14.堀江麗 / 蒸留プロデューサー

蒸留プロデューサーの堀江麗さん。
Google Japan に広告のコンサル業務で勤めたのち、「本当にやりたいことはなんなのか」を自分の心に問いただし、現在は自分自身と向き合う時間を大切にできる人を増やせるよう、クラフトジンを始めとする飲料のプロデュースをされています。

自分自身をととのえるために彼女が大切にしていることを伺いました。

■堀江 麗(ホリエ レイ)
飲料・蒸留プロデューサー。
2017年にGoogle Japanに入社。デジタル広告のコンサル業務に携わった後、大手企業の幹部対象の企画運営に従事。2019年より株式会社カンカクに酒販事業のPMとして、2020年よりエシカルスピリッツ株式会社にてクラフトジン事業に企画PRとして参画。その他アルコール・ノンアルコールの領域を問わず、飲料の開発コンサルを行う。

Instagram: @bellerei112

麗さんが手がけるブランド: @holon_gin_ / @ethical_spirits

_今の仕事を始めたきっかけは？
初めて就いた仕事が広告で、伝える仕事をして思ったのが、「他の誰かの想いを伝える手段を極める」ことよりも、「自分が本当に伝えたいことをモノを作って発信する」ことがしたいんだって気づいて。

私は自分自身と向き合うことをすごく大切にしていて、そうすることで自分も周りの環境も良くしていけると思っているんだけど、ジンを飲むと、一種の瞑想状態に入れるというか、自分をととのえる時間を持てる感覚があるんだよね。

「食」の領域全般に興味はあったけど、いろんな香りや味が五感を刺激して、自分自身をしっかりと見つめられるこの感覚を、他の人にも大切にしてもらいたいなと思って、その思想を伝えるために今は蒸留プロデューサーをやっています。


_今の仕事を始めるのに不安はありましたか？また、それはいつ乗り越えましたか？
広告から物作りに移行したとき、そもそも領域が違いすぎるから、仕事にならないんじゃないかな…とは思ってた。

その気持ちを消化させた方法は2つあって、まず、身近にいる人たちを新しい挑戦をしている人たちで固めてみた。

やっぱり自分1人だと、新しいチャレンジの中で出てくる課題がそもそも何なのかとか、想像しにくかったんだよね。
でも自分と同じような境遇の人と話していると、彼らの経験からシュミレーションができたし、解決方法も分かってくるから、積極的にその人たちと仲良くなっていったら自分の中の焦りは消えたかな…！

もうひとつは小さな実績を重ねたこと。前職で働いていた時に、副業で商品開発からドリンクを企画してみたことがあったんだよね。それを公募制で資金面やメンターを付けて応援してくれる企業に応募してみたら通って。そこからいくつか会社やお店で取り扱いが決まったときに、「私の商品って取り扱ってもらえるんだ」って感動して(笑)

この体験がなかったら仕事を辞められていなかった。最終的に、生活費くらいなら、こっちだけでもなんとかなりそうってなった時に、できる仕事をするか、やりたい仕事をするのか、どっちの属性に自分はいたいのかを考えて…「こっちの方が楽しいぞ」って思ったから、後者の方に飛び込めた。

_仕事を始めた際に影響を受けたアドバイスはありますか？
Googleに入社したときに、自分の長所に目を向けられるきっかけとなる言葉をもらったの。「この会社に入った時点であなたたちは優秀だと思ってください。」「もし、あるチームで成果が残せなくても、それはあなたの能力が劣っているからではなく、マネージャーがあなたを活かせなかったり、その場所が単純に最適ではないことが理由だから、どこに異動してもいいですよ」
そう言われたことは、会社を辞めた今でもすごくポジティブに働いてる。

それまでは自分のできないところを潰していく発想で、物事をこなしていくことが多かったんだけど、この言葉を言われてからは、今の私をいかして頑張ろうって思えるようになった、すごくいいきっかけだった。


_失敗から成功に結びついたことはありますか？
失敗は…1日の中だけでもたくさんしていて…(笑)
でも自分の反省をするのは得意だから、成功に結びついた経験も多いかもしれない。
毎日、今日の自分は何が悪くて、明日はどうしたら良くなるかをノートに書いているんだよね。

私はやっぱり長年の習性で、自分のできないところに目がいっちゃう。でも、できないことに目を向けるから、できることは増えるんだと思ってます。「反省をする」っていうとネガティブなことだと思われがちだけど、どうしたら改善できるのかが分かると超ポジティブになってくる。
「明日の私は、また新しい！」って思えるんだよね(笑)


_ 働く中で、あるいは生きてる中で大切にしているキーワードを教えてください
自分が持っているもの全部を肯定できる環境にいるかどうかっていうところかな。

仕事でも、人生の充足度のためにも、個人が持っている全てのポテンシャルが発揮される状態がすごく大事だと思っていて、それはそれぞれが持っている違うバックグラウンドと現在を認め合えるかがキーワードになると思う。

もともと私は自分の駄目なところを直すことに焦点を当てて来たからこそ、現時点での自分を「良し」と思えることは、自分を活かせる上に、より楽しいことにも気づいて。だから仕事でも、私生活でも、自分も他人も認め合える環境にいるかは大切にしているところです。