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ふらっと立ち寄った美術館でお気に入りの一枚が見つかれば、それは幸せ。そしていつかの再会…

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ふらっと立ち寄った美術館でお気に入りの一枚が見つかれば、それは幸せ。そしていつかの再会はもっと幸せ。

最近の記事

ルームツアー・その1 ミュンヘン西部

今日は、訳あって仮の住まいとして借りているお部屋の紹介をしたいと思います。 本宅からは自転車で1分、徒歩5分の距離です。 ミュンヘン市西部の私が住む区域は20世紀初めまでは、ほとんどこれといって文献に残るような出来事のないのどかな村でした。 1892年、すでに限界を迎えていたミュンヘン中央駅の負担を軽減するため、新しい操車場が出来て急激に発展し始めました。まず鉄道職員の為の社宅が複数棟450戸分整備され、以来この地区は鉄道職員の町としての名残を残しています。 そのような地

    • 美術館周辺のおすすめスポット

      いい季節になりました。 私はこの時期のミュンヘンが一番好きです。 今年は5月中旬まで雨が多くて、セーターを着ていても肌寒い日が続いていました。6月になって気温がグッと上がり、公園の木々はうっそうと葉を茂らせています。 私の職場はミュンヘンの官公庁や大学が並ぶ地区にあり、お昼休みにはすぐそばのEnglischer Garten(英国式庭園)を散歩しています。 375ヘクタールという広大な敷地をもつEnglischer Gartenは18世紀末にドイツ人の宮廷庭師によって設

      • 本日の写真

        たまたま手に取った雑誌に掲載されていた写真です。 Baumagazineという土木建築・エンジニア系の雑誌に掲載された、ドイツの大型重量物輸送のための特殊車両を専門としているGoldhofer 社に関する記事でした。 風力発電の風車の羽を運んでいます。 蟻が、自分よりはるかに大きい獲物の羽を運んでいるように見えました。 美しく崇高でさえあると感じました。 皆さんとシェアさせてください。

        • バーデン=バーデン 5月| 聴く聖者

          パドヴァの聖アントニウス。 フランシスコ会の茶色の修道服を着て、幼子イエスを抱いた姿は教会の中で一番ポピュラーな存在でしょう。 ペスト患者、旅行者、パン屋をはじめアントニウスによる守護の対象となる項目はとてもたくさんありますが、先ずは貧困者救済の聖人。像の足元に寄付の小箱が備え付けてあります。 私がお世話になるのは専ら、探し物が見つからない時。 「アントニウスさん、アントニウスさん、あのUSBメモリスティック見付けるのをお助けください‼」 探しものをしている者の守護者でもあ

        ルームツアー・その1 ミュンヘン西部

          2023年5月 しばしの静養

          5月中旬、午後9時の夕焼け空です。 最近心身不調で、お医者様からしばらく静養を、と2週間の病欠届けを頂きました。 私は以前ドイツ南西部にあるフライブルクと言う町に住んでいました。その時からの長年の友達の実家にお世話になっています。いってみれはバイエルン州からバーデン=ヴュルテンブルク州へ里帰り。 今年88歳になるお母さんが、、私がよく食べてよく寝られるように心配りしてくださり、同時に、持ってきた仕事や好きな時に本を読んだり森に散歩に行ったり出来るよう最大限の自由を与えてく

          2023年5月 しばしの静養

          私のお気に入りの美術館

          私が参加させていただいているメンバーシップ「オトナの美術研究会」の 投稿企画「月イチお題note」。4月のお題は「#お気に入りの美術館」です。 ドイツで最も家賃の高い町ミュンヘン。 特に週末は狭いアパートに親子3人でいると、息が詰まりそうになります。 そんな時、たまった書類を読みたい時、静かに考え事をしたい時、自分の居場所が欲しい時、ただ単に独りになりたい時、に行くのが1836年に開設されたアルテ・ピナコテーク(旧絵画館)です。 特別企画展の時はチケットカウンターやロッカ

          私のお気に入りの美術館

          新春 2023年へ

          今年の年越しは訳あって、スロバキアのニトラと言う町で迎えました。 以前同じアパートに住んでいたカタリーナさんのお宅へご招待いただきました。昔熊本に住んでいたことがあり日本語もお上手です。宅配を預かったことがあり、カタリーナさんが受け取りに来た時に当時3歳だった息子が玄関に出て以来のお付き合いです。 ギリシャ系ドイツ人の旦那様の仕事の都合で、ミュンヘンからオランダのローモンド、ドイツに戻ってフルダ、ドュッセルドルフ、そしてオーストリアのウィーンを経て彼女のご両親のいらっしゃ

          新春 2023年へ

          【教会建築・内陣仕切り壁】          エスリンゲンの場合

          シュトゥットガルト南東に位置する、ネッカー川流域の町エスリンゲン。 新石器時代の定住跡が見られ、ローマ帝国の一部にもなり、8世紀の公文書に記録が残る古い町です。12世紀からは神聖ローマ帝国の帝国都市となり、街の中にはあちらこちらにその歴史を誇る鷲の紋章のついた建造物があります。 街の中心部に建つ聖デュオニュシウス教会は1220年頃に建設が始められ、14世紀半ばに完成しました。 3廊のバジリカ式教会で、身廊はアーケードと上部の高窓の2層構造。19世紀末の修復工事でかつての壁

          【教会建築・内陣仕切り壁】          エスリンゲンの場合

          【採光】聖カール・ボロメウス教会の場合

          以前紹介した、聖エリザベス教会でもそうだったのですが、鉄筋コンクリート造の近代教会建築では明り取りのための開口部分に特徴があります。 こちらは1963年に完成したミュンヘン市南部の聖カール・ボロメウス教会です。 教会塔の下をくぐって中に入ります。 矩形のプランに細い円柱が高い天井を支えるホール型の教会です。 高い壁の中程に水平に細い帯状に、そして壁と天井が接する高い位置にも帯状に採光が設けられています。 中央祭壇には真上から光が取り入れられています。 天井が低くな

          【採光】聖カール・ボロメウス教会の場合

          私のふるさと、福山

          3年ぶりに帰省して過ごした夏休み。 日本一駅から近いお城として知られプラットフォームからも見える福山城。 すっきりとしたプロポーションが素敵です。 福山駅に到着した時点で、かつての福山城の敷地内に降り立つことになるそうです。 今年築城400年を迎え、改修・耐震工事と併せてかつて防御の目的でお城の北面に張られていた鉄板の再現を試みる、令和の大普請が行われていました。 1622年に城完成を幕府に報告した8月28日にリニューアルオープンした福山城博物館は、以前よりも展示品を少な

          私のふるさと、福山

          Museum Brandhorst に近寄ってみた

          ミュンヘン市の中心部にあり、アルテ・ピナコテーク、ノイエ・ピナコテーク、ピナコテーク・デア・モデァーネと共にクンスト・アレアール(美術館やギャラリーが集中しているアートエリア)を構成するMuseum Brandhorst(ムゼウム ブランドホースト)。 ブランドホースト夫妻の個人コレクションを収めるために建設された現代美術美術館で、ベルリンに拠点を置くザウアーブルッフ・ハットン建築事務所が設計し、2009年にオープンしました。 玄関ホールを抜けると 奥行約100メートル 

          Museum Brandhorst に近寄ってみた

          自己紹介、みたいなことだけど

          2020年12月、これから私はどうなっちゃうんだろう、という強迫観念にも似た感情に突き動かされてnoteを始めました。とにかく書いてみる、そうやって約一年で何とか15本の記事を書くことが出来たものの、2021年11月以降は何も書けないままあっという間に半年以上が過ぎてしまいました。 楽しかった。 これについて書けるんじゃない?と思ったことについて色々な文献や資料を探してを読んでいるうちは。街を歩きながら、記事のアイデアを見付けるのはとてもわくわくするものだった。自分にも何

          自己紹介、みたいなことだけど

          没後100年 建築家ティェシュ

          フリードリッヒ・マキシミリアン・ティェシュはドイツで歴史主義建築の作品を残した建築家の一人で、今年12月21日が没後100年にあたります。 1852年にマーブルク生まれで、若いころから画才を発揮し、画家の叔父からも絵の勉強を薦められ本人も画家になるつもりでいましたが、父の強い希望でシュトゥットガルト工科大学で建築の勉強を始めました。卒業後、フランクフルトの建築事務所に勤務した後、独立しました。 日本関連でいうと、明治維新後、明治政府によって招聘されたお雇い外国人で、法務省旧

          没後100年 建築家ティェシュ

          Reflexion

          ミュンヘンの中心部、新・旧絵画館やギャラリーが軒を並べるアートエリアの一角、現代美術館(Pinakothek der Moderne)の向かいにあって、その名も Galerie an der Pinakothek der Moderne にお邪魔しました。 ミュンヘン在住のロザリ・シュヴァイツァーさんのインスタレーションの展示を見てきました。 黄色・マゼンタ・シアン・緑などの原色、パステル調、ネオン色などの様々な色に着色されたアクリル板がメタルフレームから吊り下げられてい

          2021年 おぼえ書き: リノベーション

          11月も終りを迎えようとしています。書きたくても記事が完成しなかった事柄の、写真だけでもおぼえ書きとして残しておきたいと思います。 こちらはミュンヘン西部にある、長屋形式の集合住宅。テオドァ―・フィッシャーによる設計で1911年に完成しました。ここの長屋の一軒が、今年の春からリノベーションされています。 赤茶色の雨どいの部分、3階建ての住宅です。裏庭から失礼しました。 裏庭から数段の階段を降りて、一階は半地下になります。 一階部分。左手は表玄関から通じる階段。右手は地

          2021年 おぼえ書き: リノベーション

          ハイジの本、見つけました。

          お馴染みの ヨハンナ・シュピリ作 “アルプスの少女ハイジ” の原作を見付けました。Eva Kausche-Kongsbak さんの挿絵の入った、1950年代に版を重ねたもののようで、この赤い本棚で見つけました。 これはみんなの本棚。自宅に読まなくなった本があれば、ここに持ってきて入れておきます。自分が読みたい本があれば持ち帰ることも出来ます。読み終わった本をまたここに返してもいいですし、気に入れば手元に置くことも出来ます。このような本棚は、1990年代からドイツ各都市のあら

          ハイジの本、見つけました。