死ぬことすら出来ない辛さ 23 〜全身清拭 後編
上向きになったら洋服を脱がせて下さいな。
関節は固まっていないけど、大きめの伸びる服を着ているから脱がせやすいはず。
腕を不用意に動かすと痛いから優しくやってね。
まずは左腕から。
脱ぎやすいようにまずはお腹と背中の部分を上に捲り、腕を上げたらお腹から手を入れて腕を押さえたまま袖を引っ張る。
簡単に脱げるし、痛くないからお勧めです。
左腕が脱げたら次は首。
洋服を更に上に捲って顔を上向きに。頭を片手で持ち上げてもらい、もう片方の手を服の中に入れ頭を抜く。
この時に勝手にやられると唾液が気管に入ったりして苦しくなる。だから必ず私の合図でやってちょうだい。
合図をしたら息を止めて気管に入らないようにするから。
もたもたしないでよ。
頭が脱げたら後は簡単。腕を持って服を引っ張るだけ。
だけど、その前に顔を左に向けてね。
長年やり続けて見つけた私に合ったやり方よ。
裸になったら胸からお腹に温めたタオルを一枚。両腕に一枚ずつ乗せて蒸し風呂状態にして。
胸元は点滴の管があるから気をつけて。
首元はやらなくて良いわ。
苦しくなるから。
何もしないで。
身体のタオルは冷めてきたら交換してもう一度。
腕は拭いて同じようにやってちょうだい。
洋服を着せるのは全部終わってからで良いから。腕、腕、身体の順にやって。
全部終わったら洋服を。
脱いだ時と反対に着せて下さい。
もちろん頭を通す時は私の合図で。
洋服を着たら最後は背中。
また横向きになるから、腕、顔、枕の準備を。
横向きになっている時の上側の腕は身体に近付けて立ててちょうだい。
伸ばしていたりすると痛くなるから。
横を向くのが面倒でも背中は一回で全部やらないの。
両方の肩甲骨やその下に毎日交互に湿布を貼ってもらうから、左を向いたら右側を、右を向いたら左側の湿布を剥がしてから拭いて。
拭いたら湿布。
昨日は肩甲骨に貼ったから、今日は貼った場所より下。オムツより上の所に貼って。
毎日同じ場所に貼らないようにって書いてあるから交互に貼るの。
湿布はシワが出来ないように、空気が入らないようにピタッと貼るのよ。
シワがあると後で痛くなる。
痛み止めを貼ったのに痛くなるっておかしいでしょ。
もちろん貼り終わったらクリーム。
クリームが先だと湿布が貼れないから気をつけて。
終わったら上向き。
次は右向きになって同じことをするわ。
全部終わったら上向きにして、シーツや洋服にシワがないように整えて。
腕の位置、肘や肩の下のタオル、掛ける毛布は大丈夫?
毎回きちんとやらないとダメだからね。
清拭はやらないよりは良いから毎日やってもらうけど、やっぱりたまにはお風呂に入ってさっぱりしたいわね。
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