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11月毎日投稿

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2023年11月、一ヶ月間毎日更新します。 音楽についてなんやかんや書いています。
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1か月毎日投稿を終えて

11月は1ヶ月間毎日noteを更新すると決め、無事にその目標を達成することができました。お付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございました。 やり遂げた達成感で安酒に溺れ、全部吹っ飛んでしまう前に、今の気持ちを書いておこうと思います。当事者意識があって、酸いも甘いも噛みしめている今のうちに。 10月の初めごろから「11月は毎日投稿をやろう」と決め、1か月前から準備をしていました。書くネタを30日分あらかじめ考えて、ヘッダーもテンプレートを作って量産。 ヘッダーと必要

あなたが必要としたときに、必要とした形で届いていて欲しい

結成27年目にして、このバンドはなんちゅう曲を作ってくれたんだ、と思った。この「なんちゅう」の中身をどう言い表したらよいのだろうか。 BUMP OF CHICKENというバンドが今までに歌い上げてきた百何十曲が、全部この曲の中で息をしているような。それでいて、新しい境地に私たちを連れていってくれるような。 作詞作曲を担当する、ボーカルの藤原さんは、この「窓の中から」という言葉について「昔から僕が音楽制作をする時の根本にあったイメージ」だと話している。 人が誰しも心の中に

久々にクラブ行きたいな~!行ったことないけど

クラブなんて行ったことない。ライブハウスはあるけれど。ライブハウスとクラブって別もの?建物としては一緒なことも多いけど、多分クラブとして使われるときと、ライブハウスとして使われるときでは、全く様子が違うんだろうなと思っている。 DJが曲をかけてみんなで踊るのがクラブ、ミュージシャンの演奏を聴くときはライブハウス、みたいにイメージしてもらえればいいのかなと思う。 「お酒まみれベタベタになったフロア」「地下への階段 重たいドア」くらいまでは、体験したことがある。こう見えても大

ぎこちない心をそのままくるんで街を歩く

ドツドツ、とした音が低音から中音、高音に至るまで並び立ち、私を待ち構える。お酒を飲みすぎたときに、脳の血管が脈打つみたいに頭に響く。 そんな曲にそそのかされるように、街を1人、あてもなく歩いたあの頃を思い出す。誰に会うということもなく、1時間かけて着る服を選んで、さらに1時間かけてメイクをして、電車に乗って毎週のように繫華街へ繰り出した。 佐藤千亜妃さんの歌声が、洗い立ての真っ白なシーツみたいで、くるまっていれば雑多な街の中でも心地よかった。 出かけた先でステキな服やコ

まだリリースされていない曲をタイトルだけであれこれ考える

まだ全貌に触れていない曲について何かを書くというのも、なかなか奇妙なことをしようとしているなあと思う。 10月の頭、タイアップするアニメ『ダンジョン飯』のティーザーとともに、BUMP OF CHICKENの新曲の一部分とタイトルが公開された。あとはバンプのレギュラーラジオで本人たちが少し言及したくらいしか、現時点でリスナーのもとにある情報はない。 リリース日はいつになるのか、シングルとして出るのか、はたまたアルバムの中の一曲として出るのか、一切明かされていない。新曲を待ち

得をすることだけが、意味のあることではないのだから

音楽を言葉にして伝えるって、なんて無謀で無意味なんだろうと思うことがある。音楽は自分が好きなように聴くのが一番だし、音楽の良さを伝えるには、相手にも聴いてもらうことが一番良い。 私に誰より優れた言語化能力や描写力、誰にも真似できないような音楽センスがあるなら、言葉にする価値もある。でも残念ながらそうではない。 11月の頭から25個も音楽に関するnoteをやってきていまさら何をとも、ま~た当たり前のこと書いてるなあとも思われそうだけど、あと5日やり切るために書かせてほしい。

AIと音楽について考えていることをつらつらと

今のユーミンと、荒井由実時代のユーミンが、今のユーミンが作った歌を一緒に歌っている。そんなことができる時代になった。 わずかに残る、荒井由実時代の歌声データや、多数の一般の人たちの話し声のデータベースを用い、AIで荒井由実時代の歌声を生成。松任谷由実と荒井由実のデュエット楽曲として「Call me back」を2022年にリリースした。 2020年には美空ひばりの歌声をAIで再現し、新曲を紅白歌合戦で披露するというパフォーマンスもあった。 最近ではThe Beatles

タイムマシンはいらない

「格言をひとこと」と言われてなにか気の利いたことを言える人生など送ってきていない。もとい、格言を誰かに求めてもらえるような人生など、送ってきていない。 だけど、過去の自分から見たときに、なにか希望を感じられるようなものは、1つでもいいから、常に持っていたい。それだってなかなかに難しいことだけれど、小さくてもいい、正直ではありたい。 そのうちの1つに、BUMP OF CHICKENの「魔法の料理~君から君へ~」をずっと好きで聴き続けているよ、ということがある。 「魔法の料

毎朝コップ1杯流し込むchelmico

「ハトムギ 玄米 月見草~」と、おなじみのメロディーから始まるこの曲。長年日本人をやっているので、この曲を聴くと、慣れ親しんだ爽健美茶の味が条件反射で思い出される。 chelmicoが書き下ろしたラップの部分も、爽健美茶を飲むときってマジでこういう気持ちになるし、こういう気持ちになりたくて爽健美茶を飲むよなあ、と思う。 RachelとMamikoの友達2人組で結成されたラップユニットchelmico(チェルミコ)。歌が上手い、ラップが上手い、声がいい、トラックがいい、聴く

「ゆとり」でよかったと思いたい

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「新世紀のラブソング」を人生の教科書みたいにして生きてきた部分がある。 「息を吸って 生命を食べて 排泄するだけの 猿じゃないと言えるかい?」 この歌詞を心に刻んで、常に疑問を投げかけながら生きてきた。 って書くとなんかすごい禁欲的で自律的で公共性がものすごい高い人間のように見えちゃうよなあ。全然違う、そんなんじゃない。全然朝起きたくないし毎日遊んでいたいし、すぐ疲れるし、薄利多売の服が好き。家事をすぐサボる。昼から飲む

秋の優しい夜風に吹かれて〈11月毎日投稿〉

去年の秋は良かった。良かったというか、近年まれに見る存在感で秋がちゃんとあったと思う。去年私が住んでいた地域では、20度前後の過ごしやすい期間が1か月程度はあった。8月の半ば、朝と晩の気温から下がり始め、昼に先駆けて過ごしやすい気候をもたらしてくれた。11月を過ぎても真夏日が続き、そこから急激に寒くなった今年とは大違いだ。 一人暮らしのアパートで、真夏と真冬以外、また寝るとき以外、なるべく窓を全開にして、外気を感じて過ごすのが好きだった。あとは夜の屋外でお酒を飲むのも好き。

足りない頭で考え過ぎるけれど〈11月 毎日投稿〉

15歳の私が今の私を見たら、どう思うんだろう。息をするようにそんなことを考えるタイプの人間である。 15歳の私の「自分がなりたい大人像」の一端には、大きな存在としてASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル、後藤正文さん(以下ゴッチさん)がいた。 ゴッチさんは理想の大人像の、オフィシャルな部分を担う存在だった。「オフィシャルな」というのはつまり、どういうことに関心を持ち、どういう価値観で、どう行動することで社会と関わっていくか、みたいなことである。 ミュ

鋭いギターがなぞる心の輪郭〈11月 毎日投稿〉

鋭くひずんだツインギターの迫力。轟音のベースは、カオスな音楽性を構成する一員でありながら、暴れまくるバンドを音楽としてまとめ上げている。ドラムはこれでもかという位にまくしたててくるのに冷静さを失わない。そして、この混沌としたサウンドの中で、つややかに、美しく響くボーカル。 豊かな情景描写とともに、生きることと切実に向き合う歌詞を、キャッチ―かつ美しいメロディーで艶やかに歌い上げる。私が高校生だったころ、私も含め邦ロック好きの友達が、みんな9mm Parabellum Bul

風は吹き続けている〈11月 毎日投稿〉

家から大学まで片道1時間半かけて通っていた。軽音楽サークルに入っていたから、練習がある日はギターを背負い、東京の満員電車に揉まれながら。今思えばよくやっていたなあと思う。 女子大というのもあったのか、1時間以上かかっても実家から通う学生が多く、通学範囲は関東全域に及んだ。友達と帰るときも、大体は途中の乗り換えで別れる。半分くらいまで友達としゃべりながら、残り半分はスマホをいじったり寝たりしながら1人で電車に乗る。 そんな中、隣の市の同じ沿線上に住む子に、サークルで出会った