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一切皆苦

ブッダの言葉に『一切皆苦』というものがある。
「一切の形成されたものは苦しみである」
冷静に振り返ると、身の回りは苦痛で満ちているだろう。
時には嬉しいことも楽しいこともある。
だが、それすらも、「いつか終わる」「変化が起きる」など本質的には苦痛になる。
結婚も出産も進学も出世も。
めでたいことではあるが実は苦痛だ。

心理学でも『一切皆苦』というのは実証されている。
社会心理学者ホームズらがまとめたストレスランキングは有名なもので、人生におけるイベントの中で、7番目に高いストレスとして「結婚」が挙げられている。全体を見ても、「妊娠」「休暇」といった一見ポジティブなものが含まれている。また、これは結婚を基準にして考えられたランキングであることも興味深い。

また、ポジティビティ・バイアスというものもある。
人間はだれしも現実を少しポジティブに解釈するクセがあるという理論だ。
このポジティビティ・バイアスがうまく働かなくなるのが「うつ」と言われる状態である。
「うつ」状態の人は過剰なマイナス思考になっていることが多いが、時として、正確な現実判断をしているということも往々にして見受けられる。

心理学の中でも、あらゆるものは苦であるという考えは科学的に立証されているということだ。
そして、この一切は苦であるということを科学的に証明した2千年以上前に、ブッダはこのことを発見していたのだ。
もちろん、科学で証明するということはとても素晴らしいこと。
だが、はるか昔を生きた先人が、その知恵で現在の科学に通じることを説いているという事実、そこから学びを得るということも、現在を生きる私たちには有意義なことなのだろう。


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