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映画「重力ピエロ」を観て

5月28日、「重力ピエロ」という映画をU-nextで観た。2009年日本映画で、森 淳一監督の作品だ。

キャストは、奥野泉水役の加瀬 亮、奥野春役の岡田 将生、奥野正志役の小日向 文世、奥野梨江子役の鈴木 京香などである。

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あらすじは、
仙台の街で起こる連続放火事件。放火現場の近くには必ず奇妙なグラフィティアートが描かれていた。過去に辛い記憶を抱える泉水と春の二人の兄弟は、事件に興味を持ち謎解きに乗り出す。グラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎を解き明かしたとき、その先に見えてくるものとは・・・。
と、いった内容。

で、観終わっての感想。

強姦は死刑に値すると思う

突然だが、「強姦」は死刑に値するとボクは思う。
その死刑でさえも許されない。
心の傷は、消えることは無い。
そして本人ならずとも、周りにいる人も傷つけ、人生が変わる。
この映画を観て、一番に思ったことはそのことであった。

父親の気持ち、無念さ

妊娠していたのが、強姦の犯人である可能性があっても、生む前から家族として育てることを、心に誓った父親。しかし世間は、そんな気持ちとは逆に面白おかしく噂を広げる。今のマスコミやワイドショーのように、人の気持ちなどお構いなしである。
小学生の絵画展で、心無い仕打ちを受ける。でも、逆に家族の絆はより深まってゆくのだ。
警察の聴き取りで「妻は自殺なんかしません!」と、警察官に吐き捨てる父親。彼の心の中を思うと、その無念さが伝わってくる。

血のつながりは無くても、親子だと感じた

兄と弟。容姿も性格も違う。でも、この家族は仲がいい。深い絆でつながっている。「春がうそをつく時の癖」が、自分にそっくりだと感じる。そう、血のつながりは、あくまでも生物学的なつながりでしかない。誰に育てられたのか、誰と一緒に家族として生きてきたかが、本当の家族になるということだとあらためて思う。

終わり方が珍しい展開

春の実父を殺したにもかかわらず、兄弟が捕まらずに暮らしているということ。ある意味、そういうエンディングが、現在の人間社会っぽい。この物語に関して言えば、こういう闇もあっていいと思ってしまう。そうでないと、この兄弟が救われない気がするのだ。でも、犯人を世の中でたった一人知っている人物がいる。それは、誰でもなく父親であった。

春が二階から落ちてきた

やはり伊坂幸太郎の小説の始まり。
「春が二階から落ちてきた」は、この言葉だけで引き付けられてしまう。
この映画でも、その部分はとてもうまく映像化されていたと感じた。

それにしても、2009年の作品ということで、役者陣も今見ると若い。
夏子役の吉高由里子だけは、今も変わらず、年を取っていないのに驚いた。

少し前の時代を感じさせられる映画ではあるが、なかなかいい作品だった。


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