記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【どうする家康】光秀が家康に嫌がらせした本当の狙いとは?怪優・酒向芳はどう「本能寺の変」を演じるのか。第13回「家康、都へゆく」深掘り

NHK大河ドラマ『どうする家康』(以下、『どう康』)第13回の深掘り感想です。
(※本記事は一部有料です。ドラマレビュー箇所はすべて無料でご覧いただけます)
前回の感想はこちら↓

(※以下、ネタバレ注意)
(※本記事のセリフの引用箇所は一部ノベライズに準拠しており、ドラマのセリフとは異なる場合がございます)

4/9は放送休止だからこそ期待の高まる週末だった?徳川サイドを敵として描く時代劇も再放送中!

4/9はドラマの放送が無いということでわりとノンビリ更新になっちゃいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。ドラマがなければ無いで、こちらはいろいろやることが溢れてるんですけど……。

プライベートな話で恐縮ですが、これを機に2年分ぐらい撮り溜めてた『プレバト!!』の消化などで必死でしたね。俳句の査定が大好きなんや。これ、言語センスが磨かれますし、物書きにはおススメの番組です。

あとはBSPで再放送が始まった2015年の木曜時代劇『かぶき者 慶次』なんかも観てみました。関ヶ原の戦いにて家康の宿敵となる石田三成の、その隠し子が出てくるということで……まぁ架空の人物ではあるんですけど、徳川サイドである江戸幕府が敵側として描かれていて、これもこれで『どう康』との対比として楽しめそうです。

そして『どう康』自体もすでに第13回の録画を3、4周しちゃってるんですけど。とりあえず今回のレビューでは、SNSでも反響の大きい明智光秀と室町幕府のファイナル将軍・足利義昭について深掘りしていこうかなと思います。

歴史上の人物としてはすでにいろいろ語られまくってますし、史実の彼らがどういうことをした人かということは他のニュースサイトやブログ等を参照していただいた方が幸いかと。ただ、ここではあくまで僕の個人の視点から、これも一つの「物の見方」として楽しんでいただければと思います。

酒向芳の演技のふり幅が凄い。過去の映画でも二宮和也とバチバチのシーンを熱演

まずは名バイプレイヤー酒向芳さん扮する明智十兵衛光秀ですけど。同じ十兵衛は十兵衛でも、2019年度の大河『麒麟がくる』の長谷川十兵衛とはえらい違いだなと話題になってましたね。

でもこれはしょうがないと言うか、大河ドラマの常。誰を主役にするかによって、引き立て役や、ライバル役、悪役も変わってくるのは当然のことです。今回の十兵衛はモロ悪役なのが、いっそ清々しいとさえ感じました。

そもそも酒向芳という役者さん、僕の中で一番印象に残ってるのは映画『検察側の罪人』で被疑者として登場する松倉ですね。

これ、映画をご覧になった方はわかると思うんですけど……ヤバイんですよとにかく。髪型もインパクトありますけど、その言動も完全なるサイコパス。「完全にヤッとるわ!人殺してるわ!クスリもキメてんじゃねぇの⁉」っていうのがにじみ出た演技なんです。

しかしいくら検事の沖野(演:二宮和也)が追及しても尻尾を出さない。最後は沖野もブチ切れ、2人でバチバチの罵り合いが繰り広げられるのもこの映画の見どころになってるんですけど。

このときのブチ切れ二宮さんの演技も鬼気迫るものがありながら、それを引き出す酒向さん演じる松倉のムッカつくキャラクターですよね……ニチャァとした余裕の笑みを浮かべたり、かと思えば後半は急に泣き出し、「ママ~!ママ~!」なんて泣き叫んで幼児化したり。もう演技のふり幅が物凄いんです。

……って、完全に『どう康』のレビューじゃなくなっちゃってますけどwとにかく僕、そういう酒向さんも見てきてますから、今回、光秀役としてキャスティングが発表されてる段階から僕、めちゃめちゃ楽しみでしょうがなかったんです。

岡田信長が「本能寺で焼け死にそうにない信長」「光秀も怯えて逃げ出す信長」なんてSNS等で話題になる一方で、「いや、酒向光秀だったら絶対にヤルな。本能寺、失敗なんてありえない。僕にはわかる」と、ニヤニヤしてましたね。

家康が持つコンフェイト。光秀が義昭にチクったのは、単なる憂さ晴らしではなく……?

で、『どう康』の光秀なんですけれども。こちらは最初、だいぶ生真面目な様子に描かれてる印象を受けました。そもそも登場段階では「義昭の家臣」としてテロップが表示されていて、信長の家臣にはまだなっていないというのがポイントですね。

信長の家臣ならば、信長と同盟関係である家康から見ればポジション的に下にもなるでしょうが、「義昭の家臣」なので、むしろ光秀の方が偉いということにもなりそうです。

だからこそ……!

家康の家臣たちが都でトラブルを起こしたときの、光秀のあの態度ですよ。

信長が「それならそれでよい」と問題を取り消した後も、光秀、「んぬぅー!」と憤怒の声を漏らしてましたよね。信長の家臣だったら、あそこは光秀もすごすごと引き下がっていたハズ。しかし彼は「義昭の家臣」なので、あの場では家康を許すわけにはいかない。

それを、コンフェイト(金平糖)を義昭に献上させるという嫌がらせで憂さを晴らすというのがまた、とんでもない脚本になっていました。

しかも、ただの憂さ晴らしではないです。単に「家康が信長に可愛がられているのがムカつくから、その腹いせをしたかった」ではなく、「自分が現段階で仕えている義昭に媚びを売りたかった」として捉えると、その戦略の立て方も末恐ろしいものを感じます。

これはきっと後々、本能寺の変を起こす理由にも、また凄いシナリオが描かれそう……すでに楽しみでしょうがなくなってきました。

古田新太の怪演が光る、足利義昭将軍登場。信長の傀儡ではなく、持ちつ持たれつの関係か

さて、一方でその光秀が仕える将軍・足利義昭ですが。これも古田新太さんの怪演でまたまたやばいキャラクターになっていましたね……。

古田新太さんも、『木更津キャッツアイ』のオジー役やら『あまちゃん』の大物プロデューサー・荒巻太一役やら『逃げるは恥だが役に立つ』の沼田頼綱役やらと、また役の幅もすさまじいですけど。今回の足利義昭もとんでもないインパクトでした。

呂律が回ってないのか、何やら言動がおかしい。これ、ノベライズにはしっかり書いてあるんですけど、「その白い顔からもわかるほど顔が赤らんでいる。かすかに酒の匂いがする。二日酔いで体調が悪そうな声」とのことでした。察しがいい人は、古田さんの「ブフォッ」って噴き出した演技で気づかれた筈。しまいには、「グーーーーー」といびきをかいて寝始め、その拍子に烏帽子がポロッと落ちるのも良かったですね。

ちなみに烏帽子が落ちる様子は、「石山寺縁起絵巻」に描かれた、烏帽子を落とした男性の様子を参考にされていたということが公式サイトでも明らかにされていました。

ともかく、だらしのねー将軍……信長も「将軍足利義昭公は、立派なお方じゃ」と言っていたのに、どこがだよ……と、家康の中のイメージもガラガラ音を立てて崩れていったことでしょうけど。ただ少なくとも、この時点で信長はあくまで義昭公を日ノ本(日本)のトップと見ていたことには注目しておきたいですね。

いずれは信長自身が天下統一を目指していくことになるんですけれども、この時点ではまだ「俺は、将軍様の手足となってそれを為す」と言っていますし、義昭も家康に対して「信長の言うことをよく聞いてな、幕府のために尽くせよ」と言っています。つまりは、持ちつ持たれつの関係性。

古い歴史の本やWebサイトなどにはまだ「信長は、足利義昭将軍を傀儡(かいらい)として天下統一を目指すようになった」とか書いてあるものもあるようですが、必ずしも正しい解釈とは言えないでしょう。大河ドラマでも『麒麟がくる』がそうだったように、今回も義昭という人物をただの影の薄い脇役として描かないだろうというところにも注目です。

つまりあれでいて、単なるだらしのねぇ将軍じゃないんですよ。きっと裏の顔があるはず。そして今後はまた、信長VS義昭のバチバチの争いも描かれることになるのでしょう。

まぁ、それが読み解けないでブチ切れている歴史家の方もいらっしゃるようですけどw

まんまと古沢良太さんの術中にハマっちゃってんじゃん、と、ここは笑ってやるところでしょうね……。

#どうする家康 #日記 #エッセイ #テレビドラマ感想文 #おすすめ名作ドラマ #ネタバレ #NHK #大河ドラマ #大河 #徳川家康 #松本潤 #明智光秀 #酒向芳 #足利義昭 #古田新太 #古沢良太 #松潤家康 #レジェンドアンドバタフライ #検察側の罪人

ここから先は

2,387字

¥ 100

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

おすすめ名作ドラマ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?