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「ハイキュー!!」で学ぶ本当の能力の高さとは?

「信じてるよ、お前ら」「センスは磨くもの、才能は開花するもの」

信じてるよ

✔無冠の大王様及川徹

 「ハイキュー!!」は魅力的なキャラが本当に多くて、ネタに困ればそれぞれ誰かを取り上げれば軽く1本かけるキャラばかりですが、及川徹(CV:浪川大輔)は屈指の人気キャラで、名言も多く取り上げられています。

 この二人は、以前もコミュニケーションに関する部分で取り上げましたが、今回は、及川に焦点を当て「本当の意味で能力が高い人」いうことについて書きます。

 及川は、宮城県内では強豪と言われる青葉城西バレー部のキャプテンですが、牛島若利(CV:竹内良太)率いる白鳥沢高がいるため、その実力がありながら全国出場を果たすことはありませんでした。

 そのため、全国ユース級の実力を持ちながら、埋もれた無名の超高校級の実力者と言ってもいい選手です。(スラムダンクで例えると、牧率いる海南がいるから全国行けない、綾南の仙道みたいなかんじかな?)

✔ただ相手の「能力と個性」だけに注視することができる及川

 春高予選で青葉城西に「狂犬」こと京谷賢太郎(CV:武内駿輔)が登場します。およそチームプレーに向かない性格をしているだけでなく、いかにもワルイかんじの見た目で、実際ワンマンプレーが多いことからチーム内で疎まれていました。

きょうけん

 そんな京谷に、及川は「相変わらず狂犬ちゃんは面白いね!『ああっ!及川さんが居る代に同じチームでプレーできて良かった!』…って思えるようにしてあげるね」と言い放ちます。

 「壊し屋・狂犬」こんなあだ名がついている極めて扱いにくい選手を、及川は自分なら「使いこなせる」というのではなく「遺憾なく能力を発揮させ、気持ちよく楽しくプレーさせてあげられる」という自負があることが「その牙、俺がもっと鋭くしてやるよ」と言うセリフからも分かります。

 また、中学時代からの後輩で、一所懸命にやらずに手を抜く癖のある国見(CV:田丸篤志)に対しても「もうちょい上手にサボリなね。また溝口くんにドヤされるよ。効率よく・燃費よく・常に冷静が国見ちゃんのウラの武器なんだからさ。でもその分、皆が疲れた終盤にガッツリ働いてもらうからね?」と笑顔で言います。

国見

 一般的には何事も「サボる・手を抜く」は良くない事、してはいけない事だと認識されている日本において、それを「効率よく・燃費よく・常に冷静がウラの武器」と言える人はそうそういないでしょう。

 手抜き、まじめにやっていない、協調性がない、自己中心的…チーム戦においては明らかにマイナスといえる選手の欠点を、「個性」としてのみ捉えてそのポテンシャルを引き出して能力をいかんなく発揮させることができるのが、及川です。

 金田一(CV:古川慎)に対しても「中学時代、飛雄がお前をあんま使えない下僕だと思っていたとしてもな、この及川さんが、神業速攻なんか使わなくても、金田一はちゃんと凄いんだぞと証明してあげよう。」と言います。「自分がすごい」ということではなく「お前がちゃんとすごい」ということを証明してやると言われたら、モチベーションが上がらない人も、この人についていこう!と思わない人もいないでしょう。

✔「真に有能な人」なんてそうそういない、というのが現実

 企業において言うなら、一人だけ営業成績を爆上げする人や、一人だけテキパキとこなす人などは一見すごく有能な人に見えますが、自分だけが仕事ができるという人は、二流と言っていいでしょう。

 また、「仕事ができる人はできない人の気持ちが分からないので、出来ない人に対してイライラしてる」という話もよく聞きますが、同様に、そういう人を能力が高い人とは言いません。物語序盤の影山がそのタイプです。

 及川のように、各個性を的確に分析して活かし、巧みなコミュニケーションで相互理解を適切にはかり、信頼関係を築いてチームや組織全体のモチベーションとポテンシャルを引き上げ、生産性を上げる事ができる人を、真に能力が高い人と言います。

Vsainn及川

 とはいえ、それほど有能な人とはどのくらい存在するのでしょうか?「80:20の法則」と言うのがありますが、事実それほど有能な人材は全人類の20%くらいしかいない、まさに「人財」です。

 そういう人があらゆる業界や企業にまんべんなく配置されていようはずもないので、そうそう身近にはいなくて当然です。多くの人は出会った事すらないでしょう。

 それほど滅多にいない人なので、「あいつは使えない」とか、「仕事ができないダメな奴」とか「あの上司は分かっていない」とか軽々しく言えないことが分かると思います。そんなにできる人なんでそもそもそんなにいないし、そう言っている時点で自分も同類なのですから。

✔周囲にいる人たちの能力を上げる人

 影山は、中学時代、自分と共にプレイしていた国見や金田一が、当時は見せたことがなかった、笑顔や真剣に必死にプレイをしている様子を見て驚きますが、現実世界でも、チームリーダーだけが変わることでチーム全体が変わることは現実でもありますし、そういう組織を実際に見たことがあります。

あ影や

 影山が一番大きく成長したのは、やはり2回の青葉城西戦です。及川を見て貪欲に盗み、学び、それまで独裁者と言う意味のコート上の王様を脱して、チームワークの何たるかを知りました。

 また、普段は何かと影山を明るくイジメる及川ですが、及川が教えを乞うと何だかんだ大事な事を伝えます。その的確なアドバイスで、さらに影山は進化することができました。烏野の副キャプテンの菅原(CV:入野自由)くんのお陰でもありますが、一番はやはり及川の影響が大きかったと思います。

 このように、自分だけが優れているとか、カリスマ性があるとか、一人だけずば抜けて強い、とかというのではなく、周囲の人の能力を引き上げさせてくれる人こそ高い能力を持った人であるということを知っておくと、「まがい物のデキる人」に混乱させられることはないので、ぜひ、多くの人に知っておいてほしいです。

ちーむ青葉城西

 

 



画像出典: 古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

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