【詩】your room(春は廃墟のように)
部屋の隅に、積まれていた本を数えることも、
気が付いたらやめてしまっていた。
紅茶色の木材に映える陽のひかりを
簡単に想起できるのに、
ガラスの窓の向こうは、真夜中がふくらんで、
風船みたいに墨色がくすんでいる。
燃焼を待つ写真のように、
真っ暗な、ガラスの窓に映る、
空洞を抱えられなくなった色彩が、
破裂した。
天使だったじゃないか。
花束嫌いの、大きな翼の、丁寧な珈琲の、
つけっぱなしのラジオの、古びたギターの、
心音の、
春は廃墟のように
ふれられない雨粒の歩幅で