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東京バレエ団×金森穣(noism)『かぐや姫』 舞台レビュー

東京バレエ団×金森穣(noism)『かぐや姫』 舞台レビュー

日本のバレエは世界に何を発信していくのか概要

 2023年10月20日(金)から22日(日)、東京・上野の東京文化会館で『かぐや姫』が世界初演された。東京バレエ団が『東京バレエ団 創立60周年記念シリーズ1』で、「日本が世界に発信し得るバレエを」と、Noism Company Niigata 芸術総監督の金森穣に委嘱して作られた作品である。

 日本最古の物語文学『かぐや姫』を題材に、音楽はクロ

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KARAS APPARATUSアップデイトダンスNo.86「ドビュッシー 光の秘密」舞台レビュー

KARAS APPARATUSアップデイトダンスNo.86「ドビュッシー 光の秘密」舞台レビュー

パフォーマンスを「見る」こと 概要

2021年9月25日から10月4日、東京都杉並区の荻窪にあるKARAS APPARATUS*にて、アップデイトダンスNo.86「ドビュッシー 光の秘密」が上演された。出演はKARASのリーダーである勅使川原三郎と佐東利穂子、タイトルの通りドビュッシーの楽曲を使用したパフォーマンスである。

舞台の様子

夢心地の1時間
 自分の体すら全く見えない暗転の中、舞台

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英国ロイヤルバレエ団 フレデリック・アシュトンの『2羽の鳩』とリアム・スカーレットの『アスフォーデルの花畑』のミックスプログラム 舞台レビュー

英国ロイヤルバレエ団 フレデリック・アシュトンの『2羽の鳩』とリアム・スカーレットの『アスフォーデルの花畑』のミックスプログラム 舞台レビュー

『スカーレットが受け継ぐロイヤルバレエの伝統』

――このプログラムは、アシュトンの伝統と演劇性が、どのように現在のロイヤルバレエのレパートリーと典型的なスタイルに続いているかを示すものである――(ロイヤルオペラハウス公式HPのbackgroundより引用和訳)

これは2019年2月にロンドンのロイヤルオペラハウスで上演された、フレデリック・アシュトンの『2羽の鳩』とリアム・スカーレットの『アス

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マリインスキーバレエ ミハイル・ケミアキン版『くるみ割り人形』 舞台レビュー

マリインスキーバレエ ミハイル・ケミアキン版『くるみ割り人形』 舞台レビュー

ロシア・バレエの挑戦

 バレエファンで『くるみ割り人形』を知らない人はいないだろう。初演は 1982 年のマリウス・プティパ(台本)とレフ・イワーノフ(振付)の 共作によるもので、それに加えてワイノーネン改訂版の2つが、現在世界中でよく上演されている。これら2つをカンパニーごとに改変して上演する場合も多い。

 2019 年 10 月、ロシア・サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場 2 にて上

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映画でバレエを観る

映画でバレエを観る

ビールも舞台も生がいい!

というのは、私の恩師の言葉。
かのブロードウェイスター、ジェイムズ・コーデンも、トニーアワードのオープニングナンバーでこんなことを歌っている。

的な感じで幕が開き(英語わからないから、ほんとに「的な」意訳)
ライブの良さを語り出す。

そう、サブスクが流行してとっても便利な時代でその恩恵も受けまくっているけれど、でも生には絶対勝てない。あの空気、あの感動は、生でないと

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バレエと美しいを考える

バレエと美しいを考える

バレエはこの世で1番美しい芸術

だと思っている。一度劇場に足を運べば、その美しさに目が眩む。

しかし、その美しさ言葉にして論理的に説明しろと言われるととても難しい。「なんか、こう、胸にくる感じが……」となってしまって、論理的になんて言えたもんじゃない。むしろ、論理的に言えてしまうと、感じたその感動がとても陳腐なものに思えてしまう気がしてしょうがない。そんな理由から、バレエにおける美しさに対して

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