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なぜ博報堂をやめて起業するのか?  事業ブランド戦略ディレクターの想い

コロナ禍において、2022年博報堂のチーフ戦略ディレクターの職を辞し、事業ブランド戦略パートナーとして起業します。2月に法人設立予定です。なぜこんな時に。はじめに起業の想いを記します。なお、写真は草月流いけ花師範「伊賀晶樺」としての作品です。

背景:マーケティングのコモディティ化

複雑性が増す時代。技術が進化し次々と新しいマーケティング手法が登場しています。デジタルやデータによって、マーケティングにおいて最適化が重視されるようになりました。同時にビジネスは同質化し、コモディティ化しています。世の中には同じような商品サービスがあふれています。
もちろん一つ一つのサービスは世の中を便利にしています。しかし、技術やデータ、デジタルなど計測可能なもの、数値化可能なものはすぐに模倣されます。模倣する意図がなくても技術やデータに縛られて判断を下すと、結果類似サービスが多数生まれてしまうことになります。結果競争は激しくなってしまいます。
デジタル、データ導入という手段が目的化してしまっているからです。ITコンサルも広告会社も、デジタルメディアやデータプラットフォームという手段の導入とその運用で事業拡大を図ります。

想い1:経営の幹「戦略」を支援するパートナーに

マーケティングの本来の目的は顧客にとっての新しい価値の創造です。新しい需要を創造することです。マーケティングとは顧客の心を動かし、市場を動かし、ビジネスを動かすことです。人の心を動かす動因、物事を動かす動因は、時代を越えて、手段を越えて普遍です。その本質的な「動因」を洞察し、進むべき道を明らかにすること。それが「戦略」です。
「戦略」は経営の幹です。デジタル、データ、DXなど手段の活用は「戦術」、経営の枝葉です。古い枝葉は時々一斉に落として新しい枝葉に更新する必要があります。しかし幹である戦略がしっかりしないまま、枝葉だけを新しくしても、また枝葉はすぐに抜け落ちてしまうでしょう。
現在のマーケティングの多くが枝葉のマーケティング、戦術マーケティングになってしまっていないでしょうか。経営の幹を太くする、戦略を考える本来のマーケティングにこだわりたい。これが1つめの創業の想いです。

想い2:経験の蓄積「メタレベルのフレームワーク構築力」を発揮

戦略プロフェッショナルとして経験を重ねてきました。頭の中には、これまでの様々な成功事例、失敗事例、定石、原理原則、フレームワークなどが詰まっています。見通す力、見立てる力、目利きの力がついてきました。業務課題やテーマに応じて、引き出しの中からそれらを取り出し、組み合わせて再編集します。新しい見立てを行い、テーマに応じてストーリーを再構築します。
もちろんビジネス環境が大きく変化している中で、古い事例がそのまま通用するわけではありません。新しい手法や手段のキャッチアップは不可欠です。しかし新しい事象や事例の背景にある、そこから抽出される物事を動かす動因、原理原則などエッセンスは時代を超える普遍性があります。戦術ではなく戦略を見定めます。本質を洞察します。
Yahooのチーフストラテジーオフィサーの安宅和人氏は、経験によって培われるこの力を「メタレベルのフレームワーク構築力」と言ってます。この力をもっと自由に、必要とされるところで発揮したい。これが2つ目の創業の想いです。

想い3:戦略思考マーケティング思考を必要とする地域や企業に

日本企業の99%が中小企業です。また東京1極集中とはいえ、人口の7割が東京圏以外の地方に暮らしています。東京の大手企業以外にも、戦略発想、マーケティング発想を必要としている人たちは多くいます。しかし、地方や中小企業にはその人材が足りていません。私は福岡・北九州で生まれ育ちました。毎年帰省して、地元の仲間達と話します。もっとああすればいいのに、戦略思考、マーケティング思考を取り入れればいいのにと思うことは多々あります。外部から思うことは簡単です。しかし内部から動かないと何も変わらない。外部の知恵を借りながら自分たち自身が変えていくという強い思いを持つ。そんな企業や地域の中にいる潜在リーダーの想いを引き出し、寄り添って、企業や地域が変わっていく、強くなっていく、そんな支援がしたい。規模の大小、創業からの長短、東京か地方か、問わず。これが3つ目の創業の想いです。

以上、記念すべきnote第1回に、事業ブランド戦略パートナーとしての起業の想いを記しました。これから多くの取引先、お得意先様に喜んでいただけるよう、真摯に誠実に向き合っていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

事業ブランド戦略パートナー
伊賀聡/IGA AKIRA


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