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幻想を断ち切り、前へ

私は、地獄に堕ちたような場所から今の光の粒にあふれた場所にやっとたどり着いた。それまで、先に手の届かなくなった人を追いかけるように走ってきた。

私が向かう先に希望が湧いてきた、あの人がいるのなら
どれだけ希薄な人たちにつらい思いをさせられても
私の生きる支えになる

ひとりだけど、ひとりじゃない
走って走って、もう、どこにも姿は見えないけど
それでもひとりじゃない、って安堵感があった。

もう誰も信用できなくても、いい。
誰に嫌われてもいいんだ。

あの人がいるのなら、生きて、走っているのなら
会えなくても、それでも私の生きる支えだ

私が走っていける糧となって私が人を信用できない、
愛せない、に完全になる前の
まるでストッパーみたいに

傷ついても愛することを諦めたくないと泣きながら眠る私に
それでいいのだと伝えに来るように。

諦めない。
私は私の道を行きながら、だけど人を信用することも、
愛することも諦めない

私は人を癒して、
目に映るもの全てを愛したいのだから

「いつも先を走っていく支えがあるから、私は人を諦めない」より引用

これは、もう長い間私の心の支えだった。そんな風に頑張っていると「思いたかった」のだ。この人しかいないと。

「運命」だと。

実際に再会してみたら、全くそんなことは幻想で、私の想像している人ではなかった。私ががむしゃらに生きてこれたのは他の誰のおかげでもなく、自分の力だったということに、最近になってやっと。やっと気づいたのだ。

そしてこの因縁を断ち切るように、私は「あの人」との関係を終わらせた。

何年も幻想を抱き、利用されてきたことを都合のいいように解釈し、想い出に浸ることで心を癒した。だけど今はそんなことは全く無意味なのだ。なぜなら、それは本当の姿ではなかったことを、知ってしまったから。

夢によく、辛い時に頭を撫でに来る人がいた。その人の夢はとてもリアルで、顔が見えないけれどとても安心して、夢なのに温かくて私はよく眠ることが出来た。

私はその「夢の存在」ですらあの人に重ねることで、運命という鎖を作り上げ、それに酔いしれていただけなのだ。

踏ん張ることができたのは確かだ。だけど、目を覚まさないといけないと
私はもう振り返らずに前に進まないといけないと、そう思った。

運命は変えられる。

いや、そもそも運命なんてものはない。自分で切り開いたその先の軌跡をあとからそう呼ぶだけで、すべては自分次第だ。

もう、いい加減な人間に利用されるのは懲り懲りだ。

この因縁の3年間から、やっと脱することができた。
私の中の新たな一歩だ。


山口葵


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