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雑文

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主に読書感想文を載せています。ネタバレしない内容を心がけてますが、気にする人は避けてください。批評ではなく、感想文です。
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#橘玲

橘玲 『働き方2.0 VS 4.0』



★★★★☆

 橘玲氏の本ばかり紹介しているような気がしますね。贔屓の引き倒しにならなければよいのですが。
 今年の4月に出版された本書では、「働き方」というテーマを軸にして、日本社会の特異性や世界の潮流についての話が展開されています。

 ところで、「働き方2.0とか4.0って何?」と思われる方も多いでしょう。本書では以下のように定義されています。

 働き方1.0:年功序列・終身雇用の日本

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橘玲 『もっと言ってはいけない』



★★★☆☆

 ここのところ著書の出版ラッシュが続いている橘玲氏。ベストセラーとなった新書『言ってはいけない』の続編とでもいうべき本書は今年の初めに出た一冊です。内容は前作の補足といったところでしょうか。

 前作が、現代社会にまつわる様々な事象を脳科学や進化論といったエビデンスをベースに展開していたのに対し、本書は文化人類学的な内容にけっこうな分量が割かれています。

 読後の印象としては、

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橘玲 『貧乏はお金持ち』



★★★☆☆

 2009年に出版された本書は2011年に文庫化もされています。僕はソフトカバー版で読みました。
 副題に「『雇われない生き方』で格差社会を逆転する」とあります。前半部分はともかくとして、後半部の「格差社会を逆転する」という内容かはちょっとわからないですね。「格差社会を逆転」は、そう簡単にはいかないと思います。

 内容はというと、マイクロ法人をキーワードにして、会計・税務・ファ

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橘玲 『人生は攻略できる』



★★★☆☆

 今年の3月に出た橘玲の新刊です。
 橘玲がこれまでの著作で書かれた内容を若者向けにまとめた一冊です。僕は連休の半日でさっと読んでしまいました。さっと。

 正直なところ、あまり目新しい情報はなかったです。僕が橘玲の著作をたくさん読んでいるからでしょうね。ページをめくっては、「あ、その話ね」という感じで、まるで復習をしているようでした。
(これ、進研ゼミでやったやつだ!みたいに)

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橘玲 『言ってはいけない中国の真実』



★★★★☆

 2015年に『橘玲の中国私論』として出版されたものを改題して文庫化したもの。文庫化の際に一章分が加筆されています。
 3年前に出たとはいえ、内容は古びていないと思います。本書に限らず、数年で古びてしまう内容のものを書く著者ではないので、いま読んでも何の問題もないでしょう。

 日本にとって近くて遠い国——中国——を様々な角度から紐解いている本書。正直なところ、僕は中国に対して漠

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橘玲 『朝日ぎらい』

★★★☆☆

 書名とは裏腹に、朝日新書から今年出版された橘玲の新書です(もっとも、そこにこそ本書の意義があると書いてありますが)。
 日本の「リベラル」と世界基準のリベラリズムを比較することで、日本の思想的な問題点や特徴を洗い出しています。

 橘玲の著書はどれも基本にあるのが「エビデンス・ベースド」です。主観と客観(事実と意見)をごっちゃにしない、統計的・科学的な根拠を示す、といったシンプルな

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エリック・バーカー 『残酷すぎる成功法則』

★★★☆☆

 アメリカで人気のブロガーが執筆した本作。監訳は橘玲です。
 何事もエビデンス・ベースで語る点が共通していますね。原題は『Barking up the wrong tree(間違った木に吠える)』。
英語の本のタイトルというのは、そのまま訳しても邦題になりづらいものが多い気がします、実に。

 タイトルに『成功法則』とありますが、いわゆるマニュアル本とは少しちがいます。様々な成功の秘

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橘玲 『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』

★★★★☆

『週刊プレイボーイ』誌に掲載されたコラムをまとめた1冊です。2016年に出版されました。
 時系列ではなく内容によって章分けされているので、一つひとつのコラムは短いけれども、読み応えがあります。
 特に最初の沖縄での集団自決事件を扱った章は、現在の政治的状況をふまえると、非常に考えさせられます。僕はほとんど知らずに読んだのですが、その泥沼っぷりに中てられてしまいましたね。

 事実は

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橘玲 『幸福の「資本」論』

★★★☆☆

 6月に発売になった橘玲の新刊です。幸福(の土台となるもの)を3つの資本から設計するというコンセプトで書かれています。
 この手の本はどういうジャンルになるのでしょうね。マニュアル本ではないし、ビジネス本になるのでしょうか。

 本書では幸福の条件を「自由」「自己実現」「共同体=絆」の3つに定め、それぞれが3つの資本である「金融資産」「人的資本」「社会資本」と関係していると説きます。

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