アイチャイム

小説を書いて自分の輪郭を作っているところです。 書いてるときが幸せです。 大富豪になれ…

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小説を書いて自分の輪郭を作っているところです。 書いてるときが幸せです。 大富豪になれたら家の前に日替わりでキッチンカーを呼びたいです。

マガジン

  • エッセイ 黒歴史と思い出の隙間収納

  • 短編小説 小噺のようなもの

  • 【連続小説】 冒険ダイヤル

    おさななじみとの再会を願う、高校生たちの物語。 そこには小さな謎解きが待っています。

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甥の書き初め  【短編小説】

元旦の朝、というより昼。 実家の一室で目を覚ました俺は、布団の脇に気配を感じて起きた。 高校生の晶がちゃぶ台に向かって筆を動かしていた。 「書き初めか?」 煙草に火をつけながら覗き込む。 そこそこ達筆でこう書いてあった。 〈 油揚げ〉 ………俺は黙って布団を畳んだ。 Z世代にしか通じない流行語かもしれない。 余計な質問をすると地雷を踏みそうだ。 たまにしか帰省しないが理解のある叔父としての立場を維持したい。 質問する代わりにポチ袋を渡した。 「ほれ、お年玉」 晶は嬉しそ

    • TAKE!NO!KO! 【エッセイ?】        

      春の日は油断がならない。 やつらはいつも狙いすましたように休日にやってくる。 「クール便で〜す」 いやな予感がした。 頼んだ覚えのない宅急便。 湿った重たいダンボール箱。 敵の襲来だ。 箱の中には土にまみれた怪物がみっちりと封じ込められていた。 毛むくじゃらの表皮に覆われ、固く尖った角の先は猛禽類の爪に似ている。 紫色のイボが下部にずらりと並んでいて禍々しい。 生まれたての赤ん坊くらいのずっしりしたやつが、いち、にい、さん、しい、ご。 まじか… 私は頭を抱えた。 なぜ今日

      • 朝ぼーっとして服を選んだからTシャツも靴下もボーダーになってたことにさっき気付いた。意図せずにそろっちゃうのはダサいかも。風呂に行って脱いだらおパンツもボーダーだった。三つそろったら当たりでアイス一本もらえる銭湯があればいいのに

        • 毛筆で大きな文字を書くときゲシュタルト崩壊おこすたちだと自認してるけど、今日は「整頓」と「集中」の字を間違えたショックでさすがに立ち直れない

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        甥の書き初め  【短編小説】

        • TAKE!NO!KO! 【エッセイ?】        

        • 朝ぼーっとして服を選んだからTシャツも靴下もボーダーになってたことにさっき気付いた。意図せずにそろっちゃうのはダサいかも。風呂に行って脱いだらおパンツもボーダーだった。三つそろったら当たりでアイス一本もらえる銭湯があればいいのに

        • 毛筆で大きな文字を書くときゲシュタルト崩壊おこすたちだと自認してるけど、今日は「整頓」と「集中」の字を間違えたショックでさすがに立ち直れない

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        • エッセイ 黒歴史と思い出の隙間収納
          10本
        • 短編小説 小噺のようなもの
          6本
        • 【連続小説】 冒険ダイヤル
          40本

        記事

          腹の立つことがあったら思いのたけを紙に書いてビリビリ破いて捨てるとストレスが軽減するという、ある有名人の秘策を思い出して実践してみた。効きますように。なむなむ

          腹の立つことがあったら思いのたけを紙に書いてビリビリ破いて捨てるとストレスが軽減するという、ある有名人の秘策を思い出して実践してみた。効きますように。なむなむ

          タオルで作る簡単なお雛さま

          バスタオルを使って手軽に作れるお雛さまを紹介します 好きな柄のバスタオルを用意しましょう 長方形のバスタオルを中心に向かって両端を少し重ねるように折り、 なるべく正方形に近くします ふちどりの部分は着物の襟です 襟を深く合わせたい場合はもう少しふちどりを右寄りにすると良いです 手前のゴロッと重なった部分をしっかり持ち、画面の上方向に折ります 両手親指を黒い印のすき間に入れ、 上にはみ出している赤い印の部分を、残りの指でかき寄せるようにつかみ、 靴下を丸める時の要

          タオルで作る簡単なお雛さま

          夫の雛祭り【短編小説】

          朝陽がさす頃、ベッドの脇に気配を感じて寝返りを打った。 夫が誰かにささやいている。 「ほら謝っておいで」 お腹の上に乗ってきたのは我が家の愛犬だ。 「おはようハーマイオニー」 なでてやると口に咥えた物を頬に押し付けてくる。 ゴロンと目の前に転がってきたのは雛人形の首だった。 至近距離で人形と目が合って「ひッ」と変な声が出てしまった。 ホラー映画さながらの目覚めである。 「叱らないでやってくれよ」 夫はか細い声を出した。 雛祭りまであと十日あまり。 桐箱から出しかけたまま、

          夫の雛祭り【短編小説】

          叔父のバレンタイン 【短編小説】

          寒い日曜日の朝、ベッドの脇に気配を感じて僕は目を閉じたまま布団のへりに手をのばした。 フサフサしたものが手に触れたので「おはようハーマニ」となでてやると、「犬じゃねえし」と聞き覚えのある男性の声がした。 起き上がってみると僕が触ったのは愛犬のハーマイオニーではなく、スーツを着たままで寝袋にくるまった成人男性の頭だった。 まぎらわしいな。 「みつるくん、うちで何してるの?」 「ゆうべ飲み会でさ。終電を逃したんだ」 彼は上半身だけベッドの脚に寄りかかり、芋虫のように膝を曲げ伸

          叔父のバレンタイン 【短編小説】

          冒険ダイヤル(40)最終回 みかえる 

          (前回まで) 魁人のメッセージに導かれたふかみと駿は、絵馬と陸を残して登山鉄道に乗った。 「まだ次の電車まで時間あるのに、すごい速さで行っちゃったね」  陸と絵馬は折り鶴を前にして頬杖をついていた。 「エマちゃん、ずいぶん口うるさくしてたけど、そんなに心配しなくてもよかったんじゃないかな」 「あたしもそう思うけど、なんだか悔しいじゃない」 「だからってお金貸すなとか書類にサインするなとか宗教の勧誘に乗るなとか、脅かすようなことばっかり言ってさ」 絵馬は眉をつり上げて言い返

          冒険ダイヤル(40)最終回 みかえる 

          冒険ダイヤル(39) 杭と杖

          (前回まで) 謎解きは中途半端なまま。ふかみたちは魁人の置き手紙の意味を考えている。 ちぐはぐな印象のもとはこれだったのかと駿は思った。 「二枚目を何回も書き直したんだ」  陸はそれを聞いているのかいないのか、次はペーパーナプキンで鶴を折り始めた。考え事をするときの癖かもしれない。 手元を見ながらつぶやいている。 「魁人くんの本音は何なんだろうね」   深海はテーブルにかがみ込んで穴のあくほど手紙を凝視した。 本音? 本音ってなんだろう。 本音かどうかなんて誰が決めるのだろ

          冒険ダイヤル(39) 杭と杖

          あと少しで今やってる長編小説の投稿が終わっちゃうので寂しい 自分の小説が終わってロスになるとか我ながら意味不明です 早く新しい登場人物たちに会いたいな〜 まだ冬眠してるのか、なかなか出てきてくれません

          あと少しで今やってる長編小説の投稿が終わっちゃうので寂しい 自分の小説が終わってロスになるとか我ながら意味不明です 早く新しい登場人物たちに会いたいな〜 まだ冬眠してるのか、なかなか出てきてくれません

          おやつの定義【エッセイ】

          子供のころ薬屋を経営していた親戚を訪ねると「おやつだよ」と言って出されるのはいつも肝油ドロップでした。 その後さらに「ジュースだよ」と渡される子供用の黄色い栄養ドリンクもおやつだと信じていました。 乳酸菌入りの整腸剤もおやつでした。 ポリポリとラムネ感覚で噛むと粉っぽいけどまあまあ美味しかったです。 もっとねだると「用量を守らないと」などと言われ、それはただの薬なのでは?と勘付いたのですが都合の悪いことは追求しない知恵がそこで身に付きました。 とある友人は幼児の頃、ス

          おやつの定義【エッセイ】

          冒険ダイヤル(38) 追加の気持ち

          (前回まで) 駿は謎解きゲームの手がかりを探すうちに小学校時代の魁人との秘密を思い出していた。 「おれはどっちかっていうと犬のほうが好きなんだけどな」 「かいちゃんは犬飼わないの?」 「飼ってみたいけどおれの家はちょっと無理だなあ」 「うちで飼ってたマロン、僕が幼稚園の時に大きくなりすぎておばさんに引き取られていっちゃったの。飼うなら大きくならない犬がいいよ」 「そうか。じゃあチワワとかがいいだろうな」 「かいちゃんにチワワは似合わないよ。もっとメンタル強そうな犬じゃないと

          冒険ダイヤル(38) 追加の気持ち

          ねこント 【短編】

          「のろけていい?」 「おう」 「うちの人、たとえ熟睡してても無意識に、脚の間のあたしを踏まずに寝返りうてるの」 「すげーな」 「あんたのとこはどう?」 「おれの写真撮るためにハイスピードカメラ買ってきた」 「………それはちょっと引くわ」 「お前んとこだって毎日写真撮ってSNSに出してるじゃんよ」 「あたしを撮るために動体視力が上がったらしいの」 「うちも床に落ちた猫砂を感知する足裏センサーが発達した」 「進化してるわね」 「進化だよな」 「あたしGPS付けられてんのよ」 「

          ねこント 【短編】

          冒険ダイヤル(37) 五十円のゆくえ

          (前回まで) 謎解きゲームをしながら、駿は小学生のころの思い出をふりかえっていた。 鶯町の住宅街は実に探検しがいのあるところだった。 瓦屋根の旧家の塀に沿って歩いていくと周辺の新築住宅との間におかしな段差や通路があり、子供しか通れないような隙間があちこちにある。 そういう抜け道をひたすら選んで歩くと見たこともない場所へたどり着いたりする。 駿と魁人はそれを迷子ごっこと呼んで、あえてわからない道を通って遊んでいた。 本物の迷子にならなかったのは魁人の並外れた方向感覚のお

          冒険ダイヤル(37) 五十円のゆくえ

          冒険ダイヤル(36) 伝えられずにいたけれど

          (前回まで) 謎解きを終わらせたくない駿とふかみ。陸の言葉がきっかけで隠されたアナグラムに気付いた。 「お前は天才だ」 駿は陸に向かって拍手した。 「ほんとだ、僕って天才?」 陸はぽかんとして自分でも拍手する。   やがてつば広帽子の内側に顔を埋めて絵馬がぶつぶつと何かを言い始めた。 「王様の耳はロバの耳…」 「エマちゃん?どした?」 深海が怪訝そうに覗き込んだが絵馬は帽子で顔を隠したまま隣の陸の肩に寄りかかった。 陸はため息をついてそれを押し戻す。  「エマちゃん、駄目

          冒険ダイヤル(36) 伝えられずにいたけれど