


この歌を聞いて素直に感じたのは「羨ましい」というものでした。
“あなたの庭に咲く...” と言ってもらえることが。

でも少しして「自分がその花になろう」と思わなかったことに気がついて、ドキッとし狼狽えました。


いつからそんな受け身になったんだろう...?


「愛されること・愛すること」その両方を人生で経験していつの間にか、咲いて貰えるひと女性が羨ましい...と思うようになっていたなんて。。

“僕”という男性が主語の歌だけど、
「相手に咲きに来てもらおう」と受け身に思ってしまったことに情けなさを覚えました。
もちろん愛されて大事に思われることは素晴らしいことです。

それでも、

自分が愛する人の庭に咲こう” 

そう思える人で在りたいのです。

私の前半生は父性愛への渇望との闘いでした。
幼い時から、父親に愛されず、エキセントリックな父を憎んできました。暴言や暴力も度々ありました。

親元を離れて以降は、父性愛を男性に探していました。人生も後半戦になって、最近ようやくそのような想いから解放されたと感じています。

「私の父はただ一人、誰も代わりをすることはできない」

それをやっと受け入れることが出来たのかも知れません。

ずっと欠落感を抱えて生きていくことも、それはもう自分の宿命だと思って諦めること。
“諦める”というと後ろ向きの響きがありますが、受け入れて降参するのは凄く大事なことです。
今まで足掻いてきましたが、しかたがないと受け入れたら、その欠乏感を別のところで埋めようと思わなくなりました。やっと...。

そういうものを相手に求めていては、結局長い目で見た時に上手くいかなくなる。
夫婦関係の破綻の一つの原因として、私のそんなところが色々な面において、マイナスの波及を生んだのかもしれない...とも思います。



“自分が愛したい”と、そう思える人に巡り会うことは人生における僥倖で、なかなか無いことでしょう。

そして、向こうから同じように思いが返ってくるかは、これは自分側でどうにか出来ることではなく、もしそうなら “贈りもの” なんだと思います。

そして「愛したい」と願う等量分、自分自身を愛すること。自分を愛していないと、他者を愛することは難しいから。

客観的に自分自身をみて、他人のように慈しむこと。自分のよき理解者であること。
自分の感情を誤魔化さず、否定しないこと。


案外、自分には厳しくなっていることもあると思います。
でも一番大切なのは、そうやって自分と向き合うことを止めないことかもしれません。


生まれてから死ぬまで一緒なのは、この自分だから。
嫌になったり呆れたりしつつも、それも自分だ...と受け入れてあげたいな...と思います。


自分を受け入れられる人は、他の人もきっと受け入れることができるから。

受け入れ受け入れられ、そうして人生の輪は回ってゆくのでしょう。

この数年、
「人を愛するってどういうことか...」と折に触れ考えてきました。色々ありますがいつも思うのは、
その人の幸せを願える” 
こと。
思いが返って来ようと、来なかろうとそう思えること...
簡単なようで難しい、難しいようで簡単なそんなこと。



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