見出し画像

いつまでもあると思うな 古き良きもの 好きなもの

痛ましいショックなことが起きた。
ハワイのマウイ島の山火事。ラハイナの街が壊滅的に焼失…。

ハワイはいつでも私を待っていてくれる…はずだった

ラハイナに訪れたのは、15年以上前。
ハワイには 10回以上は渡航している中で、1度だけマウイ島に滞在したことがあって、そのときラハイナに行った。

ラハイナの街は、港の近くに平屋~2階建てのかわいらしいカフェやカジュアルなバー、雑貨屋さんやTシャツ屋さんなどが並び、プラプラ散歩するのにとても心地のいい町並み。

ワイキキの都会的な賑わいとは違って、木造の看板やこじんまりとした低層の建物に統一感と趣きがあって、古き良きハワイの香り。
サトウキビ列車(トロッコ電車のような機関車)にも乗って、ディズニーランドみたいに大はしゃぎしたっけ。

たった1度だけのラハイナだったのに、その光景と空気は今でも忘れられない。立ち寄ったレストランは今でも覚えているし、買ったTシャツ達とビーチサンダルはずっとお気に入りでボロボロになっても捨てがたかった。
それくらい、私にとってのハワイの原風景だったのかもしれない。

いつかまたラハイナに行こう。
そう思いながらも、その後は仕事の合間を縫ってコスパやタイパを優先してしまい、すっかりオアフ島だけのハワイ旅になってしまっていた。
もう少し時間やお金に余裕ができた時にゆっくり行こうと。

ハワイはいつでも私を待っていてくれる。
焦らなくてもハワイは逃げない。
それが私の拠り所にもなっていた。

なのに。あの町並みが一瞬でなくなってしまうなんて。
「いつまでもあると思うな、親と金」とは言うけれど。まさかハワイまで。

いつかまた…に保証はない。思い知らされた。
しかも今回の火事の拡大の原因は、ハリケーンの強風。近年の激しい気象現象だから、ますます「先の保証」はないのかも、という危機感がつのる。

いつでも買える…はずだった

多くの犠牲者に心が痛む。同時に悲しいのは、ラハイナの「古き良き風情」「歴史的なもの」が失われてしまったこと。
昔ながらの良いものがなくなる…。
私は、最近、富にこの傾向を感じている。

私は、ヴィンテージ系のデニムが好きだけれど、デニム生地も、良くも悪くも進化してしまい、あのゴワゴワっとした綿100%の色落ちの良い生地を作る工場もどんどんなくなっている。

数年前、アメリカ製の老舗のジーンズ生地の代名詞ともいえるコーンデニムを生産するアメリカの「ホワイトオーク」社がなくなった。
直前に私は、最後になるであろうホワイトオーク社製コーンデニムのリーバイスのジーンズを駆け込みで買った。今はもう手に入らない貴重品。
ショップに行けばいつでも当たり前に買えると思っていたのに。

近頃は、古き良きデニム生地を作ろうと、日本の職人達があえて古い織機を復刻させているのが一筋の光明。
ただ、古い織機を扱える職人そのものが少なくなっているらしい。

そのうち絶滅危惧種になっちゃうの…?

実はジーンズの裾上げ方法「チェーンステッチ」も、昔ながらの「ユニオンスペシャル」というミシンで縫うと、仕上げの雰囲気がまた格別。
興味のない人から見たらどうでもいい部分だけど、こだわりある人にとっては、この無骨で味のある仕上がり具合がなんとも「粋」なのだ。

その「ユニオンスペシャル」での裾上げも、いつのまにやら、気づけば希少価値になっていることに!
聞けば昔ながらのミシンだけに扱いが難しく、それを扱える人も、そのミシンが壊れたら直せる人も少なくなっているのだとか。
古い機械は、手がかかるし効率も生産性も悪いのかもしれない。

でも…。だからこそ出せる「味わい」ってある。

私が懇意にしているデニムリペアの店主さんは、同業が減っていると嘆きつつも、「確かに効率は悪い。でも自分の手が動く限り絶対にユニオンスペシャルは手放さない」と言っている。
心強い!でも後継者がいない…?
「効率性」ばかりが優先されて、味わいあるものが押しやられていく…。

ラハイナとジーンズは、意味合いが違うけれど、
私が大好きなもの、特に古き良きものが、こんなに早く失われていくことを想定も想像もしていなかった。

いつかまた。いつでもある。
もうそんな「当たり前」は通用しないのかも。
いつまでもあると思うな。
意識を少し変えなきゃと思う今日この頃。

この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?