見出し画像

作業の虫

暗くて静かな時。
いろいろとパソコンで作業をやる。
今日も暑くて、扇風機を近くに置いて作業をしていた。
風なんて入ってこないがカーテンを全開にする。
庭がまる見えで、木はじっと固まったままで、しんと静まり返っていた。
部屋の明るさは、そのまま静けさと暗さのはびこる庭へと投げかけられ草々の様子がはっきりと分かるようになっていた。
部屋にはカチャカチャというタッピングの音だけが響いて、それが暗い庭へと消えていった。
そうしているうちに、静けさを守った庭の深淵から音が聞えてきた。
羽音である。
音はこっちへと近づいてきて、網戸へ張り付いた。
カナブンである。腹の部分をまじまじと見せて網戸にしがみついていた。
昔、番組で光で虫をおびき寄せる方法を紹介してたな。
そんなことを思った。
この虫は依然として腹を見せながらしがみついていた。
私は、それを横目に見ながら作業の虫へと戻ってキーボードを打ち続けた。
作業が終わっても、そいつは張り付いており、私は眠りについた。
闇の中、羽音がどこかへいったように感じた。
暑苦しい眠りの中で次もそうしようと心に決めた。
次はカブトだろうか、楽しみである。

この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?