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7年ぶりに、祖母へ手紙を書いてみた。

「みーちゃん、元気にしていますか?」
ある日、祖母からLINEがきた。

祖母は今年で76歳になるが、最近までWワークをしていたほどのパワフルおばーちゃんだ。
そんな祖母が最近ではスマホを手に入れ、私にLINEを送ってくるようになったのだ。

今回は、私が会社を退職したことを聞いて、心配のLINEをくれたようだ。
最近の私は、以前よりかなり体調がよくなってきて、カフェで元気にアルバイトを始めている。
だから祖母には、「元気にしているよ」と返信をした。

2週間後、また祖母からLINEがきた。
「みーちゃん、本当に元気なの?」

どうやら私より上の世代にとっては、会社を退職するということは「重大事件」らしい。
きっと祖母は、なかなか顔を見せない私を心配しているのだろう。
会社を退職してから、収入が途絶えてしまったこともあり、遠くに住む祖母になかなか会えない日々が続いた。

元気にしている姿を見せることができずに、心配をかけてしまっていることがもどかしい。
すぐには会いにいけなくとも、なんとかして安心させることができないだろうか。

そんな思いから、祖母に手紙を書くことにした。

手紙を書くことでの気付き


祖母へ手紙を書くのはとても久々だった。
7年前に年賀状を出したきりだと思う。
この「手紙を書く」という行為が、案外たのしかった

美術館巡りが趣味だった私は、季節ごとの展覧会で集めたポストカードを、なんだかもったいなくて使えずにいた。
今回はそのポストカードの中から一枚選び、祖母に手紙を書くことにした。

ポストカードは、裏面を半分に分割して、片側には住所やあて名を書く。
つまり、文章を書けるのは、わずか半分のスペースしかないのだ。

その限られたスペースに、どんな文章を書こうか?
その悩む時間は、つまり、「相手への愛だ」

LINEではリアルタイムに、どんな長さの文章も送ることができる。
でもそれ以上に、手紙を書くという「手間」を通して、自分が元気であることを伝えられる気がした

そして、ポストカードの限られた範囲をデザインすることが楽しかった

どのポストカードを使おうか、どんなことを書こうか、
何色のペンで書こうか、どんなシールを貼ろうか、どんな切手を使おうか。
そんな悩みが、なんだか嬉しく思えたのだ。

デザインすること


思い返すと、最近の自分は、”身のまわりをデザインする”ことから遠ざかっていたように感じる。

会社員だったころは、お金の心配が少なかったことから、ある程度のほしいものは何でも買えた。
自分の身の回りを、気に入ったもので囲むことが容易だったのだ。

一方で、退職した現在は、必要最低限のお金を稼ぐことしかできていない。
そのため、「欲しいものを買わない理由」・「やりたいことをやらない理由」ばかりを探すようになっていた。

つまり、自分の身の回りを、自分がいいと思うもので”デザインする”ことからは遠ざかっていた。
感性を生かす瞬間を、手放していたのだ。

今回ポストカードを"デザインする"ことを通して、その感性を刺激することができた。
それがなんだか、嬉しかった。

お金をかけなくても、デザインをすることはできる
そんな気づきが、現在の私の暮らしを豊かにした。

特にお気に入りのポストカードは、本棚に飾っています。

感性


才能は「磨くもの」です。
ただ、僕はこの「磨く」って、努力して、訓練して、資格をとって、知識をつけて、などの「足す」行動のイメージをもっていました。
でも今は、「磨く」って、自分にこびりついているもの、よいと信じて付け足してきたものを削ぎ落していくことではないか、と思っています。
磨く」は「引く」じゃないかな、って。

「折れない自信をつくるシンプルな習慣」/ 心屋仁之助

「自分磨き」という言葉を、私はどこかで、自分にいろいろなものを「身につけること」だと思っていた。

だから勉強を頑張ってみたり、人から好かれようと努力したり。
でもなんだかいつもうまくいかない。
「うまくいかないから、もっと頑張らなくては」
そう思って、また他の何かを身につけようとする。
そんなことのくり返しだった。

自分の強みのひとつだと思っていた、自分の「感性」に関しても同じだ。
自分より感性が鋭いひとを見つけては、
「この人のようになれるように、色々なものに触れなくては」と。

心屋さんの言葉を読んで、才能を発揮するために必要なのは、
色々なことを身に着けて「才能をつくっていく」ことではなく、
自分の中に眠る「才能を信じる」ことだと思った。

手紙を書くことを幸せに感じる。
こぼれてしまうような、見逃してしまうような、日常のささいな幸せを見つける。
そんな自分の感性が好きだ。
だから、私はこの自分の感性を信じようと思う

お金を生めないことに、自分を恥じることもあるけれど。

私は自分のこの感性を、もう少し磨いてみたい。見つめてみたい。
だから書くということを続けていく。

いつか胸を張って、「元気だよ!」と会いに行ける、その日まで。

ばーちゃん、待っててね。

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