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カワイソウ、って言ってあげよっかw(NetGalleyより)

夏原エヰジさん『カワイソウ、って言ってあげよっかw』という小説を読みました。この作品は、発売前の本などのゲラが読めるサイト「NetGalley」にて読んだものとなります。講談社から単行本が11日に発売とのことです。

ここ近年、生きづらさをテーマにした小説にかなり関心があるので、性格の悪そうなタイトルと合わせてどのような物語が展開されるのか、めちゃくちゃ気になりました。

外国の文化への憧れ、働く女性の更なる活躍、インフルエンサーetc…今作には今の世の中を象徴するかのような5人の「生きづらさ」を抱えた女性が登場します。彼女たちは心のどこかで「頑張っている自分」を他人に認めてほしい気持ちを隠しており、それが物語の大きなカギにもなっています。

果たして「生きづらさ」とは今を生きる人々にとってのお守りのような存在?それともエゴでしかない?そんなことを考えさせられるインパクト抜群の内容でした。

物語は彼女たちひとりひとりの日常にフォーカスした5つのエピソードで構成されているのですが、もともとは学生時代からの友達同士だった5人が話が進むにつれて分裂していく…。主要人物それぞれが辿る絶望から目が離せず、ミステリー・サスペンスとしても非常に読みごたえのある内容でした。

生きづらさに潜むエゴをテーマにした今作ですが、読んでいるとこの話は決して登場人物たちだけの問題ではないのかもしれない、もしかして自分にも思い当たる節があるかも…?とだんだんと思わせてくれるところがこれまたおぞましいです。とても痛い傷をふさいでいる絆創膏を無理やりにはがされるような感覚でした。

これまでに読んだ生きづらさをテーマにした作品というと優しくて読者の感情に寄り添ってくれる内容が多いイメージでしたが、今作のような容赦ないピリッとした作風で描かれる生きづらさの物語もこれまた刺激的で、こういった物語ももっと読んでみたいと思わせてくれました。

変わりゆく世の中と人々の意識に疑問を抱いている人にぜひ手にしてみてほしい作品だと思いました。

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