マガジンのカバー画像

雑文

94
主に読書感想文を載せています。ネタバレしない内容を心がけてますが、気にする人は避けてください。批評ではなく、感想文です。
運営しているクリエイター

#ヘミングウェイ

Ernest Hemingway “For Whom the Bell Tolls” / ヘミングウェイ 『誰がために鐘は鳴る』

★★★☆☆

 言わずと知れたノーベル賞作家ヘミングウェイの古典作品です。訳者は大久保康雄氏。

 新潮文庫から高見浩訳の新訳版も出ているようですが、僕は旧訳版で読みました。どうしてなのか? 自分でもわかりません(購入したときは出てなかったのかも?)。
 1973年の訳なので、ところどころちょっと古いかな、と感じるところがありました。高見浩訳ヘミングウェイが好きなので、新訳版で読めばよかった……か

もっとみる

ERNEST HEMINGWAY 『A FAREWELL TO ARMS』

★★★★☆

 Random Houseから出ているVintage Classicsシリーズで読みました。新潮文庫『武器よさらば』(高見浩訳)も同時に読んだので、読み終えるのにけっこう時間がかかりました。
 具体的には片手に一冊ずつ持ち、英文を何行か読んだあとで日本語訳を確認するという読み方です。最初は立ったまま電車で読むのが大変でしたけど、慣れるとなんとかなるものです。

 高見浩訳のヘミングウ

もっとみる

アーネスト・ヘミングウェイ 『日はまた昇る』

★★★★☆

 言わずとしれたヘミングウェイの長篇デビュー作。2012年にハヤカワepi文庫から出た新訳版で読みました。訳者は土屋政雄。いま話題のカズオ・イシグロの『日の名残り』や『わたしを離さないで』などの翻訳をしている方です。ううむ、タイムリー。

 とはいえ、同じノーベル文学賞受賞者の作品といえども、ヘミングウェイは1954年受賞なので、63年も前のことです。カズオ・イシグロと関連づけるのは

もっとみる

アーネスト・ヘミングウェイ 『こころ朗らなれ、誰もみな』

★★★★☆

 ヘミングウェイの短編を集めた選書です。19篇収録。柴田元幸翻訳叢書のシリーズです。

 全集を読んでしまったので、当然、読んだことのある作品しか収録されていませんでした。
 なんで読んだの? バカなの?という声が聞こえてきそうですが、訳者が変わるとどうなるのかな?という好奇心が湧いてきて手に取った次第です、はい。

 選んだ作品は概ねよいと思いますが、『キリマンジャロの雪』と『フラ

もっとみる

アーネスト・ヘミングウェイ 『全短編Ⅱ』

★★★★☆

『全短編Ⅰ』を読んだときに、Ⅱを読むかどうかは決めかねてる、と書きましたが、気がついたら読んでいました。
 Ⅱは未発表作品を含んでいます。解説と年譜もあり、Ⅰとは別の意味でも読み応えがあります。Ⅰの方が有名な作品が多いのですが、クオリティは変わりません。ヘミングウェイをしっかりと堪能できます。

 ヘミングウェイというと、無駄を廃し、研ぎ澄まされた文体という印象があり、それは本作にも

もっとみる

アーネスト・ヘミングウェイ 『全短編Ⅰ』

★★★☆☆

 言わずとしれた大作家ヘミングウェイの短篇集です。1996年に新潮社から出版されたもので、ハードカバーだとⅡまであり、文庫版では3冊になっているようです(さらに、収録順も微妙に違うようです)。
 ヘミングウェイの死後、遺族によって編纂された完全版だそうで、ヘミングウェイが滞在したキューバの地にちなんで"フィンカ・ビヒア版"と呼ばれています。
 翻訳者は高見浩。いろいろ訳されていますが

もっとみる