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カルトなのかもしれない。狂っている【鑑賞後感想】アルピニスト

ある、無名なアルピニストのドキュメンタリー。若く、たぶん、金もねえ。

無名で、若く、貧しいってのは、中上健次みたいだね。芥川賞をとるために必要は資質もしくは資格とは、たってそれだけだ。余談。

マーク・アンドレ・ルクレールを追ったドキュメンタリー。要は情熱大陸。だいたい同じなんだが、この映画、圧倒的に美しかった。その点は違う。

観る前に調べちゃいけないよ。
と、まあ僕は観た後も調べる気はないけどね笑
答え合わせなんかしない。これは、しなくていい。ただ、感じればいい。
そういう映画だ。アートだとも言える。自然は、山は、神々しかった。

美しいって意味で言えば『ミッドサマー』が浮かんだ。あれはカルトだったが、美しいという意味で同じだ。……まて、もしかすると『アルピニスト』もまた、カルトなのかもしれない。そうでなかったら説明できない。だってそうだろう。狂っている。

前振りを終えて、本題に。

2022年
監督:ピーター・モーティマー、ニック・ローゼン
出演:マーク・アンドレ・ルクレール
92分
ドキュメンタリー
85点 

大学生の頃、『孤高の人』をマンガで読んだ。いいマンガだった。ああいうのを読むと、世界が少し変わるかもね。小説はまだ読んでいない。でも買ってある。積本だww とにも、山登りのことはそこで学んだ。クライマーという人種がいるってことをだ。
僕は昔、こう考えていた。「筋トレ? バカじゃない? マラソンも同じよ。でもって山登りだ!? 信じられないね! 死にたがりか? 遭難のニュース見たろ? あれ、完全に迷惑だろ」たぶん、こんな感じにだ。

が、ご存じの方もいるだろうが、僕はランニングからはじまって筋トレにもハマっているww もはや、本がそうなように、またnoteもそうだが、完全になくてはならないものになっている。ランニングか筋トレを3日も休めば体がムズムズする。

実は、ランニング⇒トレランという風に、山にも興味がある。いや、山登りが好きだ。まだ経験は浅いが、スキ。分からないもんだねww

無謀だと思うかもしれないが、初山で神奈川県の「大山」を下から登った。登りに4時間、下山に4時間、計8時間かかった汗
間違いなく人生で一番しんどかった。
……懐かしい思い出だ。昨年の9月の話だ。まあ、たぶん今年も季節が近づいたら登るだろう笑

いかんいかん、このネタだけで書ける。こんなあっさり終わらせるのはもったいない。いつか別で書こう。結局なにが言いたかったって? 好きな人がいることには理由がある。たとえそれが危険を、究極は命を賭けてでも夢中になる何かがあるってことだ。
『アルピニスト』に戻る。

フリーソロのクライマー。ロープ無しで崖をよじ登る。クレイジーだ。

Q なぜ危険に挑む?
A 野暮なことを聞くね。

 山に魅せられた。

マークは完全にイカレてる。車も携帯も持っていない。
自分の時代に生きている。

彼はただ楽しんでいる。だからあんなイカレタ挑戦ができるんだ。

山に登るのは、限界に挑むのが目的じゃない。
そのために登っているんじゃない。緊張感やスリルは求めてないよ。
Q 何が目的?
A 単にもっと気軽な、娯楽みたいなものかな。
 楽しい冒険さ。

で、命を賭けるのか??

アルピニスト:山岳登山

聳え立つ長大な山を登るのは、
スポーツを超える世界だ。
それは古くから続く極限の追求。

山岳登攀は自由の体現
物理的にも哲学的にも自由になる。
その自由の究極の形態が、単独登攀。
何にも拘束されず解き放たれ、完全に一人。
一種のアートだ。

最も純粋で
冒険に満ちたクライミング。そして死に最も近い。

冒険には困難や危険が伴わなくてはならない。
死の危険がないならば、達成の意味がなくなる。
そうでないのならば、子どもの遊びだ。
冒険でもアートでも何でもない。


28分、
このアングル!!ハラハラドキドキする!!


登山すると、人生がシンプルに感じる。

集中するから
細かいことを気にしてウジウジしない。
心が晴れて、落ち着いた気持ちになる。
クライミングを始めて、すべてがしっくりきた。

単独のオンサイトは山岳登山の極みだ。
先立って知識を入れずに山に挑戦する。
行って、ただ登るんだ。
羽を広げ、究極の自由を味わえる。
完全に目覚め、生を満喫している。

そして、トーレ・エガーへ

Q 山での食事はどんなものを用意する?
A 不吉なことを言うつもりはないけど、毎回最後の食事になるかもしれない。それは否定できない。だから好きな物を味わって食べる。最後に食べておきたいものを食べるべき。だって、山に挑むわけだからね。そうだろ?

実にシンプルな話だ。
我々が向かうのは、
本能的に足を踏み入れてはいけない場所だ。

   不測不能だ。

滑落したり、吹雪に見舞われたり、
     死んでもおかしくない。

それでも我々は登る。
夢を叶えるために、壮大な夢を。

……ね、カルトでしょ。でも、いいよね。

1時間3分
これ、どうやって撮っているんだろう??
すごいよ!!

凍え死にそうだけど、まあ仕方ない。


1時間6分
このセリフ!!これだよ!!このメッセージ!!
たまらん!!
これは書かない。本当に、ここはよかった。


山で挑戦すると、
人生の表面的なものがどうでもよくなる。
より深い次元で、自分を見いだせて、
下山後もそれがしばらく続く。
当たり前だと思ったことが、
ありがたく感じるんだ。
不思議だ。
達成したこと自体が人生を変えるわけじゃない。
そこに到達するまでの旅が心に残る。

よかったよ。ドキュメンタリーと映画の関係ってどうなんだろう。ドキュメンタリーって映画に包括されるジャンルのひとつなのかな? でも、ただのドキュメンタリーって、映画とは呼ばないよね? じゃあ、違うか。書いて、勝手に笑った。ミルクボーイを思い出したww
じゃあ映画じゃない。ドキュメンタリーだね。これは映画じゃない。って、言う人は古い人間かもな。観るものを魅了させた、ならやはり映画だ。
とてもよかった。

そうだ、これだけははっきりと言っておく。
この記事は、ネタバレじゃない。
そもそも、そういう次元にない。
それは、観れば分かる。アマプラで観てみて

最後まで読んでくれてありがとうございます。
また次の記事も読んでくれたら嬉しい(過去記事も)。それでは。

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