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怪奇骨董音楽箱

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音楽に関して書き連ねたことを、ここに格納していこうと思います。個人趣味から、プログレッシヴ・ロック近辺が多くなる……かも?
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コウノくんのこと

コウノくんのこと

 かなり前に書いた文章ですが、自分語りのためアップしていませんでした。
 しかし記憶と記録の彼方に忘却される前に (多少の手入れをして) ここに残しておきます。
 先に言っちゃうぞ。よくある「ちょっといい話」です。
 
 
 
 僕はザ・イエロー・モンキー(以下イエモン)がわりと好きなわけだけど。
 イエモンを聴くと、いつもコウノくんのことを思い出す。
 僕は大学受験にことごとく失敗し、浪人して、

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俯瞰する牛――星野英彦というスタイル

俯瞰する牛――星野英彦というスタイル

 星野英彦。素敵な名前だよね。ロマンスの主人公みたいだよね。
 しかしその実、彼が髭の剃り跡が濃くて四角い顔をしたBUCK-TICKのギタリストであることを知っているのは、ファンまたはそれに近しい人ぐらいだろう。これはバンドの宿命で、中心人物やキャラが目立つ人物の認知は高い。しかしドラムやベースといった「屋台骨」はとかく名前が知られず、メディアにも「バンド代表として」出ることもない。樋口兄弟は広報

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拝啓、櫻井敦司様。

拝啓、櫻井敦司様。

 このような手紙を書くことになるとは思いませんでした。きっとあなたは、永遠に生き続けるに違いないという勝手な思い込み、それが確信となってなぜか私の中に常に、住み込んでいました。
 男から男へ送る「love letter」のようで気恥ずかしくもありますが、それ以上に、喪失感が拭えません。報せから1週間が過ぎても、未だに実感がなく、実感を得ようとすると「この声の持ち主が、すでにこの世界から旅立ってしま

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さよならISSAY

さよならISSAY

 ISSAYが亡くなった。
……え? ええっ?
 ISSAYって、DER ZIBETのISSAYですよね? 藤崎ですよね?
 とネット・ニュースを読みながら、理解できなかった。あの「デカダンスの帝王」が、世を去ってしまったということが。
 2023年8月5日、ISSAY逝去。
 その意味がわからなかった。
 
 典型的な言葉だが……「死なないと思っていた」。
 これは多くは後期高齢者層に値する「伝

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実録 キング・クリムゾン

実録 キング・クリムゾン

・のんびりした兄弟バンドの「歌える鍵盤奏者募集」の告知に、歌えないギタリストが参加する
・初代フルートとベースの大山のぶ代と楽器できない詩人が加わる
・参加者が増えて詩人が思いつきでバンド名を「キング・クリムゾン」に変更
・命名者の楽器できない詩人がやたらチヤホヤされる
・ギタリストが即興演奏をウリにしたがり、その後のバンドの問題すべてとなる軋轢がスタート
・アルバム出してツアーに出て、いきなりギ

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【勝手に意訳】――V系黄金期バンドの有名曲を「わかりやすく」解釈しよう!

【勝手に意訳】――V系黄金期バンドの有名曲を「わかりやすく」解釈しよう!

■まえがき

 えーと、これだけは言っておかねばなりません。
「僕はこれらのバンドや曲が、大好きでしたし今も好きです」
 茶化してはいますが、決して馬鹿にしているわけではないので、それだけは悪しからず……。

 つくづく「V系の歌ってイメージが強くて、俯瞰で見ると意味わかんないよね」と思うことがあり、まぁ実際そういう歌詞が多いわけです。
 それを「あえて下世話に意訳して」解釈しやすくしてしまう、と

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『MILLION MIRRORS』に見えるSOFT BALLETの「終末への序曲」

『MILLION MIRRORS』に見えるSOFT BALLETの「終末への序曲」

 はてさて。
 以前「ソフトバレエ、まずは『愛と平和』が代表作だ」と記した。同時に「取っかかりには『INCUBATE』もおすすめ」とも。
 その2枚のポップ・サイドが強い傑作の間に、ファンでさえ議論の的となる作品が存在する。それはソフトバレエ(以下ソフバ)がアルファからビクターへ移籍し、大きく期待されての第一作になった『MILLION MIRRORS』。スペルに「L」と「R」が多いので逆に誤入力し

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JAPAN――「服を着た憂鬱」とその仲間たち

JAPAN――「服を着た憂鬱」とその仲間たち

 ジャパン。いやJAPANなのか。
 というのも、表記がはっきりしないのだよ、このバンドは。洋楽だと普通はカナひらきされるものの、このバンドにおいては「JAPAN」と銘打たれているケースが実に多い。オビなんかもバンド名をロゴそのまま採用していたりして。それは「日本」を意味するバンド名への敬愛か、はたまたカナで書くと何となく間抜けだからなのか。ヒロミゴーが思い浮かぶ人もいるだろう。
 いちいち「全角

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【ジョン・ウェットンの個人的傑作12曲 (を選ぶことで、敬愛していた彼への追悼とする文章) 】

【ジョン・ウェットンの個人的傑作12曲 (を選ぶことで、敬愛していた彼への追悼とする文章) 】

 2017年1月31日……またも、偉大なるミュージシャンが亡くなった。
 ジョン・ウェットン、享年67歳。
 大好きだった。でも、近年はあまり追わなくなってしまっていた。
 いつでもそこにいて、またすぐ日本に来てくれると思ってしまっていた。

 ウェットンは2000年代からアルコール依存症の苦しみを越え、晩年は癌と闘い、摘出。その時期にして結婚し、みるみる痩せていったものの、常に笑顔の写真を発信し

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SOFT BALLET『愛と平和』――破壊と創造がループする「代表作」

SOFT BALLET『愛と平和』――破壊と創造がループする「代表作」

 ソフトバレエのスタジオ作で、万人におすすめできるものはどれか?
 オーディナリーな答えはおそらく、ふたつに絞られるだろう。アルファ時代の『愛と平和』か、ビクター時代の『INCUBATE』に。
 双方ともに作品としてのバランスが優れており、「アルファ時代の総決算」「ビクター時代の正念場」となる楽曲自体も充実した時期。「森岡:藤井」の作曲者配分も『愛と平和』では「5:6」で、『INCUBATE』では

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特定ミュージシャンを好きになると、その先に待っている各種地獄

特定ミュージシャンを好きになると、その先に待っている各種地獄

 誰かを、好きになる。
 それって恋でも趣味でも同じ、やはり「盲目」に陥りがち。好きすぎて対象の全部を知りたくなり、すべてを自分のものにしたくなる。
 いや別に、これは男女に限ったわけでもなく。それこそ趣味、音楽でもそういう人は少なくないのじゃないだろうか。
 クラシック愛好家は同じ曲でも指揮者やコンサート・ホール、オーケストラなどの違いを楽しむし、ジャズ愛好者は同じ曲の演者や楽器、編成や年代など

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シド・バレットという名の偶像

シド・バレットという名の偶像

 さて。
 たまにはプログレを書かねば。ピンク・フロイドを書かねば。
 忘れがちですが、わたし、プログレッシャーでフロイド・ファンなのですよ。ときどき思い出します。
 そんなわけで今回は、シド・バレットのお話です。

 シド・バレット。本名ロジャー・キース・バレット。
 とかく「狂った天才」と言われて肯定意見しか出ない、ピンク・フロイド創設者。
「シー・エミリー・プレイ(エミリーはプレイ・ガール)

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『DANCE 2 NOISE』とは何だったのか?

『DANCE 2 NOISE』とは何だったのか?

 ダンス・トゥ・ノイズ。
 BUCK-TICKやSOFT BALLETを「とっても」好きだった人にだけ通じる「ああ、そんなのあったねぇ」というワード。かすっていない人には「何ですかソレ」になってしまう響き。
 ご存知でしょうか、皆様。そこで泣いてる人、あなたのために書いてますよこの文章は。

 この『DANCE 2 NOISE』と銘打たれた作品群は、ビクターに在籍する若手からベテランまで、メジャー

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氷室京介と布袋寅泰、どっちがBOOWY?

氷室京介と布袋寅泰、どっちがBOOWY?

 いやはや。
 昔っから議論されていたテーマである。そして答えはわかりきっている。
「どちらも元BOOWYであって、単体ではBOOWYではない」ということが。
 それでも近年、その観点において差が出てきたように感じる。というのも、両者ともBOOWYの楽曲を解禁してソロで演奏する(歌う)ようになってからの差が。
 まず先に、わかりきった結論を2つ出しておこう。

(1). BOOWYとは氷室京介・布

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