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【論文読了】これからのマーケティング

今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの特集はこれからのマーケティングでした。

1年に1回くらいはマーケティングの特集を目にします。やっぱり売上を得るためにマーケティングは大事ですから、やっていただけると助かります。最新のマーケティングが学べますし。

さて振り返ってみましょう。


マーケターはこれから何を考え、どう行動すべきか

自社のポジションを明確にする

ファミリーマートは業界トップをベンチマークしてきたため、自社のポジショニングを確立できていなかったそうです。

競合がクラスの優等生なら自社はクラスの人気者を目指そうというのは解りやすいメッセージですね。

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの日本企業の事例でよく感じることは、今までとやり方を変えるときは会社として従業員に解りやすいメッセージを打ち出す事例が多いということです。

競合と差別化できるポジショニングを考え、決まったら社内に解りやすいメッセージで伝えるわけですね。

データやCRMを活用することの注意点は競争優位につながらないこと

データ分析やCRMはマーケティングにおいて標準装備だと私は思っていました。しかし標準的に使われているとはいえ、注意点もあるようです。

顧客の関与度という要素が気になりました。高級ブランドや専門店は高いでしょうけど、コンビニは低いそうです。

コンビニは日常的に使うものであり、不足があって急ぎで欲しいから買いに行くというケースもあります。それにコンビニは価格が高いです。プライベートブランドは価格がこなれているとは思いますが。

そんなわけだからキャンペーンを売ったりクーポンを出したりしても、競合も簡単に真似できてしまいます。

CRMは顧客満足度には有効ですが、CRMを使って打つ施策は競合との差別化にならないそうです。

となると差別化するにはどうすればいいのでしょうか?データを活用して事後分析をすることが挙げられています。打った手の効果を知るにはデータは有効です。

これからマーケターがすべきこと

3つ気になったことがあります。

  • 競合をベンチマークするのいいが競合の真似をしない

  • HowではなくWhoとWhatを大切にする

  • Google、Amazon、楽天など大手IT企業がTVCMを打つ理由を考える

  • ポジションより実績

競合の真似をしないというのは、真似ではなく差別化をした方がいいからですね。

Howはついつい知りたくなりますが、Howの前にWhoとWhatですよね。ついついHow、つまりツールや方法を調べがちです。でも本当に大事なのはどんなターゲットに何を提供したいかですよね。

そして大手IT企業がネットだけでなくTVCMを打つ理由も、TVでCMを見て買う人がいるからですね。

そういえばGoogleのTVCMは最近だとGoogle Pixel、ちょっと前にChrome Bookがありました。Googleが消費者に販売してる製品はGoogle PixelとChrome Bookです。

ポジションは確かに欲しくなりますね。会社から評価されて役割と給料が上がれば嬉しいわけです。

しかし転職や副業・複業が普通になれば、ポジションがどれだけ高いかよりも、何ができる人であるかの方が役立つかもしれませんね。そうでありたいものです。

マーケティングの意思決定を支える3つの手法

アナリティクスは人間とAIの関与度のバランスで3つに分類できる

アナリティクスすなわちデータ分析は人間とAIのバランスで3つに分かれるそうです。記述的分析、予測的分析、処方的分析です。

記述的分析 → 予測的分析 → 処方的分析の順で人間よりAIの方が関与度が上がり、より現場に近づいて行きます。

記述的分析は戦略用で人間がデータ分析する方法です。

予測的分析は管理すなわち計画→実行→確認→改善のような現場でPDCAサイクルを回して業務を回すことに使い、AIが予測したことを人間が選択する方法です。

処方的分析になると、AI任せになります。処方的分析は在庫や価格、値下げ、リスクなどの最適化です。

3つのアナリティクスを使いこなす

AIの関与度が高い方が価値創造は大きくなるそうです。かといってどれが優れているという話ではなく、適材適所のようです。

しかしIT投資が進んでいる会社ほどAIの関与度が高くなる予測的分析や処方的分析が実現できているようです。

なぜAIの関与度を上げて、在庫や価格などの現場寄りの分析をAI任せにするかというと、これらは頻繁にやる必要があるため、人間が都度やっていたら埒が明かないからです。そのためAI任せにして自動化した方がいいのです。

一方で戦略などたまにしかやらないことはデータも少なく、モデル化しづらいため、AIでやるのは難しいでしょう。

人間は考え、計算はコンピュータにやらせるというのは昔から変わりません。しかし人間が考えた計算をリアルタイムでAIにやらせるというところまで時代はやってきました。

リアルタイムでAIに自動的にやらせられる日常業務について考えてみたいですね。

ブランド構築とパフォーマンスマーケティングを両立させる方法

パフォーマンスマーケティングとブランド構築の違い

パフォーマンスマーケティングとはDM(ダイレクトメール)やネット広告など、キャンペーンの結果(売上高、リード客獲得数、クリック数)に応じて料金を支払う手法です。

つまりお金を払って顧客や注文、成約を獲得する方法です。短期的に成果を上げたいときに使う方法です。

一方でブランド構築は長期間をかけてブランドのイメージを築くことです。

つまり短期と長期という点で相反するように思えるわけですが、実は両立できるというのが本稿です。

ブランドポジショニングの指標とブランドエクイティの測定指標

ブランドはポジションを定めて差別化する必要があります。その際の指標が紹介されています。

  • パーパス

  • 感情的属性

  • 機能的ベネフィット

  • 体験品質

それからブランドエクイティすなわちブランドの資産の測定指標も紹介されています。

  • 親しみやすさ

  • 好感度

  • 意味性

  • 独自性

指標に沿ってブランドらしさを維持しながら施策を打つ

つまりDMや広告を用いたパフォーマンスマーケティングを行う場合も、ブランドポジショニングやブランドエクイティの指標に沿って行えばいいということです。

どうすれば顧客や売上を増やせるかは気になるところですが、それでブランドらしさに反してはいけません。ブランドイメージに響きます。

でもブランドイメージを維持したままDMや広告を打てば、ブランドイメージを壊さずに済みますね。

ブランディングにおいて大事なことは、ブランドらしさを一貫して常に保つことです。業績を上げることは大事ですが、ブランドを長期的に維持するためにも、ブランドらしさを保った施策を行いたいものですね。

私も自分のメディアでPVを欲しがってしまいますが、一貫してブレないことを続けた方が本当はいいのでしょうね。

心理ターゲティングを効果的かつ倫理的に実践する

心理ターゲティングとサイコグラフィック・ターゲティング

心理ターゲティングは個々人の性格特性に合わせて施策を打つ方法です。

例えばSNSのプロフィールから性格を分類して、分類された性格に合わせて商品・サービスをおススメするわけですね。

サイコグラフィック・ターゲティングは従来のペルソナを定義して施策を打つ方法です。使い古された方法なのであえてここでは解説しません。

心理ターゲティングのメリット

ペルソナのようなターゲット層を代表する人を決めて施策を打つのではなく、個々人の性格に合わせて施策を打つため、心理ターゲティングは売上創出効果が高いそうです。

それから新規顧客のような、自社がまだ情報を持っていない顧客に対しても有効とのことです。

あるいは顧客のコンフォートゾーンの外側にあるカテゴリーの商品を勧めることもできるようです。本人が知らないけど、似たような性格の人には好評な商品をお勧めするわけですね。

本人が知らないかどうかを知る術はありませんが、お勧めを繰り返しているうちに本人が知らない商品がお勧めされる可能性もあるかもしれません。

私も気になる商品が広告に表示されてクリックしたことがあります。もっともその広告が心理ターゲティングをやっていたかは解りませんが。

AIは私たちのアイデンティティや消費活動にいかなる影響を及ぼすか

合否は人間とAIのどちらの判断かで印象が違う

合否については、人間とAIのどちらが下したかで印象が違うそうです。

不合格については判断を下すのは人間でもAIでもよく、合格の判断を下すのはAIだと印象が悪く、人間だと印象が良いそうです。

最近は書類選考をAIでやるという話も聞きますし、かつてDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューでは、ソフトバンクが新卒のエントリーシートの合否をAIで判定しているというケースも掲載されていました。

効率化は測りたくても、人間味をなくしてはいけないわけですね。

私が大勢の合否を判断する機会はありませんが、印象に関しては意識しておきたいものです。

自分でやりたい人の楽しみは奪わないこと

例えばキャンプや自転車などは、不便だけど好きな人は好きな趣味です。

普通に考えればキャンプよりも自宅やホテルの方が快適ですし、自転車よりも自動車の方が楽です。

それでも不便をあえて楽しむことで、体験を楽しむ趣味も存在しています。

また冒頭ではホットケーキミックスに卵が入っていない理由が紹介されています。

つまりターゲットによっては自動化による効率化が楽しみを奪ってしまうのです。AIを製品に活用する場合は、ターゲットが効率化を求めているのか、不便でも楽しむことを求めているのかを意識する必要がありますね。

終わりに

マーケティングは知識と実践の差が大きいと私は感じています。それは自分でメディアを持って運営してみて気付いたことです。

今回のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの内容も色々な気付きをくれると思いますが、実践が難しいのかなぁと思ったり。中には個人ではできないこともありますし。

とはいえ論文を読んで知識や気付きを得ることは大事ですね。ちゃんと勉強して、ちゃんと実践したいものです。

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