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日記 | 記憶・捏造人間

最近、noteで読んだ記事の影響で、村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」を読んだ。やっと読んだ。というのは、わたしはLUNA SEAというロックバンドのファンで、LUNA SEAにはファンならば誰でも知っている「 BLUE TRANSPARENCY~限りなく透明に近いブルー~ 」という曲がある。わたしはその曲を中学生の頃から今もなお、ふとした時に熱唱している。それくらい、馴染のある曲なのだ。
その曲というのは、もちろん村上龍さんの作品に影響を受けて誕生した曲だった。その事実を知りながら、元になる作品に手を出さずに(読まずに)ここまで生きてきてしまった。そのことがずっと気になりつつ、きっかけを見つけられずにいたが、noteの記事を読んだことで買い求めてすぐに読んだ。すごく良かった。

そんな出来事が背景にありつつ、今日は本好きの知人とカフェで語り合った。
〝限りなく〜(省略)〟がとても良かったという話から、知人はわたしに、村上龍さんの〝69〟を貸してくれた。わたしは喜んで知人に言った。
「村上龍さんは、なぜかこれまで読まず嫌いだったんだよね。村上春樹さんの本を取るときに、いつも隣にあって、たまに混ざってて煩わしかったりして」
この失礼極まりないわたしの発言を聞いた知人は言った。
「あなたは村上龍さんを初めて読んだって言ってるけど、どうも腑に落ちない。青豆さん、昔、読んでた気がするんだよね」
ほら、あれとか。
そう言って知人は〝55歳からのハローワーク〟という作品名を口にした。確かにその響きに覚えがある。
さらに〝69〟も読んでたよ、と言う。
うそ、そんなわけないよ。わたしは手元にある本をその場でペラペラめくって内容を確認するも、全く記憶にない。
すると知人は、わたしが10年前に使っていたブクログというサイトの、わたしのページを探し当てて言った。
「ほら、読んでる。村上龍さん、三作読んでるよ」
知人から見せられたページは間違いなくわたしのもので、わたしの本棚には村上龍さんの作品が3つ並んでいた。
(その前に、パスワードを忘れて自分のページを見られなくなってしまったわたしのブクログを、知人が見ていることも衝撃だった)

青「うそ……!こわいこわい!!」
知「いや、あなたがこわいよ」

その後は「あなたってこわいね」「記憶捏造人間だね」「人間っていい加減だね」という話で大変盛り上がった。

記憶って、こんなにスッキリさっぱりなくなるものなんだなと思いつつ、しみじみ〝69〟を眺めている。この、文字が大きくなるところは、最終的になにか意味があったりするの?なんて、無邪気に知人に尋ねていた自分が不気味で仕方ない。もう一度ちゃんと読んで確かめよう。ちなみに、10年前のわたしは、この作品を読んで生意気にも5段階評価で星を4つ付けていたのだった。




[完]


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