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エッセイ 黒歴史と思い出の隙間収納

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TAKE!NO!KO! 【エッセイ?】        

TAKE!NO!KO! 【エッセイ?】        

春の日は油断がならない。
やつらはいつも狙いすましたように休日にやってくる。
「クール便で〜す」
いやな予感がした。
頼んだ覚えのない宅急便。
湿った重たいダンボール箱。
敵の襲来だ。

箱の中には土にまみれた怪物がみっちりと封じ込められていた。
毛むくじゃらの表皮に覆われ、固く尖った角の先は猛禽類の爪に似ている。
紫色のイボが下部にずらりと並んでいて禍々しい。
生まれたての赤ん坊くらいのずっしり

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タオルで作る簡単なお雛さま

タオルで作る簡単なお雛さま

バスタオルを使って手軽に作れるお雛さまを紹介します

好きな柄のバスタオルを用意しましょう

長方形のバスタオルを中心に向かって両端を少し重ねるように折り、
なるべく正方形に近くします

ふちどりの部分は着物の襟です
襟を深く合わせたい場合はもう少しふちどりを右寄りにすると良いです

手前のゴロッと重なった部分をしっかり持ち、画面の上方向に折ります

両手親指を黒い印のすき間に入れ、

上にはみ出

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おやつの定義【エッセイ】

おやつの定義【エッセイ】

子供のころ薬屋を経営していた親戚を訪ねると「おやつだよ」と言って出されるのはいつも肝油ドロップでした。

その後さらに「ジュースだよ」と渡される子供用の黄色い栄養ドリンクもおやつだと信じていました。

乳酸菌入りの整腸剤もおやつでした。
ポリポリとラムネ感覚で噛むと粉っぽいけどまあまあ美味しかったです。

もっとねだると「用量を守らないと」などと言われ、それはただの薬なのでは?と勘付いたのですが都

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脱出歴 【エッセイ】

脱出歴 【エッセイ】

こんにちは。
牛乳パックの注ぎ口を今日も反対から開けてしまったアイチャイムです。

みなさんは人生で何回くらい脱出をしたことがありますか?

トリックを使ったマジックショーの脱出ではなく、スマホ依存や金欠や失恋の悲しみからの脱出でもない、
文字通りの脱出です。
私は3回ほど経験があります。

ひとつは自宅マンションの屋上からの脱出です。

屋上に配管などの通った小さい部屋のような構造物がありまして

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恋の忘れ物・仁義編 【エッセイ】

恋の忘れ物・仁義編 【エッセイ】

あるとき別れた恋人から電話がかかってきました。

「本当に申し訳ないんだけどお願いがあるんだ。写真をくれないか」

これが恋愛ドラマだったら良い感じにオサレな音楽が流れて、ふたりの顔が交互に映し出されるところですが、

頼まれたのは私の写真ではありませんでした。

犬です。

この人は大変な愛犬家でして、
飼っていた犬の写真を一枚くれたのです。
私は以前それを印刷したマグカップを専門店に注文してプ

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どうも、木村さん

どうも、木村さん

こんにちは。
今日も初見の街角で道をたずねられたアイチャイムです。

私は夢の中でしばしば有名人に会います。
視覚情報に惑わされやすくて俗っぽい性格なのかもしれません。
それを差し引いても長年ふしぎに思っていることがありまして。
木村タクヤさんが夢に出てくるということです。
これ自体はそんなにふしぎではないです。
問題は、連続して出てくるということなのです。

ある日、木村さんとなにかのパーティで

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地獄からのシャケ弁【エッセイ】

地獄からのシャケ弁【エッセイ】

昔とある遊園地でバイトしていたときのことです。
メルヘントレイン(仮名)という乗り物がありました。
その遊園地で最古の乗り物だと言われるだけあってデザインもレトロを通りこしてシュールさが漂っていました。

遊園地は非日常を演出するものですから、ある程度は常軌を逸しているのが正しい姿かもしれませんが
メルヘントレインの周りに配置されたまつげの長いオレンジ色の猿やら紫の眼のピエロなどは
得体のしれない

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恋の忘れ物・ざんねん編  【エッセイ】  

恋の忘れ物・ざんねん編  【エッセイ】  

ある日、別れたばかりの恋人から電話がかかってきて
「忘れてったでしょう」
と切り出されました。
大喧嘩したわけではありません。
ただ互いに別れる利点しかみつからなくなったため粛々と相手の部屋から自分の持ち物を回収してきたばかりでした。

穏やかな別れだったとはいえ声を聞くと口の中がにがしょっぱいくらいにはダメージが残っていたので
めんどくさい話だったらどうしようと身構えました。

「茶こし」
「は

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輝ける方向音痴【エッセイ】

輝ける方向音痴【エッセイ】

こんにちは、アイチャイムです。
特技は方向音痴です。

そんじょそこらの方向音痴とは格が違うわたくしですが
実はもうひとつ強力な特技があるのです。

知らない人に道をきかれることです。

よりにもよってなぜわたくしに、なのか。
さっぱりわかりませんが、
やたらと道をきかれたり時間を尋ねられたりします。

まわりにたくさん人がいるのに、わたくしだけを目がけて来られるかたが多いです。
何か目に見えない

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方向音痴の末路【エッセイ】

方向音痴の末路【エッセイ】

はじめまして。アイチャイムです。
特技は方向音痴です。

わたくしよりすごい方向音痴の方がいたらお目にかかりたいです。
なんなら対決しましょう。

まず出発して数メートル進んでから店に入ります。
店を一周します。
同じドアから出ます。
はい、もうどっちから来たかわかりません。
1分でわたくしの勝ちです。

初めて行く場所へグーグルマップを見ながら歩いた結果、
画面内で現在地が目的地にぴったりと重な

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