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書評

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サッカーに関係しそうな本を中心に紹介します。たまに自分の勉強用の書評も書きます。
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記事一覧

書評「テクノロジーを活用する私たちが見えていないこと」(清水諭編『現代スポーツ評…

はじめに 今回は『現代スポーツ評論』の「テクノロジーとスポーツの変容」特集号を紹介する。…

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3年前
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書評「測定基準に執着してないか問いかけてみる」(ジェリー・Z・ミュラー著『測りす…

はじめに いまやあらゆるところで成果が客観的に測定され、評価される。測定と縁のない人はい…

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3年前
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書評「あなたが受け取ったメッセージは何でしたか?」(清水諭編『現代スポーツ評論43…

はじめに スポーツ記者の邨田さんと喋るラジオ”さかろぐ”の中で、スポーツの人種問題に触れ…

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書評「読みたい文章が世の中になかった時に読む本」(田中泰延『読みたいことを、書け…

はじめに自分ちの玄関に積もった雪は、自分でかかなきゃいけない。 東京なら積もらずに溶ける…

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書評「勉強するとバカになるから安心してバカになろう」(千葉雅也『勉強の哲学 来た…

はじめに 自分語りを少しだけ。それまで浸っていた経営学に片足を残しつつ、大学院では文学・…

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書評「読むことの問題が山積みになる本」(高橋源一郎『「読む」って、どんなこと?』…

はじめに 「読む」ことへの疑問の持ち方を教えてくれる本で、読み終わっても本が読めるように…

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書評「スポーツを考えるスイッチが入る」(多木浩二著『スポーツを考える――身体・資本・ナショナリズム』創筑摩書房,1995)

はじめに 先日、私がサンスポの邨田くんと喋っているラジオで、『ポスト・スポーツの時代』の読書会を行った。この本の著者の山本さんが「〔引用者注:多木さんが〕仮想敵であり、憧れでもある」と述べているように、たびたび本文中で多木さんの言葉を引いていたため、原文に当たろうと思い読み始めた。 「スポーツを考える」とは 冒頭にあるのが次の文。これが「スポーツを考える」起点となっている。何かを考えるには初めのとっかかりが必要だが、この問題意識はスポーツを考えるスイッチをバチっと入れてくれ

書評「戦術以外のサッカーの見方を教えてくれる一冊」(大串哲郎他編『サッカー13の視…

幅広い学問領域を包含 今回紹介するのは、アカデミックなサッカーの見方を広く浅く学べる本で…

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書評「本当の自分神話に苦しんでませんか」(平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「…

はじめに この本を手にとったきっかけはもう忘れてしまったが、「分人主義」の考え方に強く共…

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書評「私たちの音楽観が変わってきている」(柴那典『ヒットの崩壊』講談社現代新書,20…

はじめに この本、いや著者の柴那典を知ったのはSAJだった。スポーツアナリティクスに関する…

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書評「かつての風景を『サッカーのある風景』に誰かが変えたお話」(大沼義彦,甲斐健…

はじめに 大なり小なり、いまや日本各地で「サッカーのある風景」を見ることができる。しかし…

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【書評】「あたりまえ色眼鏡の度、合ってますか?」(松村圭一郎,中川理,石井美保編『…

 私たちは「あたりまえ」の色眼鏡で世界にフィルターをかけて情報を得ている。その眼鏡の度が…

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【書評】「J1よりは過酷なJ2」(松井大輔『サッカー・J2論』ワニブックスPLUS新書,201…

はじめに 「世界一過酷なリーグ」がどこか。子供に発煙筒を巻き付けたり、アウェイ遠征で1万7…

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4年前
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【書評】「スタジアムと社会は地続き」(陣野俊史『サッカーと人種差別』文藝春秋,2014)

はじめに ここ最近、スポーツ界の差別が続いて表沙汰になった。一つが鈴木武蔵選手、もう一つが大阪なおみ選手。後者については個人的に応援していたお笑い芸人Aマッソが加害者となった一件であり、かつお笑いと差別という別な問題も孕んでおり、複雑な心境である。  それは別にして、これらを見てSNSの持つ拡散力は隠された差別にもスポットライトを当てるのだと感じた。そして差別を受けた側が闘うことだけが対抗手段なのだろうか、これでは力のない者は差別と闘えないのではないか。そんな疑問が湧いたこと