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おくすりばこ

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いつもそばにいてほしい
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おちこんだひとへ

おちこんだひとへ

僕は「落ち込まない人」よりも「落ち込む人」の方がいい文章を書けると思っています。付け加えるならば「落ち込んだところから這い上がった人」や「希望を見出した人」が人を惹きつける言葉を手に入れると思っています。感受性という「フラジャイルな装置」は、ふいに身体の中へ飛び込んできた小石を時間をかけて真珠に変える力があります。

その繊細な感受性は、時にあなたを苦しめるでしょう。あらゆる力には功罪が伴います。

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教室、制服、男と女

教室、制服、男と女

男っぽい、性欲に素直な男に、「この女と寝てみたい」という視線を向けられるのは、わりと嫌いではない。

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よく知らない男と当たり障りのない会話をしていたはずなのに、突然耳元に寄せられた唇が口角を上げて、「ねえ、俺と寝てみたいんでしょ?」などと不穏なことを嘯いたので、敢えて否定も肯定も口にしないまま、目を合わせてにっこり笑って首を傾げておいた。もう夜も随分更けたというのに、ゆるい人垣に囲まれた

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親の心、子知らず

親の心、子知らず

難しいなあと思うことが多くなった。

娘とのことだ。
高校生の娘は、難しいお年頃。理想と現実の間で葛藤があるようで、たまにものすごく機嫌の悪い時がある。というか、最近は年中機嫌が悪い。

高校に入ったばかりのころは「学校も部活もたのしい!!」と意気揚々としていたのに、最近はすっかり「やる気なし子」
宿題もいや、塾もいや、勉強もいや、部活もいや。
最近では「こんな学校に来るんじゃなかった」とまで言う

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「ごめんなさい」と「ありがとう」の、ちょうど間にできる言葉を食べたい。

「ごめんなさい」と「ありがとう」の、ちょうど間にできる言葉を食べたい。

食事が、官能的でした。

あなたに会う日だけ、前髪が上手くいかないのは誰の悪戯でしょうか。あなたに会う日が多くなってきたから、もう着れる服がなくなってしまいそう。化粧水の減り、前はもう少し遅かったのにな。人生の家計簿に、あなたの名前が見え隠れしている。あなたに会う日が決まった瞬間から、息が欲しくて生き苦しい。あなたと肌を重ねることよりも、こうして向き合ってごはんを食べること。その方がよっぽど手に汗

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