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【TOKYO】作品自体がより近しい距離感にあれば

ありふれた日常をテーマとしながらユーモラスな視点で制作された作品が並んだ個展「垢も身のうち」。制作のきっかけや今後の目標など、野村さんに本展の締めくくりとしてお話を伺いました。


「Living」シリーズのきっかけ

―子供の頃の体験で、美術館の空間は作品が自分を見てくれていないような気がしました。 普段美術に関わる機会の少ない人や子ども達にも美術や展示に気軽に触れてほしいという思いで制作して います。本シリーズでは作品自体がより近しい距離感にあればと思っています。


今回の展示はあらゆる身辺のものが作品になっていますが、コロコロのように野村さんが他にも“面白い” と思った身近なものがあれば教えていただきたいです。

―今は、アトリエにある段ボール箱に入った雑多な物、流し台の洗い途中のお皿など。 生活の中にある物もいろんな在り方があります。

「コロコロ」スタイロフォーム,軽量パテ,ウレタン塗料


スタイロフォームの他にも作品の素材感を表現するために色々工夫されて材料を選出されたと思います。どの様にして今回の素材を使ってみようと考えられたのでしょうか?

―元々は大理石などのとても重い素材を使っていました。大学院終了後ドイツで1年間生活していた事で 物理的に大理石から離れてから、素材の探究が始まりました。 スタイロフォームを最終的に選んだのは、作家として制作を続ける上で素材が手に入りやすいこと、場所 を選ばず加工できること、高価でないことなどの持続可能性と、石彫をしていた時のカービングのスキル が活かせる素材であることが決め手でした。

2017 年卒業制作作品「沈み込む身体」大理石


作品はカッターを使用されていますが、カップラーメンやビール缶の穴などはどのように彫って制作されたのでしょうか。カービングの道具はどんなものを使用されていますか?
―カービングの道具はカッターの他に電熱線カッター、紙やすりなどを使っています。カップラーメンの 穴などは、がんばってあけています!

作品「カップラーメン」の俯瞰視点。内側にはネギが張りついているという再現具合。


制作の準備期間、実際に制作に当てた時間なども含めて教えていただけますでしょうか?また、今回の制作レジデンスご滞在と展⽰を通してのご感想を頂けますと幸いです。
―(今回の展⽰作品)全体を通した制作期間は約9ヶ⽉程度です。
今回展⽰前の1 ヶ⽉半前からレジデンスに滞在させていただき、とても制作に集中できました。スタッフの皆様との連絡もすぐに取れますし、展⽰空間を何度も確認できたのも有り難かったです。とにかく毎⽇が楽しくて、充実したレジデンス滞在でした。また、銀座に毎⽇居たので近くのどこに銭湯があって、スーパーがあるのかや、通りの名前の由来や、銀座の歴史に触れられたのも、この⼟地ならではだったと思います。

銀座にある銭湯。野村さんのInstagram ストーリーから


今回のシリーズだけでなく、今後の制作活動に当たっての⽬標があればお聞かせいただけますでしょうか?

―この展⽰を通して、このシリーズで家を丸ごとこのサイズで作ってみたいという⽬標ができました!
全体の⽬標で⾔うと、普段美術に関わる機会の少ない⼈や、⼦どもにも気軽に触れられるようなポップさと、しっかりとした質の⾼さを保った作品を作り、これからも制作活動を続けていきたいと思っています。



終わりに
個展に来廊される様々な鑑賞者、アート好きな⽅から、⼩さいお⼦様を連れたご家族、初めてギャラリーに⾜を踏み⼊れた⽅まで⼀様に楽しまれていたのが、今回の個展では印象的でした。今後の野村さんの活躍にも是⾮ご注⽬ください。

AMMON TOKYOの壁に頂いた野村さんのサイン


※会期終了
野村絵梨 個展『垢も身のうち』
開催期間 2023年10月20日(金)–11月25日(土)
第1会場:WADA GAROU TOKYO Lab. 2/3F
第2会場:AMMON TOKYO 



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