相場ひろ

クラシック音楽についての物書きです。

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最近の記事

今日の1枚:リスト&ジャエル、ピアノ協奏曲(ベンサイード独奏)

マリ・ジャエル:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 フランツ・リスト:メフィスト・ワルツ第3番S.216、ピアノ協奏曲第1番変ホ長調S.124 NoMadMusic, NMM119 セリナ・オネト・ベンサイード(ピアノ) デボラ・ヴァルドマン指揮国立アヴィニョン=プロヴァンス管弦楽団 録音:2023年  フランスでは近年、19世紀から20世紀前半にかけての女性作曲家の作品が多く蘇演ないし初演されて話題を呼んでいます。この流れは昨日今日の流行ではもちろんなくて、ここ数十年、探索と啓蒙を

    • 偏愛の1曲:ヤナーチェク《カプリッチョ》

      レオシュ・ヤナーチェク:左手と管楽のための《カプリッチョ》 EMI Classics, CMS2376062 ミハイル・ルーディ(ピアノ) チャールズ・マッケラス指揮パリ・オペラ座管のメンバー 録音:1995年6月  好きな作曲家をひとり挙げるならば誰?という質問に対しては答えようがないけれども、「こういう作曲家になりたかった、という人をひとり」ならば、私の場合迷うことなく答えはレオシュ・ヤナーチェクです。ヤナーチェクの音楽を初めて聴いたのは80年代初頭の大学生の頃、ちょう

      • 今日の1枚:ベンジャミン・ブリテン《春の交響曲》他(ラトル指揮)

        ブリテン: シンフォニア・ダ・レクィエム Op.20 春の交響曲 青少年のための管弦楽入門 LSO Live, LSO0830 サイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団 エリザベス・ワッツ(ソプラノ) アリス・クート(メゾ・ソプラノ) アラン・クレイトン(テノール) ティフィン少年合唱団、ティフィン児童合唱団、ティフィン女学生合唱団(指揮:ジェイムス・デイ) ロンドン交響楽団合唱団(指揮:サイモン・ハルジー) 録音時期:2019年5月7,8日、2018年9月16,18日、2021

        • 今日の1枚:ラフマニノフ《徹夜祷》(パトラム・インスティテュート男声合唱団)

          ラフマニノフ:徹夜祷 Op.37(シーハン、ラザレフ、グレチャニノフ編、男声合唱版) Chandos, CHSA5349 エカテリーナ・アントネンコ指揮パトラム・インスティテュート男声合唱団 イーゴリ・モロゾフ(テノール) エフゲニー・カチュロフスキー(バリトン) アレクシス・V・ルキアノフ(オクタヴィスト) 録音時期:2022年6月23-25日  恥ずかしながら、ピアニストとして、あるいはピアノのための作品の作曲家としてセルゲイ・ラフマニノフを知ったのは、20歳を大きく過

        今日の1枚:リスト&ジャエル、ピアノ協奏曲(ベンサイード独奏)

          1曲の2枚:ストラヴィンスキー《ペトルーシュカ》(マケラ指揮&ロウヴァリ指揮)

          ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ペトルーシュカ』(1947年版) ドビュッシー:バレエ音楽『遊戯』、ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 Decca, 4870146 クラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団 録音:2023年9月、12月 ストラヴィンスキー:バレエ音楽『火の鳥』組曲(1945年版)、バレエ音楽『ペトルーシュカ』組曲(1947年版) Signum, SIGCD856 サントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮フィルハーモニア管弦楽団 録音:2023年5月18,21日  時

          1曲の2枚:ストラヴィンスキー《ペトルーシュカ》(マケラ指揮&ロウヴァリ指揮)

          今日の1枚:シューマン《幻想小曲集》作品73,《三つのロマンス》作品94,ブラームス、クラリネット・ソナタ第2番ほか(ミシェル・ポルタル)

          フランシス・プーランク:クラリネット・ソナタ ロベルト・シューマン:幻想小曲集作品73、三つのロマンス作品94 ヨハネス・ブラームス:クラリネット・ソナタ作品120−2 アルバン・ベルク:クラリネットとピアノのための四つの小品 La Dolce Volta, LDV96 ミシェル・ポルタル(クラリネット) ミシェル・ダルベルト(ピアノ) 録音:2021年3月2−5日  かつてフランスの音楽雑誌で「完璧な音楽家」と称賛されたこともあるミシェル・ポルタルは、クラシックのクラリネ

          今日の1枚:シューマン《幻想小曲集》作品73,《三つのロマンス》作品94,ブラームス、クラリネット・ソナタ第2番ほか(ミシェル・ポルタル)

          今日の1枚:デュリュフレ《レクイエム》ほか(レイトン指揮)

          デュリュフレ:レクィエム Op.9 プーランク:悔悟節のための4つのモテット Hyperion, CDA68436 スティーヴン・レイトン指揮ケンブリッジ・トリニティ・カレッジ合唱団 フロリアン・シュトルツ(バリトン) キャサリン・グレゴリー(メゾ=ソプラノ) ハリソン・コール(オルガン) ミルティーユ・エツェル(チェロ) スメイ・バオ=スミス(ソプラノ) 録音時期:2022年7月15-20日(デュリュフレ)、2021年7月31日(プーランク)  モーリス・デュリュフレ(1

          今日の1枚:デュリュフレ《レクイエム》ほか(レイトン指揮)

          今日の1枚:ファリャ《ペドロ親方の人形芝居》、チェンバロ協奏曲ほか(エラス=カサド指揮)

          ファリャ:歌劇《ペドロ親方の人形芝居》全曲、チェンバロ協奏曲 ストラヴィンスキー:《プルチネルラ》組曲 Harmonia Mundi, HMM902653 バンジャマン・アラール(チェンバロ) ペドロ親方:アイラム・エルナンデス(テノール) ドン・キホーテ:ホセ・アントニオ・ロペス(バリトン) 口上:エクトル・ロペス・デ・アジャーラ・ウリベ(ボーイ・ソプラノ) パブロ・エラス=カサド指揮マーラー室内管弦楽団 録音時期:2023年2月  パブロ・エラス=カサドとマーラー室内

          今日の1枚:ファリャ《ペドロ親方の人形芝居》、チェンバロ協奏曲ほか(エラス=カサド指揮)

          今日の一枚:シベリウス《四つの伝説曲》他(マルッキ指揮)

          シベリウス: 《カレリア組曲》作品11 《恋人たち》作品14 交響詩《四つの伝説曲(レンミンカイネン)》作品22 BIS, BISSA2638 スサンナ・マルッキ指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団 録音:2021年10月1&2日(カレリア組曲)、2020年10月(恋人たち)、2023年2月13ー16日(四つの伝説曲)  音楽における物語性とはいったい何でしょう? 具体的なストーリーに沿って進行する音楽が一方にあります。歌劇がそうですし、また交響詩と言われる管弦楽曲には

          今日の一枚:シベリウス《四つの伝説曲》他(マルッキ指揮)

          偏愛の1曲:プーランク、ミサ曲ト長調

          フランシス・プーランク:ミサ曲ト長調 NoMadMusic, NMM019D マチウ・ロマノ指揮アンサンブル・エデス 録音:2013年11月、2014年10月  もう少しフランシス・プーランクの話をしましょう。  前々回、コパチンスカヤのアルバムについて採り上げた時、クロード・ロスタンの「プーランクの中には修行僧とごろつきがいる」という表現を引用しました。プーランクというと、有名な《牝鹿》やフルート・ソナタなどから、「ごろつき」とまではいかないまでも、ハイセンスで洗練された

          偏愛の1曲:プーランク、ミサ曲ト長調

          今日の1枚:シェーンベルク:月に憑かれたピエロ(仏語歌唱版&歌唱抜き版)(マレスコ&ブルゴーニュ)

          シェーンベルク:月に憑かれたピエロ(仏語歌唱版&歌唱抜き版) Klarthe, KLA143 ジェシカ・マルタン・マレスコ(ヴォーカル) ギヨーム・ブルゴーニュ指揮アンサンブル Op.Cit 録音:2022年6月26−27日  アルノルト・シェーンベルクの代表作のひとつである《月に憑かれたピエロ》は、ベルギーの象徴派詩人アルベール・ジローが1884年に発表した連作詩50編をオットー・エリッヒ・ハルトレーベンがドイツ語に訳したものから、21編を選んでテクストとしています。ただ

          今日の1枚:シェーンベルク:月に憑かれたピエロ(仏語歌唱版&歌唱抜き版)(マレスコ&ブルゴーニュ)

          今日の1枚:《Take 3》(コパチンスカヤ、ビエリ、レシチェンコ)

          《Take 3》 フランシス・プーランク[1899-1963]:《城への招待》FP.138より抜粋、ヴァイオリンとピアノのための《バガテル》ニ短調、クラリネット・ソナタFP.184 ポール・シェーンフィールド[1947-]:クラリネット、ヴァイオリン、ピアノのための三重奏曲 ベラ・バルトーク[1881-1945]:ヴァイオリンとピアノのための《ブルレスク》Op.8c-2、ヴァイオリン、クラリネット、ピアノのための《コントラスツ》Sz.111 シェルバン・ニキフォル[1954-

          今日の1枚:《Take 3》(コパチンスカヤ、ビエリ、レシチェンコ)

          偏愛の1曲:ベンジャミン・ブリテン《夜想曲》

          ベンジャミン・ブリテン:夜想曲 Warner Classics, 2564608223 アラン・クレイトン(テノール) ニコラス・コロン指揮オーロラ管弦楽団 2014年11月  北の大地ではベンジャミン・ブリテンの名作《セレナード》が演奏会で採り上げられ、たいへんな好評を博したようです。今日は「偏愛の1曲」として、私が長年愛聴している、同じブリテンによる歌曲《夜想曲》を採り上げたいと思います。  テノール独唱とホルン独奏、弦楽による《セレナード》は1943年の作品です。序奏

          偏愛の1曲:ベンジャミン・ブリテン《夜想曲》

          今日の1枚:シベリウス、交響曲第4番(ロウヴァリ指揮)

          シベリウス:交響曲第4番イ短調作品63、《森の精》作品15、《悲しきワルツ》作品44 Alpha, ALPHA1008 サントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮エーテボリ交響楽団 録音時期:2021年11月、2022年6月、2023年3月  サントゥ=マティアス・ロウヴァリについては以前、フィルハーモニア管とのマーラーの交響曲第2番について文章を書きました。今回は彼がエーテボリ響との共演で継続して取り組んでいるシベリウスの交響曲ツィクルスから、最新リリースとなる第4番を採り上げ

          今日の1枚:シベリウス、交響曲第4番(ロウヴァリ指揮)

          今日の1枚:フランク&ショーソン:交響曲(ジャン=リュック・タンゴー指揮)

          セザール・フランク:交響曲ニ短調 エルネスト・ショーソン:交響曲変ロ長調作品20 Naxos, 8574536 ジャン=リュック・タンゴー指揮ベルリン放送交響楽団 録音:2023年11月1-4日 セザール・フランク:交響曲ニ短調 エルネスト・ショーソン:交響曲変ロ長調作品20 Naxos, 8574536 ジャン=リュック・タンゴー指揮ベルリン放送交響楽団 録音:2023年11月1-4日  セザール・フランクの交響曲ニ短調はかつてフランス系の交響曲の代表として盛んに演奏・

          今日の1枚:フランク&ショーソン:交響曲(ジャン=リュック・タンゴー指揮)

          今日の1枚:「わが日々の終わり」(ルビー・ヒューズ)

          End of My Days「わが日々の終わり」ルビー・ヒューズ ブライアン・エリアス(1948−)「緑の谷に会いに来て」(2009) キャロライン・ショウ(1982−)弦楽四重奏のための「ヴァレンシア」(2012) レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ「野原に沿って」(1927) ジョン・タヴナー(1944−2013)「アフマトヴァの歌」(1993) ジョン・ダウランド(デヴィッド・ブルース編)「ふたつのダウランドのラメント」(2011) 民謡(ドナルド・グラント編)弦楽四重奏の

          今日の1枚:「わが日々の終わり」(ルビー・ヒューズ)