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超短編小説

18
独り言のような短編集たちです
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Charlotte

何から話せばいいのかしら

私の前に座る警察官は至極呆れて居た。
自分が何をしたかわかっているのか、残された子供はどうするんだ、未遂にしても初犯にしても反省が無いなら守ることも出来ないとかなんとか捲し立てる様にため息を吐く様に言われた。

心残りは確かに残して来てしまった可愛い可愛いあの子のことでしかない。
まだ片手にも満たない歳で私が大好きで拙い言葉で笑って居てくれる可愛い子、寝る時には大好きな

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Sarah

最近なんだか機嫌が悪いのよ、サラったら

私が新しい生活になって忙しくてなかなか構えてないからなのか自分で色々抱え込みすぎなのか、太ったことを気にせず新しいワンピースを送りつけたからなのかわからないけど、なんだかいつもピリピリしてるの

女の子はお菓子作りのように繊細で、あの川のように流れが変わりやすいから気難しいなんて言葉で済ませられないくらい複雑で単純なのよ?あなたは知ってた?

そうそう!

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Sarah

今朝見た夢はサラが露のような獣のような声を上げていて、そのボリュームを調整する楽しさに溺れている視界から始まっていた

私がサラを玩んでいるのに、何故が私はその夢を客観的に見ていて、まるで画面にながれるポルノ映画を見ているかのような、私が触れているはずのサラを他人が玩んでいるような、不思議な夢だった

“そんな夢をみるほど疲れているの?”

久しぶりに連絡をとるにはなかなか口溶けの悪い様な気がした

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Sarah

Sarah

今日なら甘えられる気がするのよぉ〜

そんな上機嫌に響く声は電話の向こうで珍しく酔っていた

大酒飲みではないけれど、そう簡単に管を巻くタイプではないサラが上機嫌で私の電話を鳴らした月も霞む曇り空の夜

別にそんな飲んだわけじゃないよ、楽しくなっちゃってぇ〜

楽しそうなのは別に口調から伝わるし家で飲んでいるようだから大した心配もいらないのだけど、いつもは私が大いに話してサラが相槌を打つことが大半

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Sarah

Sarah

久々の電話だというのにサラは太ったことしか口にしない

この間もらった寫眞で見るに、私には到底太ったように見えないのにサラは頑なに太ったのだと言い張る

私とサラが知り合ってから季節が一周しきってないくらいしか経っていないんだから、前の方が痩せていたと言われても正直あまりピンとこない

太っていたって可愛いから大丈夫よと伝えているのに電話の向こうの頑固なお姫様はなかなか受け入れもしないし、じゃあ太

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Brandi

Brandi

私じゃない家に帰るのは私がいるからと言うことを忘れないでいてほしいものだわ

そんなことを考えながら夫が大好物のシチューを煮込む

なかなかいい牛肉が見つからなくて肉屋を3軒も見てしまった
2軒目から3軒目に行く交差点で、なんだか今日は良いことが起こりそうな予感がしたの、なんとなくよ

私と似ているところがあると言われても、私以外を愛する理由に納得出来るわけないじゃない

そんなことを考えながら夫

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Sarah

Sarah

私からあげたお下がりのワンピースは、サラのボディラインには思った以上に窮屈だったようで、背中のチャックが上がらないと嘆いてた

ワンピースの首元にあしらわれたフリルが百合みたいに綺麗な首筋に映えてチャックをあげるのを手助けするだけのはずが思わず百合を崩したくなる気持ちを押し殺すのもひと苦労

やはり上がりきらないチャックに痺れを切らして、壊しても悪いからもうやめると床にワンピースが落下した
また新

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Sarah

Sarah

サラのこと?そうね…

久しぶりに聞いた声は相変わらずとっても可愛かったのよ
あまり誉めると天邪鬼だからそっぽを向くんだけど、それもまた子供みたいで愛らしいわよね

彼女と知り合ったのはそんなに前では無いの
古くから知っていたわけでも、何かを共に過ごしたわけでも。
だけど初めて言葉を交わしたときから不思議と彼女の温度とでもいうのかしらね、惹かれるものがあったの

こんな世の中だからなかなか会えない

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Eleanor

Eleanor

昨日のお酒がまだ消えないわ
そんなに呑み過ぎたってわけじゃないんだけど
ちょっと調子が悪かったのよ

新しく買った安いハイヒールはもう傷だらけ
ティーンの娘は彼氏んちから返ってこないし
いとしのダーリンは墓場から蘇って夢にも出てきやしないわ

今日も鏡に写る私は最高に美人よ
私は私だけの味方でいいの
可愛いメイクも、安くても気に入ってるヒールも、誰を誘惑するでもないワンピースも
すべて私のため、私

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Luca

私は全然大人じゃないから、 ごめんなさいね
私より幸せにしてほしくないし
私にしなかったことはしないでほしいし
私を蔑ろにしないで
私のことも沢山頭を過ればいいし
私のSEXが一番がいいの

私との思い出が沢山ある場所に行くなら
私と食べたメニューを頼んでね

私と過ごしたクリスマスみたいに
いちごのケーキは渡さないで

あのカフェの窓際の席は
私が座っていた席にあなたが座っていて

私が作った料

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Violet

Violet

私の名前はヴァイオレット
いい名前でしょ?
大好きな祖母の家からよく見えたジャカランダの花からつけた名前よ

私がヴァイオレットになったのは17の冬
大好きな祖母が亡くなって見送った夜から。

それまでの私には違う名前があったの
なんて名前かは聞かないで野暮ってものよ
私はヴァイオレットなの

小さい頃の私は厳格な父と平和主義な母に育てられ将来は父の跡継ぎだと挨拶の様に言われてきた
裕福だったから

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Amanda

Amanda

アマンダは勝手なイメージをもたれるのが嫌いだった

小さい頃から名前負けしていると陰口を叩かれていた、名前のわりに身体が貧相だとか、顔が地味だとか、名前が豪勢すぎるとか、耳によく入ってきた

確かにアマンダと言う語感の割には地味な女の子で決して垢抜けたタイプでは無かった、だが誰もまともに顔など見たことがないくらいアマンダは髪が長いのだ

クラスでは一番前の席に座っても、一番後ろの席に座っていても気

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Marie

Marie

今日も店は忙しい
流行りの病だかなんだか知らないが此処ではあまり関係無いらしい
広くないカウンターだけの店に変わらない顔ぶれが毎日集まる
不意に見かけなくなる顔も居るが深く詮索しないのが暗黙の了解と言ったところ
誰が来なくなろうと私の安月給は変わらない
酔っ払いの相手をして谷間にチップを挟ませて、ウォッカの混ざった水をウォッカと名付けて売るのだ
体を売ればこんな生活すぐ抜け出せるのかもしれないが体

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12時03分の日曜日

12時03分の日曜日

私が四つん這いで強請るのはね、
早く終わらせたいからよ

私がいつも口内炎があるって言うのはね、
フェラが好きじゃないからよ

私が眠たいと甘えるのはね、
頭ん中では違う人に置き換えてるからよ

私が胸を出さないのはね、
寒くてお腹が冷えるし服をまた着るのが億劫だから

貴方とのSEXは
ただのリフレッシュ。

今日もありがとね