鼈甲

子ども二人とねこ一人。病院勤務のソーシャルワーカー。 世間のはざまで美しいものを啜って…

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子ども二人とねこ一人。病院勤務のソーシャルワーカー。 世間のはざまで美しいものを啜って生きてる。 Chappy!ワン!

記事一覧

参考文献になりたい

「何者にもなれなかった自分を認める」という段階について語られることがある。 それは、夢を見られる子ども時代を送ったという証拠でもあり、とても贅沢なことだと今は思…

鼈甲
1日前
4

あなたを愛し、わたしを愛することが両立しなかった

かつて元夫と暮らしていたとき、というか私が気付かなかっただけで付き合い始めたときから、元夫は「やめて」が通じない人だった。 「こっちのほうがいいと思うよ」とか「…

鼈甲
2週間前
2

わてほんまによぅいわんわ

しんどい。 多分、母がしんどいのだと思う。 私を知っている人たちは想像ができないかもしれないけれど、私の母(正確には養母)は、びっくりするほど世間知らずだ。 先日…

鼈甲
3週間前
2

誰かに言葉を届けたい

BS NHKのドラマ『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』を観終えた。 そのタイトルの前半にあるとおり、三浦しをん著『舟を編む』の映像化作品だ。 何度目か、の。 私が観た…

鼈甲
1か月前
1

父の最強ジンクス

「お父さんが好きだったものを置いてあげたりしてくださいね」 そう、葬儀会社の人(といっても近所の花屋の社長だが)に祭壇を設置してもらうときに言われたが、私達は「は…

鼈甲
1か月前
1

翼はまた生える

こんなにも、しんどい朝ドラがあるのか… 今季の朝ドラ『虎に翼』。 初回放送を大学4年生になり就職に悩む娘と観ていた時には「私が産まれる時代が同じだったら、同じよう…

鼈甲
1か月前
4

お金で解決する父の愛は確かに愛だった

長文の上、近親者の死を取り扱っています。 お辛い気持ちになる可能性もあります。 父が死んだ。 2~3日、咳をしていて、年度末の公務員である私や一応受験生の息子の…

鼈甲
2か月前
4

桜はそれぞれに咲く

息子の受験が終わった。 4年前、私の住んでいる地域の「中学校では常に学年トップでした」とか「週6で塾行ってます」とかの猛者が通う県下トップクラスの進学校に合格し…

鼈甲
3か月前
2

12月1日の空白

9月の終わりに、人生の行き先を少し変えた。 10月の記憶はなく、11月は駆り立てられるように人に会い、音楽を聴きに出かけた。 一人でいることは楽でもあり、空白でもある…

鼈甲
5か月前

焼き芋でも焼くか

転職してはや半年。 専門職としての経験はそれなりにあるものの、ブランクが長すぎて、「新卒からずっと働いてます!」な人に換算したらまだ二十代。 いや、私はどうみても…

鼈甲
8か月前
7

休みたいのだが?

帰省中の娘のパソコンが壊れた。 はて、どこで買ったものやら? 延長保証はつけていただろうか? いろいろと調べてみたけれど、購入記録がどこにも見当たらない。そして保…

鼈甲
9か月前
4

8月13日の驚

エアコンのきいた部屋でネコと涼んでいたところ、「開けておくんなまし」と廊下から声がかかり、扉を開けると両手いっぱいに荷物を抱えた息子(175センチ髭面)が立っていた…

鼈甲
9か月前
4

8月11日の騒

娘が帰省している。 起きている間ずっとしゃべっている娘は騒がしく、息子はエアコンのない自室に籠もってしまった。多動傾向と自閉傾向の相性はわるい。

鼈甲
9か月前
2

海に還らない鯨

私は一度、海に沈む予定だったらしい。 それは数えるほどしか会ったことのない、生物学上の母から聞いた話。 離婚した男との子ども、つまりは私を身ごもったその人は、い…

鼈甲
9か月前
5

8月8日の憂鬱

どうしようもなく不安に追い立てられる日々。 自分を大切にして労わっていけるのは自分だけなのだと理解しているけれど、魔法のように何か奇跡が起きないかと期待している…

鼈甲
9か月前
4

進化論

ひとつ前の記事から半年以上。 よくもまぁ、ここまで放置していたことよ。 1月に「仕事をやめる!」と宣言し、2月の末から有休消化に入り、3月はやけにはしゃいで過ごして…

鼈甲
9か月前
2
参考文献になりたい

参考文献になりたい

「何者にもなれなかった自分を認める」という段階について語られることがある。
それは、夢を見られる子ども時代を送ったという証拠でもあり、とても贅沢なことだと今は思う。
でもかつての私はもっと傲慢で、向こう見ずで、自分の努力でなんとかならないことなどないとすら思いかけていたので、なりたいものになれると思っていた。
その、なりたいものを諦めたきっかけが、妊娠だった。

『虎に翼』で妊娠した寅子が、仕事を

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あなたを愛し、わたしを愛することが両立しなかった

あなたを愛し、わたしを愛することが両立しなかった

かつて元夫と暮らしていたとき、というか私が気付かなかっただけで付き合い始めたときから、元夫は「やめて」が通じない人だった。
「こっちのほうがいいと思うよ」とか「心配だから」とか「それでいいの?」といった真綿で首を絞めるような否定から始まって、「良かれと思って」とか「遠慮するな」とかに達し、気がつけば「反対ばかりして!」とかよくわからない主張をして私の意見をつっぱね、そのうえから踏みつけ、私が私の意

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わてほんまによぅいわんわ

わてほんまによぅいわんわ

しんどい。
多分、母がしんどいのだと思う。

私を知っている人たちは想像ができないかもしれないけれど、私の母(正確には養母)は、びっくりするほど世間知らずだ。
先日も父の確定申告をしてもらうべく税理士さんと打ち合わせをしていたが「扶養者控除」を知らなかった。
70年生きてきて、ずっと専業主婦でもなく、正社員だったり正規公務員だったりしたことがあるのだが、知らない。父が税務課職員歴の長かった人なので

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誰かに言葉を届けたい

誰かに言葉を届けたい

BS NHKのドラマ『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』を観終えた。
そのタイトルの前半にあるとおり、三浦しをん著『舟を編む』の映像化作品だ。
何度目か、の。

私が観た限りで映画、ドラマ、アニメと手法を変えて映像化していて、それぞれに違った視点や表現があって、それぞれが良い。
もちろん原作の素晴らしさあってだし。
ただ、それぞれが良いがために今回のドラマ化を知ったとき、つい「またやるの?」とも思

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父の最強ジンクス

父の最強ジンクス

「お父さんが好きだったものを置いてあげたりしてくださいね」
そう、葬儀会社の人(といっても近所の花屋の社長だが)に祭壇を設置してもらうときに言われたが、私達は「はて…?」と父の好きなものがとんと浮かばず、葬儀会社の人(父のことも知っていた近所の花屋の社長)が遺影に「なんかいわれとるよー!」と告げ口をしたくらい、父は娯楽のイメージのない人だった。

公務員を勤め上げ、地域の役員やらお寺の世話役やらを

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翼はまた生える

翼はまた生える

こんなにも、しんどい朝ドラがあるのか…
今季の朝ドラ『虎に翼』。
初回放送を大学4年生になり就職に悩む娘と観ていた時には「私が産まれる時代が同じだったら、同じような道を辿っていたかもしれないねぇ」と感じ、娘も同感だったようで「おかあちゃんみたいな人…」と言っていた。
なのに、話数が進めば進むほど、そのリアリティが息苦しくなってきた。

「なんでだ?なんでなんだ?」
「はて?」
主人公が疑問に感じる

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お金で解決する父の愛は確かに愛だった

お金で解決する父の愛は確かに愛だった

長文の上、近親者の死を取り扱っています。
お辛い気持ちになる可能性もあります。

父が死んだ。

2~3日、咳をしていて、年度末の公務員である私や一応受験生の息子のためか、食事を一緒に摂らなくなっていた。ので、ほとんど父の状態を見ていなくて、唯一あれ?と思ったのが玄関の戸締りをして帰ってきたと思ったら突然床に座り込んだとき。
けれどその時は視線の先に猫がいたので(ああ、猫に嫌われてはいるけれど猫を

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桜はそれぞれに咲く

桜はそれぞれに咲く

息子の受験が終わった。

4年前、私の住んでいる地域の「中学校では常に学年トップでした」とか「週6で塾行ってます」とかの猛者が通う県下トップクラスの進学校に合格してしまった息子。
もちろん息子自身はそんなタイプでもなく、勉強している姿を見たこともなく、中学校での勉強を「何の意義があるのだ」と舐めてかかっていたため(そしてすべてを理解しているがために教師も注意できず)私の住んでいる地域の県立高校受験

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12月1日の空白

12月1日の空白

9月の終わりに、人生の行き先を少し変えた。
10月の記憶はなく、11月は駆り立てられるように人に会い、音楽を聴きに出かけた。
一人でいることは楽でもあり、空白でもある。

焼き芋でも焼くか

焼き芋でも焼くか

転職してはや半年。
専門職としての経験はそれなりにあるものの、ブランクが長すぎて、「新卒からずっと働いてます!」な人に換算したらまだ二十代。
いや、私はどうみても四十代なのですが、そのくらいの経験不足なわけで。

けれど周囲は四十代の専門職=頼れるベテラン的に認識するわけで、そのうえ、私の担当範囲になかなかなことが立て続けにおこる。
先日などはズラリと居並ぶお偉い方に囲まれたし、それだけならまだし

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休みたいのだが?

休みたいのだが?

帰省中の娘のパソコンが壊れた。
はて、どこで買ったものやら?
延長保証はつけていただろうか?
いろいろと調べてみたけれど、購入記録がどこにも見当たらない。そして保証書類は娘の家にあるので確認できず。
困ったなぁという以前に、なんでこんなに記憶がないんだ?

どう考えてもこのパソコン、娘の大学入学時に購入したもの。
2021年の3月といえば、娘が突然700キロ離れた土地の大学に合格し(しかも以前から

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8月13日の驚

8月13日の驚

エアコンのきいた部屋でネコと涼んでいたところ、「開けておくんなまし」と廊下から声がかかり、扉を開けると両手いっぱいに荷物を抱えた息子(175センチ髭面)が立っていた。

8月11日の騒

8月11日の騒

娘が帰省している。
起きている間ずっとしゃべっている娘は騒がしく、息子はエアコンのない自室に籠もってしまった。多動傾向と自閉傾向の相性はわるい。

海に還らない鯨

海に還らない鯨

私は一度、海に沈む予定だったらしい。

それは数えるほどしか会ったことのない、生物学上の母から聞いた話。
離婚した男との子ども、つまりは私を身ごもったその人は、いろいろと考えた挙句に夜の海に沈みに出かけてしまった。当時1歳の兄の手を引いて。
けれど「帰ってきちゃった」のだと言う。
その理由はよくわからなかったけれど、彼女がそのあと、まったく違う男性と結婚し、私を養子に出し、新たに弟と妹を産み、さら

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8月8日の憂鬱

8月8日の憂鬱

どうしようもなく不安に追い立てられる日々。
自分を大切にして労わっていけるのは自分だけなのだと理解しているけれど、魔法のように何か奇跡が起きないかと期待している自分もいる。
#3行日記

進化論

進化論

ひとつ前の記事から半年以上。
よくもまぁ、ここまで放置していたことよ。

1月に「仕事をやめる!」と宣言し、2月の末から有休消化に入り、3月はやけにはしゃいで過ごしていた。
無職突入を覚悟していたものの土壇場で本命から「欠員が出たので働いてくれませんか!?」と乞われて片道50キロの通勤を安請け合いしてしまって4月から今までをぐったりと疲れ切っていた次第。

自宅から50キロも離れた場所なものだから

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