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「読んだ人しか出会えない感動」がある小説を読みました。

fudarakuふだらくさんの『竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る』という小説を読みました!

今作は毎年2月頃からのお楽しみ、電撃小説大賞の受賞作のひとつです。表紙からして私があまり読まなそうなタイプの本ですが、「最大の問題作」「物語は、三度、進化する。」といったキャッチコピーが個性的な作品が多い電撃大賞らしくて興味をそそり、発売後早速読んでみました。


ストーリー

「驚愕の一行」を経て、光り輝く異形の物語。
明治も終わりの頃である。病死した父が商っていた家業を継ぐため、東京から金沢にやってきた十七歳の菖子。どうやら父は「竜胆」という名の下で、夜の訪れと共にやってくる「おかととき」という怪異をもてなしていたようだ。
かくして二代目竜胆を襲名した菖子は、初めての宴の夜を迎える。おかとときを悦ばせるために行われる悪夢のような「遊び」の数々。何故、父はこのような商売を始めたのだろう? 怖いけど目を逸らせない魅惑的な地獄遊戯と、驚くべき物語の真実――。

出版社サイトより

感想

ここからは感想としておすすめしたいポイントをまとめていきます。

★妖しい世界観が魅力的

読み始めてまず魅了されるのが「おかととき」と呼ばれる異形との交流を描いた菖子の物語。父から「竜胆」と呼ばれる役割を継いだ菖子ですが、残酷な遊びを好むおかとときとの時間に彼女は馴染むことができるのか?妖しさ満載な世界観で描かれる物語にすっかり酔いしれてしまいました。

前半はグロテスクな描写も少なくはない(でもここで読むのをやめちゃうのは非常にもったいない!)ですが、ちょっぴりラブロマンス的要素もあるので、最近流行の和風ファンタジーが好きな人にも親しみやすそうな印象も受けました。

★後半の展開で心を一気に掴まれる

それでもやっぱり気になるのが「物語は、三度、進化する」というキャッチコピーではないかと思います。いわゆるどんでん返しをウリにした小説は世の中に山ほどあるものの、実際読んでみると想定内で残念だった…なんて作品も少なくはないはず。しかし今作は読む前の想像を軽々と越え、その先にはまさかの感動が待ち受ける「本物」のどんでん返しでした。

ネタバレになりかねないし、物語が変化する瞬間はぜひ読んで確かめてほしいのでこれ以上は伏せます。ただ1点挙げるのであれば「物語好きの読者の心を掴む物語」であるのは確かだということ。

今作のような意外性と感動を味わいたくて私は本を読み続けているのだと、読み終えて確信しました。たまに読者の期待をいい意味で裏切る作品が世の中にはあるからやっぱり読書ってやめられない!

また「問題作」というのも中盤以降の展開で読む人を選ぶからであって、実際は現在の商業作品に対しての挑戦状のようにも感じられました。

杉井光さんの帯コメントにもあるように、まずは読んでみないと伝わらない感動がある本でした。あらすじからだと怪奇小説やファンタジーとしての要素が目立つ今作ですが、ジャンルの好み問わず、一度は何かの物語を夢中で読んだ経験のある人すべてに手にしてほしい作品だなと思いました。

今回の本

ぜひ読んでみてね

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