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『幽世の薬剤師』が面白かったので紹介したい!

私は作中で描かれる謎とその推理に加え、キャラクターも魅力的なミステリー作品が昔から大好きです。

先日、じわじわ気になっていて試しに1巻を読んでみた幽世かくりよの薬剤師』(著・紺野天龍さん、新潮文庫nex)が非常に私好みのミステリー小説で、想像を絶する面白さだったので紹介します!

『幽世の薬剤師』感想

物語は現世の薬剤師・空洞淵うろぶちが、異界の存在によって、人間と怪異が共存する「幽世」という世界に導かれるところから始まります。幽世では最近、吸血鬼が原因とされる感染症が流行しており、この謎を空洞淵の強みである医療の知識を駆使して解決していく…というのが1巻のお話でした。

今作は、まず医療の知識で真相と思われる病を紐解く→物語の核心とされる怪異に近づいていくといった流れとなっていました。世界観や話の展開がわかりやすく描かれているかつ、今まで読んだミステリー作品では体験したことのない刺激的な推理も楽しめました。特殊設定ミステリーが苦手な人にも理解しやすい内容かと思います。

また物語のカギとなる「吸血鬼」が、幽世ではどうやら現世とは若干異なる存在として認知されているそうで、伝言ゲームのように新たな怪異が生まれる独自の世界観を考察して読めるところも面白かったです。

ファンタジー色が強い世界観である一方、吸血鬼事件の展開に関しては、現実世界が抱える課題ともつながるような箇所もあり、物語の内容を身近に感じられた点にも好印象が持てました。

それから何よりも登場するキャラクターたちが魅力的。幽世の住民に向ける空洞淵の優しさには私も惚れてしまったし、綺翠きすい穂澄ほずみの巫女姉妹や、幽世の賢者の金糸雀カナリヤといった女性キャラもそれぞれ強烈な個性と可愛さがあり、空洞淵とどんな関係になっていくのかも気になるところです。

空洞淵を幽世に導いた月詠つくよみというキャラクターのこと、空洞淵の家系と幽世とのつながりと、1巻の時点でもいろいろと謎に感じた部分が多かったので、今後のストーリーも楽しく読んでいけたらと思います!

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