シュガーラッシュオンライン2

ここは地獄のインターネット 「シュガー・ラッシュ:オンライン」

「シュガー・ラッシュ:オンライン」ってあるじゃないですか。
2012年に公開された「シュガー・ラッシュ」の続編の3DCGアニメ。
見たので感想書きます。すみません、あまり褒めてません。

下記作品ネタバレ注意
「シュガー・ラッシュ」
「シュガー・ラッシュ:オンライン」

途方に暮れた前作

まず前作の時点でぼくはいまいち乗れなかったんです。
落ちとしては「それぞれ与えられた役割があり、それを受け入れる」という話だと思うんだけど、そこでのフォーカスされる役割が、客観的に観て大きい役割(プリンセスと有名な悪役)だったのです。
当然、それぞれに悩みもあるとは思うのですが、ぼくはどうも、生まれながらに持てる者の話に見えてしまった(特にヴァネロペ)。
だから途中まで、バグとしての存在であっても、生きる場所はあって当然だ、という話かと思ったら、「バグは実はプリンセスでした。ハッピー」って言われて途方に暮れてしまったんです。
え、結局恵まれた人間の話か、って。
バグが直ると同時に瞬間移動能力も消えて、本来の力で勝負、ということでもなく。
だから今作も、ある意味興味があって見たんです。
結果、共感する部分もあったんだけど、やはり乗り切れませんでした。

地獄のインターネット描写

インターネット描写はすごく楽しんですよ。ある種究極のメタフィクション。一見華やかで賑やかでなんでもあって、でもスパムやうざい広告が横行して、ってゆう。
インターネット(というかWebサービス)に詳しいほど楽しい。ゴミ捨て場にダイヤルアップの字が捨ててあったのは超笑って、そのあと泣けた。
これでもね、Webサービスに詳しくない人や、子供が観て面白いかね?
例えば「Pinterest」を知らない人が、最後の決戦で画鋲持って戦ってるところをみても、ちょっとわかりにくいんじゃないかな。

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いや、むしろ、インターネットとWebサービスは一般化した通信インフラなので、それが当たり前の世代にとっては、ネットの世界を旅する、という感覚が希薄だったりするかも。
eBayをみてtwitter見て、なにか検索して、って普段の生活と一緒じゃん。あの世界は何?みたいな。

macが標準っぽいのは良かったですね。あの虹色ローディングマークとかね。まぁ配下のピクサーはジョブズが作った会社だしなぁ。

ディズニーキャラ勢揃いのブルジョワ感

ご存知のようにディズニーはピクサーを買収し、ルーカスフィルムを買収し、マーヴェルを買収し、21世紀フォックスを買収し、世界最大のコンテンツ帝国となりました。

だから今作にも、スターウォーズのキャラや、アヴェンジャーズのキャラが勢揃いしている。それはそれで楽しいんだけど、なんかブルジョワ感がすごくしました。
リスペクトを欠くような描写じゃなかったけどね。
プリンセス像を自己批判的に描いていたのはすごく良かったです。

選択問題

ヴァネロペの選択問題については、下記のブログの意見に同意です。

ヴァネロペの挑戦と別離、巣立ちを描く話、っていうのは良いんですよ。
前作で、ヴァネロペはゲーム「シュガー・ラッシュ」の最強キャラになってる。彼女を操作するのがスキなファンもいる。
そんな状況でも挑戦するのは勇気がいることだとは思うんです。
すごく共感できる。
で、結局、彼女の挑戦がどうなるかと言うと、すごく幸福に満ち溢れたものなんですよ。(彼女にとっては)
新たな居場所として選んだ、スローター・レースでも、十分な腕前を発揮して、仲間に認められ、迎えられる。

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切ない別れはあるけど、何かを克服する描写がない。
ラルフの方に感情移入して見れればよかったのかなぁ。
でもそうゆう作りでも無いんですよね。動画サイトですぐバズってお金を得ていたし。
ヴァネロペが旅立ったあと、彼のなかでなにか明確に変わった、というのも感じられなかった。
結局、世界を変えるのではなく、自分の感情を乗り越えるだけの話だから、そこに乗れないときつい。

ぼくが観たかった話

ぼくは、ゲーム「シュガー・ラッシュ」の世界の名もなきモブキャラが旅立つ話が見たかった。
今いる世界は良い居場所じゃない。旅立つ新しい世界が地獄かもしれない。
それでも俺は征く。インターネットによって、筐体の外にも世界があることを知ってしまったから。
旅立たない訳にはいかない。

こうゆう話が観たいよ。
それでは聞いてください。奥田民生で 「さすらい」

しーゆー

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